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ニック・ファジーカスの背番号２２は日本代表でも永久欠番に　宇都宮ブレックス比江島慎

balltrip編集部
2023.12.14

12月9日10日に、ブレックスアリーナ宇都宮で行われた宇都宮ブレックス（以下・宇都宮）対川崎ブレイブサンダース（以下・川崎）。この試合に特別な思いで臨んだ選手がいた。
宇都宮の#6比江島慎だ。

「もしかしたらこれが最後の対戦になるかもしれない」

今シーズン限りでの引退を表明している川崎の#22ニック・ファジーカス。ファジーカスとはこれまで幾度となく対戦し、ともに日本代表でも戦った仲間でもあり、特別な存在。

試合は宇都宮が連勝。「真剣勝負なので僕らも敬意を評して勝ちに行きました。天皇杯でもチャンピオンシップでも必ず対戦したいし、これが最後ではないと願いながら」プレーをしていた。

2013年、当時NBLに所属していたアイシンシーホース三河（現・シーホース三河）に入団した比江島。川崎の前身、東芝で既にプレーをしていたファジーカスとは、宇都宮へ移籍後も含め、これまで数えきれないほど対戦してきた。
過去を振り返りながら、「一人では抑えられないし、どんな体勢でもシュートを決めたりクラッチシュートも決められる選手。とにかく頭が良くバスケットIQが高いことが彼の魅力で、ダブルチームに行ってもパスをされるし、少しでも目を逸らすと彼らしい裏パスを狙われてしまう。何回も何回も苦しめられてきた」と話す比江島は、どこか楽しそうだった。それだけファジーカスとの対戦は、常に刺激的なものだったのだろう。

そんなファジーカスが2018年に日本国籍を取得した。比江島はとても喜んだという。
「当時、W杯予選では4連敗していたところに彼が参加してくれてW杯へ導いてくれました。（比江島は）第一オプションでプレーしていましたが、苦しみながら得点を取っていました。でも彼と一緒にプレーをするとこんなにも簡単に点が取れるのかと。彼がいることで周りの選手も楽に得点することができて、（予選は）全勝しました。感謝しかないです」と、当時を振り返る。

ともに戦った試合の中で最も印象に残っているのは、「彼が最初に参加してくれたオーストラリア戦。あの試合、オーストラリアは一軍ではなかったかもしれないけれど、NBLのスーパースターたちやNBA選手も参加していました。その中でも誰も彼を抑えることができず、NBA選手がいようが関係なく点を取っていて、僕らもそれに続くことができました。一つ、二つ、レベルを上げてくれた、そういう選手はなかなかいない」と、教えてくれた。

比江島は、今年の夏、沖縄アリーナで開催されたFIBAバスケットボールW杯2023で日本の大躍進を遂げた立役者の一人だ。

「（2019年に行われた）上海でのW杯に出場していなければ、沖縄での一勝はなかったと思っています。そこで僕も悔しい経験をして、自分の課題が見つかりました。（ファジーカスは）歴史を作ってくれた一人で、彼のおかげで色々な経験をさせてもらいました。そこまで導いてくれたニックに感謝しています」

とても心のこもった言葉だった。代表活動時などには一緒に食事へ出掛けたりしたこともあり、公私ともに貴重な時間を過ごした。
W杯を機に Bリーグにも興味を持たれた方も多い。今の日本代表の活躍のきっかけとなったファジーカスの存在も知ってもらえたらと思う。

比江島が語るように、天皇杯やチャンピオンシップで再び川崎と対戦する可能性もある。かつては対戦を避けたいほどの相手であったが、今シーズンはできればまた対戦したいという思いが伝わる。
「これまでもずっと無双していますしこのまま無双してほしい選手です。ファンのみなさんも彼の勇姿を見届けてほしいです。ニックも日本での最後のプレーを楽しんでもらいたいし、もちろん優勝もしてほしいですがそこは真剣勝負でいきたい」と笑った。

比江島は最後に、ファジーカスへこんなメッセージを送った。

「ニックとプレーする時は本当に楽しくてたまらなかったです。ニックとのピックアンドロールはワクワクしたし、こんなに楽に得点できるのかと思ったプレーヤーは初めてでした。今シーズン、またどこかで会いたいと思っているし、引退したら絶対に寂しくなるのでアメリカまで会いにいきたいと思っています。これからも友達でいてください」

最高の仲間であり、ライバルであり、友達でもある、そんな特別な存在。

ニック・ファジーカスの背番号２２は日本代表でも永久欠番に　宇都宮ブレックス比江島慎