B1リーグでも活躍できるところを見せたい 仙台89ERS 澤邉圭太
12月24日、東京都渋谷区にある青山学院記念館でサンロッカーズ渋谷(以下・渋谷)対仙台89ERS(以下・仙台)が行われた。クリスマスゲームの第1戦は、83-70で仙台が勝利した。
前節、横浜ビー・コルセアーズ戦で負傷した#15渡辺翔太が左脛骨骨幹部骨折と診断を受け、仙台はポイントガードを1人欠いての戦いを強いられた。今節までの1週間に藤田弘輝ヘッドコーチ(以下・HC)は、「波長も悪く、雰囲気が良くなかった」と振り返り、「エナジーの話をすごくした。物事にはすべて理由がある。翔太が怪我をしたこともひとりひとりの責任だ」と伝えていた。そんな藤田HCの思いも受け、選手たちは奮起しひとつにまとまった。「チームのエナジーがもたらした勝利。タフな試合も最後まで勝ち切れた」と、指揮官は安堵の表情を見せていた。
試合後に、#7澤邉圭太は「翔太の怪我は仕方がないこと。帰ってくるまでみんなで翔太のために頑張ろうという思いで、全員練習してきた」と振り返った。渡辺のプレースタイルは「積極的に中へ切り込んでいくタイプ。僕も同じプレーが得意。そのプレーをするのは、今チームで僕しかいない」と、アグレッシブにアタックすることを意識しリングへ向かった。9得点4アシストと勝利に貢献。
試合の序盤、渋谷にリードを許す展開も、「しっかりみんなでハドルを組んで声を出し合って、立て直すことができた。僕自身もしっかりアタックできた」と勝利を喜んだ。澤邉自身、なかなか得点が取れないもどかしい時間を過ごしていた中での仲間の怪我と、「ちょっと苦しいな」と感じていた。だからこそ今日のプレーと勝利には「ホッとした」と本音を漏らしながら、「自信にもなった」と頼もしい言葉を述べた。
熊本県出身の27歳。在籍5シーズン目を迎えた。仙台へ移籍する前には大阪エヴェッサに在籍していたが、これまでB2リーグでのキャリアが長かった。「必ずB1で活躍したい」という思いで戦い続けてきた。ようやく願ったステージに上がることができた。
辿り着いたB1の舞台には、「レベルの高い選手が多く、タフショットを決める選手も多い」と痛感させられている。「点差が離れていても、すぐ追い付かれたり抜け目がない」チームばかりだ。対戦相手の中には「澤邉って誰だ」と思う選手がいるであろうことも自覚している。だからこそ、「自分が出せるものをしっかり出して、B1でも活躍できるところを見せたい」と静かに闘志を燃やしている。
仙台というチームは、エナジーをもたらすベテラン選手の存在が光る。「僕や後輩たちがやりやすい環境を作り上げてくれる」と、#12寒竹隼人や#91片岡大晴の名を挙げた。「しっかり圭太らしく自信を持ってやってこい」と力強くコートへ送り出してくれることで、「気持ちがすごく楽になる」のだという。そんな先輩たちの振る舞いや表現から、「言葉の大切さ」に改めて気付かされた。
チームがなかなか崩れない理由はそんなベテランの支えがあってこそだと実感している。「僕たちが目標に向かえるのは、先輩たちの存在が大きい」と感謝していた。頼もしい存在の背中を追いながら、成長を誓う。試合が行われた12月24日は、日頃、支えてもらっている片岡の誕生日。「勝ってお祝いしたかったからよかった」と笑顔を見せていた。
シーズンの3分の1が過ぎた。「格上の渋谷にも勝利することができた。自分たちのバスケットボールを遂行することができれば必ず結果は付いてくると、徐々にチームが理解し自信に繋がっている。(B1で)決して戦えないことはない」と、着実に成長し手応えを得ている。
この先も厳しい戦いは続くが、離脱した仲間への思いを背負い、その穴も埋めるべく、そしてB1で活躍できることを証明するために、決意を持ち挑戦する澤邉を、ぜひ応援してもらえたらと思う。