
名古屋ダイヤモンドドルフィンズが宇都宮ブレックス相手にアップセット!示した信頼と覚悟「もうどこでもできる」
5月9日10日、日環アリーナ栃木で『りそなグループB.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2025-26』のクォーターファイナル、宇都宮ブレックス(以下、宇都宮)対名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(以下、名古屋D)が行われた。名古屋Dは敵地で連勝を飾り、見事アップセットを果たした。

GAME1、最大19点リードを許した名古屋Dだったが、齋藤拓実が後半に24得点と爆発。89-82で逆転勝利した。後半から出場した加藤嵩都は、齋藤と共にダブルガードで出場し流れを掴むきっかけとなった。
「後半僕が入ってから、流れをちょっとは変えられたのかな」と、GAME1終了後にほっとしたように笑顔を見せた加藤。
「(昨シーズンも)前半プレータイムがなかったことがあったので、その時に学んだことを生かしてマインドセットできていました。また、(齋藤)拓実さんやアーロン(ヘンリー)がハーフタイムに『なぜタケを出さないんだ』とショーン・デニスヘッドコーチに直談判している姿を見ました。試合に出られないことより、このチームのために少しでも力になりたいと思いました」
その後、自分のために声を上げてくれる先輩の姿を見て、「やばい」と感情が込み上げ、すぐにアップへ向かったという。仲間を信じ、その声を受け止めるコーチと、期待に応えようとする選手たち。そこには積み上げてきた信頼があった。

シーズン終盤に6連敗し、CHAMPIONSHIPのホーム開催を逃したものの、「僕らはもう失うものがないので、こうやってアップセットを起こすことができました。プレッシャーがある中でもやるしかないと、いい割り切り方ができたと思いました」と振り返る清々しい表情が印象深かった。
そして翌日に行われたGAME2も75-66と勝利を収めた名古屋D。
GAME1では14得点、GAME2では23得点と連勝に貢献した今村佳太は、GAME2終了後、「昨シーズンCHAMPIONSHIPに出場することができず、自分としてもチームとしても悔しい思いをしました。今回はチャンスを勝ち切れて、自分を示せると思っていましたが、まだ何も成し遂げていないです」と取材に応じた。
balltrip MAGAZINEでは、3月に行われた越谷アルファーズ戦後に話を聞いている。その際、今村は優勝への鍵をこう語った。
「自信を失わずに、自分たちが優勝できるとどれだけ強く信じられるかが大事。自分がまず信じきり、プレーで体現し、周りをどんどん巻き込んでいく。それが自分の形です」

まさに、この宇都宮とのクォーターファイナルで、今村はCHAMPIONSHIPで勝つために必要なものを、チームが苦しい時間帯にこそ自身のプレーで示し牽引していた。
3月時点で、優勝の確率は「100%」と言い切っていた。しかし、そこから前述の通り、シーズン終盤に連敗が続いた。
「故障者が出て、自分たちの予測しないことが起きてしまって、正直不安な部分もありました。特にインサイドで頑張ってくれていた選手だったので、すごく自信が揺らぎそうにもなりました」
ただ、「どんなメンバーが出ても結果につながると確固たる自信」を持っていた。課題は、「自分たちのスタイルをCHAMPIONSHIPでどう出すか」だった。
ショーン・デニスHCは、試合後の記者会見で「レギュラーシーズンは過去と考えて、アイザイア・マーフィーとアラン・ウィリアムズが戻ってきて自信が戻りました。大事なタイミングで、私たちの一番いいディフェンスに戻れました」と語った。

宇都宮の比江島慎は「勝ち切るために戦う姿勢や気持ちが必須条件でしたが相手に負けていました」と語り、遠藤祐亮も「ベンチから見ていても、相手の方がエナジーがあると見えました」とコメントしていた。加藤の語っていた通り、「失うものはない」と覚悟を決め、自分たちを信じ、最後は戦う姿勢や気持ちが宇都宮を上回った。
宇都宮のホームアリーナの雰囲気の素晴らしさは語るまでもない。これまで幾度となく、挑戦者たちを跳ね返してきたアリーナ。
「宇都宮さんの素晴らしいホームで連勝することは本当に難しいと思います。それをやってのけたチームメイトを本当に誇りに思いますし、宇都宮でできたのだから、もうどこでもできるとすごく自信に感じました」
セミファイナルで戦うのは琉球ゴールデンキングスに決まっている。宇都宮のホーム同様、琉球のホーム・沖縄サントリーアリーナで勝つことは容易ではない。名古屋Dは2022-23シーズンのCHAMPIONSHIPクォーターファイナルで琉球に敗れている。あれから3年。再び、あの場所で挑む。

今村にとっては古巣との対戦。思い出深い、かつての仲間とファンが待つアリーナへ。今村の表情からは、既に楽しみという気持ちが伝わってくるようだった。
名古屋の勢いは想像以上だ。加藤はこんな頼もしいことを言っていた。
「僕、嫌いじゃないですよ。逆ヒーローみたいな感じで。アウェーでやってやるぞという気持ちです。だからアウェーが大好きです。昔から得意ですね」

余談だが、今村はこのCHAMPIONSHIPを前に、髪色を赤く染めた。かつて琉球時代に、チームメイトと金髪にしてプレーをし話題となっていた。
「CHAMPIONSHIPはやっぱりこれかなと思います。ドルフィンズを意識して赤くしました」
その裏には、ルーキーの存在があるという。
「うちの生意気なルーキー(小澤飛悠)から『佳太さんは金髪じゃないとシュート入らない』と言われて(笑)」
小澤が正しかったのかは定かではないが、今村の勝負強さが光る2試合となった。

そんな今村に、最後にファンの方々へのメッセージを語ってもらった。
「いつも本当にたくさんの応援をありがとうございます。あと4つ、自分たちのスタイルで優勝を勝ち取っていきたいと思います。宇都宮戦もたくさんの皆さんが来てくださったおかげで、自分たちの力になり勝つことができました。ぜひこのまま沖縄もそうですし、(ファイナルが行われる)横浜アリーナにも、足を運んで応援していただけたら嬉しいです」
琉球を倒してみたいと新天地へ移籍し挑戦を続けてきた今村。その答えを、セミファイナルの舞台で示そうとしている。
文:木村英里
写真:名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

