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あの時にチームを引っ張ってくれた人だよねと最初に思い出してもらえる選手になりたい アルティーリ千葉 大塚裕土

あの時にチームを引っ張ってくれた人だよねと最初に思い出してもらえる選手になりたい アルティーリ千葉 大塚裕土

 B3リーグ、2021年ラストゲームは首位決戦となった。1敗差で首位長崎ヴェルカを追いかけていたアルティーリ千葉(以下A千葉)は、12月25、26日とアウェーで直接対決し結果は1勝1敗の痛み分けとなった。

あの時にチームを引っ張ってくれた人だよねと最初に思い出してもらえる選手になりたい アルティーリ千葉 大塚裕土

 A千葉でキャプテンを務める大塚裕土は、昨シーズンまでB1の強豪川崎ブレイブサンダースで活躍していた。それ以前も多くのクラブでプレーをしてきた経験の持ち主は、B3の舞台に身を置いても変わらずプレーだけでなく仲間を鼓舞し精神的にも中心選手としてチームを導いている。
 GAME1で長崎に勝利した直後、balltrip MAGAZINEは大塚に話を聞いた。大きく意識していたわけではないが、長崎との対戦を前に「この試合に限っては選手だけで長崎の試合映像を見た」という。長崎もA千葉同様、B1やB2でプレーをしていた選手が複数在籍している。チームスカウティング前に「過去に対戦したことがある選手がそれぞれのパーソナルな部分などを選手間で共有」していた。

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 実際に対戦してみた長崎の印象は「トランジションの速さや点差が少し開いたとしても小さなミスで5点、10点と縮められるのは怖い」と感じた。事前に長崎が天皇杯でB1のサンロッカーズ渋谷相手に勝利した際の映像などもチェックした。「実力があってB1を倒したのだと改めて確認した」と語る。

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 GAME1では3クォーター、A千葉は長崎のジェフ・ギブスの活躍などで追い上げられた。大塚は「必ずどこかの場面では起こり得る」と思っていた。自分たちのバスケットボールが出来ていなかった」反省点もあった。ただ4クォーターに修正し流れを戻すことが出来た。その中心にはもちろん大塚がいた。

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 A千葉では、これまでのキャリア以上に仲間を鼓舞し険しい表情で声を出している。「川崎などでは僕が引っ張らなくても各々メンタルやスキルが高かった。現在は若手が多く僕が弱い姿を見せてしまうと、間違いなく相手に波を持っていかれてしまう。そういう面ではしっかり引っ張っていくことを40分間体現しなくてはならない」と思っている。昨シーズン所属していた川崎でもベテランとして精神的支柱として仲間と向き合ってきた。天皇杯では自身のキャリアの中で初めて「優勝」も達成した。これまでの経験は自信へと変わっている。

あの時にチームを引っ張ってくれた人だよねと最初に思い出してもらえる選手になりたい アルティーリ千葉 大塚裕土

 アンドレ・レマニスヘッドコーチとも密にコミュニケーションを取る。これまで出会った「外国から来たコーチは『僕のバスケットボールはこう』と語るコーチが多かった」が、レマニスヘッドコーチは「聞き手役に徹することが多いコーチ」だった。だからこそ「ヘッドコーチのバスケットボールを僕が一番最初に理解しチームに落とし込む役割を担っていかなければならない」と取り組んできた。

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 自身がA千葉と契約を結ぶ際に確実にライバルとなるであろうクラブの存在も話に出ていた。「長崎の壁も乗り越えB1へ向かうために昇格していくことがミッションの一つ」に挙げられていた。同時期にB3参入が決まり、開幕前から話題に事欠かなかった両クラブ。誕生したばかりのクラブに経験豊富な選手たちが集まった。開幕前から期待値の高かった試合はクリスマスに組まれ、まさにバスケットボールファンにはプレゼントのような好カードだった。

あの時にチームを引っ張ってくれた人だよねと最初に思い出してもらえる選手になりたい アルティーリ千葉 大塚裕土
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 日頃はB3TVでのみ試合を観ることができる。しかしこの試合は急遽バスケットLIVEでも配信された。B1、B2の試合とともに配信され、多くのバスケットボールファンが視聴できた。B3史上最も注目された試合と言っても良いだろう。大塚は「バスケットボール界を盛り上げるシーンを作れたことは非常によかった」と振り返った。「お互いのチームやファンの熱量だけでなく、どちらが勝つのかと話題になることが盛り上がりの一つだと思う。そういうゲームになって良かった」と勝利だけではない手応えを感じた。

あの時にチームを引っ張ってくれた人だよねと最初に思い出してもらえる選手になりたい アルティーリ千葉 大塚裕土
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 2021年、新たな挑戦の舞台に選んだのはA千葉という誕生したばかりのクラブだった。首位決戦GAME2は長崎に終始リードを許し敗戦となったが、年が変わってもA千葉と大塚の挑戦は続く。2022年最初の試合は1月4日に千葉県の大網白里アリーナでトライフープ岡山を迎え撃つ。「5年、10年が経ち皆が振り返った時に、あの時にチームを引っ張ってくれた人だよねと最初に思い出してもらえる選手になりたい」と今の目標を語る。そのために「全てを捧げる。その姿勢が日頃応援していただけることに繋がる。それがプロとしてのテーマ」と冷静に語っていた。例えユニフォームが変わっても、戦いの舞台が変わっても、目標が変わっても、静かに言葉を選びながら丁寧に語る姿に変わりはなかった。大塚がA千葉をB3優勝へと導くことができるのか、来年も引き続き注目していきたい。

あの時にチームを引っ張ってくれた人だよねと最初に思い出してもらえる選手になりたい アルティーリ千葉 大塚裕土
 

文:木村英里
写真:オガワブンゴ

【バスケットLIVE特別配信】
●2021年12月25日 
B3 第12節 GAME1
https://basketball.mb.softbank.jp/lives/102696

●2021年12月26日
B3 第12節 GAME2
https://basketball.mb.softbank.jp/lives/102697

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