良いパフォーマンスが出来るならプレーを続けたい　香川ファイブアローズ 松井啓十郎

香川ファイブアローズは現在23勝7敗とB3リーグ3位。昨シーズン降格しB3リーグで戦う今シーズン加入したのは、ベテランシューターの#16松井啓十郎だ。昨シーズンまで富山グラウジーズに在籍、B1リーグでプレーを続けていた。

現在38歳。富山ではコートに立てない悔しさも味わった。移籍先を模索する中、「コートでプレーしたい」という思いが強く、優先順位が高かった。
新天地に香川を選んだのは、「もちろん高いステージで15分、20分出られるのならばベストだが、ここまで年齢も上がり、B1リーグの他チームに行ったとしても本当に出られるのかわからない。試合に出て活躍できるならステージは関係ない」と、決意した。

もちろん戸惑いがなかったわけではない。
「バイウィークが無く、ずっとフルシーズン戦わなくてはならないし、お客さんの数やアリーナも違えば試合のレベルも全然違う」。

それでも松井は、「B2昇格に向けて、今、すごくいい位置にいる。やりがいがあるかな」と笑顔を見せる。チームメイトには、#0アンドリュー・ランダルや#24イバン・ラベネルなどB1、B2でプレーした経験のある選手が多数在籍している。今シーズンから参入した福井ブローウィンズと対戦すれば見知った顔が並ぶ。松井にとっても嬉しい再会がある。

そして、松井は「B3ならではの良さがある」という。それを「ガチャガチャしている」と表現した。
「ガチャガチャしながら回る。目の前にいる相手をやっつけようみたいな、強いメンタルを持っている選手がすごく多い」と、面白さを感じているようだった。

1月27日28日に世田谷区総合運動場体育館で行われたアースフレンズ東京Z戦は1勝1敗で終えた。チームとしては連勝で終えたかったところ。現在のチームの課題について、メンタル面での安定を指摘する。27勝3敗とリーグ首位を走る福井を例に挙げ、「毎試合30点差で勝とうというようなメンタルで遂行できている。でも香川は、余裕があるのかわからないが、そういうところの隙がある」と感じている。

今シーズンから香川で指揮を執る籔内幸樹ヘッドコーチとは、富山で籔内氏がアシスタントコーチを務めていたこともあり、よく知る間柄。試合中だけでなく試合前も密にコミュニケーションをとる姿が見られた。松井は英語で外国籍選手とのコミュニケーションをとり、またコーチ陣と若手や各選手を繋ぐ役割も担う。

シーズン後半戦、「相手も前半戦と同じではない。各チームがいろいろなことをしてくる中で、自分たちがオフェンスだけにフォーカスしてはいけない。しっかりと自分たちがやるべきことを、ディフェンスしながらもできるようになってきている。しっかりやりきれば毎試合安定して勝てるだろう」と語った。

「あと数年は良いパフォーマンスが出来るならプレーを続けたい」

インタビューの最後、そう締め括った松井にとって、チームを昇格させることが当面の課題。まずB2昇格を果たすことが長く応援を続けてくれているファンたちへの恩返しにもなることだろう。ベテランの挑戦はまだまだ続く。

文：木村英里
写真：濱田茉里