努力し続けたからこそ、特別でしかない場所で叶え続ける夢 長崎ヴェルカ 松本健児リオン

努力し続けたからこそ、特別でしかない場所で叶え続ける夢 長崎ヴェルカ 松本健児リオン

アリーナ立川立飛で12月13日に行われた第99回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会の3次ラウンドをアルバルク東京(以下・A東京)と対戦し勝利。クォーターファイナルに見事勝ち進んだ長崎ヴェルカ(以下・長崎)は、16日17日には長崎県立総合体育館へと舞台を移し、リーグ戦で再びA東京と対峙した。結果は、GAME1は62-71、GAME2は84-94と連敗。

努力し続けたからこそ、特別でしかない場所で叶え続ける夢 長崎ヴェルカ 松本健児リオン

試合後、両日スターターとして出場していた長崎の#1松本健児リオンに話を聞くことができた。

この3連戦を、「天皇杯は長崎のゲームをして勝つことができて嬉しかったが、GAME1はもう完全に相手のゲームだった。GAME2も相手に勝ち切られてしまい、こういうゲームでなかなか逆転できなかったり、僕らの流れに完全に持ってくることができなかったところがリーグ首位のチームとの力の差を感じた」と、振り返った。

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収穫点と反省点があった連戦。12月、ハードなスケジュールの中で続く試合の中で、松本は「天皇杯で勝ったこと、リーグ戦でも川崎(ブレイブサンダース)に1勝1敗だったことは、強豪とも戦えるという自信にもなった。そこで毎試合自分たちのゲームにできるかできないかが難しさであり、チームとして徹底できればもっと勝ち星を上げられるだろうし、天皇杯でも上を目指せる」と自信を覗かせる。

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松本は、開幕節の千葉ジェッツ戦が大きかったと振り返る。
「開幕は独特の難しさがある。そこで力があるチームに2連勝、流れに乗れた」ことで、B1でも戦えるという「確信に迫るものがあった」という。

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自身にとって、初のB1の舞台だった。それでも臆することなくプレーを続けられているのは、クラブ創設時からの積み重ねの結果である。クラブの代表取締役でもある伊藤拓摩ゼネラルマネージャー(以下・GM)と、前田健滋朗ヘッドコーチは、B3リーグの時代からB1のレベルで戦うことを念頭に取り組み続けてきた。
「B1でやることを常にイメージしながら練習もシーズンの戦いも続けていたので、特に変化はなくB1だからできないといったこともあまりない。ヴェルカスタイルをみんなで意識し、常に上を見てきてすごく良かった」と微笑む。

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松本自身としては、「通用する部分がもちろんあり、手応えもある。ただ、やっぱりB1だなと思うのは、サイズ感やリング下。いつもならリングへ向かうところでブロックを意識することがある」と言いながらも、想像していたレベルと大きな相違はない。最近では、佐賀バルーナーズ戦やファイティングイーグルス名古屋戦を例に出し、「自分のプレーをしっかりできているし、B1にも順応してきた」と、成長を感じている。

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松本はクラブ創設第一号契約選手だったが、長崎と契約する以前は苦しい時を過ごしていた。当時在籍していたバンビシャス奈良からの契約を継続させることができなかった経験がある。「見返すわけではないが、頑張ってるんだよというメッセージが届けばいいな」と語る。

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長崎での松本の成長はめざましいものがある。Bリーグのクラブとの契約を勝ち取れなかった苦労人が、今ではB1のスターターとして躍動しているわけだ。松本を呼び寄せた伊藤GMの見抜く力も素晴らしいが、その飛躍の裏には、「僕は努力するタイプだと思う。バスケに対する姿勢は以前からあまり変わっていないが、環境やサポートしてくれるスタッフが違う。よりバスケに集中しやすく努力しやすい」ことがあり、充実感を見せる。

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長崎に来る前の自分に、「努力し続ければ叶うぞ」と伝えたいという松本。ずっと、「B1でプレーしたいと思っていた。こうやって振り返ってみるとちゃんとできているなと思うし、常に諦めずにやり続けてきた結果が今だと思う。まだまだ成長したいし、もっとやり続けなければ」と力強く語ってくれた。

努力し続けたからこそ、特別でしかない場所で叶え続ける夢 長崎ヴェルカ 松本健児リオン
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A東京戦は、両日チケットが完売となり、GAME2には4000人を越えるファンが詰めかけた。「B3に参入し開幕した頃は1800人ほどの観客で、どうやって応援したらいいのかもわからないような雰囲気だった。3シーズン目でこの熱量や一体感はすごい」と驚く。街でも声を掛けられることがとても増えた。街中でヴェルカグッズを身に付けるファンに遭遇することも多い。短期間で確実にクラブは根付いている。現在、建設中の新アリーナを含む長崎スタジアムシティプロジェクトは、2024年の開業が予定されている。長崎駅から徒歩10分ほどと立地も抜群。新アリーナで躍動する松本の姿にも期待したいところだ。
「チームの勝利のために流れを作ったり、チームの勝利に直結するプレーをしたい。常にインパクトを与えられるような選手に」なることが今の目標。

努力し続けたからこそ、特別でしかない場所で叶え続ける夢 長崎ヴェルカ 松本健児リオン
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「特別でしかない」場所、長崎で夢を叶えている最中。

「仕事がない時に拾ってもらって、チャンスをいただいた。本当に成長させてもらったクラブだし、これからも成長させてもらえる。そのチームに何かを還元したい。チームに恩返ししたいから、これからも一生懸命やる」だけ。覚悟は十分だ。

躍進を続ける長崎。その原動力となる松本は、これからも飛躍を続けることだろう。

努力し続けたからこそ、特別でしかない場所で叶え続ける夢 長崎ヴェルカ 松本健児リオン

2021年4月9日。
balltrip MAGAZINEは初めて松本を取材した。
何としてもこのチャンスを掴むんだという気概が感じられた対談だった。
あれから2年半。
「長崎に来て良かった。人生が変わった」
そう笑顔を見せる松本に会えて何よりも嬉しさが込み上げた。
松本の挑戦とプレーに、これからも注目していきたい。
[FOCUS 長崎ヴェルカ] 松本健児リオン インタビュー VOL.1
[FOCUS 長崎ヴェルカ] 松本健児リオン インタビュー VOL.2

文:木村英里
写真:オガワブンゴ

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