4月23日、琉球ゴールデンキングス(以下琉球)はホーム沖縄アリーナで同じ西地区の2位島根スサノオマジック(以下島根)と対戦。GAME1では#14岸本隆一が21得点と牽引するなどし93－82で勝利。その瞬間琉球の西地区5連覇が決定した。試合後、岸本は「ここに至るまでチームで積み上げてきたことが誇らしいと思える今日のゲームだった」とコメントを残した。ここまで45勝5敗、勝率は9割を越え驚異的な強さを誇る。
この日は6513人という過去最多の観客が詰めかけていた。これは沖縄アリーナの最多入場者数となった。琉球のことをファンは「キングス」と呼ぶ。キングスがファンをこれほど魅了するのはなぜなのか。
2007年のクラブ創設当初からのファンだという勝連豊さんに話を聞いた。学生時代はご自身もバスケットボールをプレーし、NBAファンでもあったという。bjリーグ3シーズン目に参戦が決まり「地元沖縄にプロバスケットボールチームができるなら応援しよう」とキングスのファンとしての第一歩を踏み出した。「当時はファンクラブ会費が500円で、その頃のチームTシャツを今も持っている」ことも明かしてくれた。そんな勝連さんにとっては「やはり地元のチームで沖縄県出身の選手がいる。そして毎年結果を出してくれる」ことがチームの魅力だ。
また思い入れが強かった選手として、創立2年目にチームを優勝するために大阪エヴェッサからキングスへ移籍したジェフ・ニュートン氏の名を挙げた。「本当に優勝させてくれた彼のファンに」なった。大阪時代にもbjリーグ3連覇し、琉球でも3度bjリーグの頂点に輝いた。そんなニュートン氏の背番号50が永久欠番になっていることも「嬉しい」と微笑んだ。
今年、圧倒的な強さを誇りシーズン中には20連勝という記録も達成した。bjリーグ時代にチームを優勝へと導いた桶谷大ヘッドコーチ(以下HC)が指揮を再び執っている今シーズン。「桶谷HCが来たからには結果が出ると思っていた」と信頼は厚い。そんなチームの強みは何よりもディフェンスだ。どの選手がコートに立っても「全員が気を抜かない」という意識の高さ。「ディフェンスだけはどのチームと対戦しても、最初から最後まで変わらない」と勝連さんも誇らしげだった。
さらに注目すべきは日本代表入りしてから「覚醒した」という岸本。「コンスタントに得点を取っている。チャンピオンシップ、ファイナルでも活躍してくれるはず」と期待をしている。
琉球が仮想チャンピオンシップと挑んだ島根戦、GAME2も気を緩めることなく自分達のプレーを全うし71-68と勝利した。この日も強固な守備が光っていた。チャンピオンシップを見据え、桶谷HCは「ゲームの中で正しい判断をするために冷静でい続けること」と一つのテーマを挙げた。今シーズン、追い上げられても勝ち切る力、リードを許していても逆転する力など、冷静に琉球のプレーを続け勝利数を伸ばしてきた。その延長線上にリーグ制覇が待っている。「戦略や戦術も個人の能力を使うことも重要だが、冷静さの積み重ねとやり切る強い気持ちが重要だと思っている」と語る桶谷HCの表情からは自信が感じられた。
未だかつて西地区のチームがBリーグの頂点に輝いたことはない。決勝の地に辿り着くためにも、チャンピオンシップをホーム沖縄アリーナで開催できることの重要性は昨シーズンの経験から十分承知だった。GAME2も5857人の観客が来場していた。両日共にファンの熱さが選手たちのエネルギーになったことは間違いない。チャンピオンシップではさらに来場者も増えるだろう。
勝連さんは「Bリーグ制覇は間違いないとファンも気を抜くことなく最後まで戦う。東京体育館でチャンピオンになる」と共に戦う覚悟だ。桶谷HCも「優勝するために大前提には本当に強い意志が必要だ。チャンピオンシップまでもハードな試合が待っている。チャンピオンシップだと思って戦っていくことが大切」と気合十分だ。悲願のBリーグ制覇へ向けファンの想いも胸に、そして怪我で出場できない仲間のためにも、まずは27日と大阪市にあるおおきにアリーナ舞洲で大阪エヴェッサと対戦。そして4月30日5月1日には、愛知県名古屋市のドルフィンズアリーナで同じく西地区からチャンピオンシップ出場を決めている名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの対戦が待っている。
文：木村英里
写真：Shinobu Mino
