
勝利を支える職人の流儀 仙台89ERS シェーファー アヴィ幸樹
2026-27シーズン、シーホース三河から仙台89ERSに加入したシェーファー アヴィ幸樹。206cm、106kgのセンターは、ダン・タシュニーHCのもと、リバウンド、スクリーン、走力、そしてインサイドの守備と得点を決め切るまでを担っている。
試合で目を引くのは、得点を重ねる選手かもしれない。だが、ボックスアウトで相手を封じ、ドライブするガードの進路を開く選手がいなければ、得点は伸びず、チームも勝てない。
「正直、自分がシュートを決めた時よりも断然気持ちがいいです」
その言葉の裏には、数字では測れないセンターとしての誇りがある。新天地で戦うシェーファーにその現在地を聞いた。

チームやプレータイムが変わっても自分のプレーを全うするだけ
シェーファーは三河から仙台へ移り、再びダンHCのもとでプレーしている。指揮官は25-26シーズンから仙台を率いているが、三河時代にはアシスタントコーチとしてシェーファーとともに戦っていた。チームが変わり、求められる役割も変わったが、試合への向き合い方は変わらない。
「5分なら5分、10分なら10分、15分なら15分。その出た時間のプレーをしっかり全うする。自分のやるべきことをやることを望んでコートに入っています。10分でも20分でも変わらないかなと思います」
シェーファーは時間の長さではなく、その時間で何を残せるかにフォーカスしている。出場時間が増えれば責任も増す。その責任を果たすことが、シェーファーにとって変わらない基準である。

仙台で求められるものを問うと、答えに迷いはなかった。
「ハードプレーすること。リバウンド、スクリーン、インサイドでしっかりフィニッシュすること、走ること、もちろんディフェンスもです」
指揮官が自分のスタイルや能力を把握しているため、課題も明確だ。「そういう意味ではやりやすい部分はあるかなと思います」と語る。
ただ、序盤から順調だったわけではない。夏の代表活動が長く、アジア競技大会などもあり、チーム練習に十分な時間を割けなかった。
「やっと慣れてきたという感じです。試合ごとに少しずつ、みんなとの連携ができている実感はあります」

仙台は外国籍選手を軸に組み立てるチームだと、シェーファーは捉えている。
「彼らがやりやすいようなコートを作る、彼らがやりやすいように動くというのも一つの仕事だと思っています」
ボールを持たない時間に何をするかが、仙台のオフェンスを支える鍵になる。
外国籍ビッグマンとの対峙 「相手の強みを消すために」
Bリーグでは外国籍ビッグマンとのマッチアップは日常である。「そんなに意識して臨んでいるわけではないです」と構えない一方で、その影響力は強く意識している。
「彼らをいかに乗せないか、いかに気持ちよくプレーさせないか。それがチームとしてできれば、自分たちの利になるので、相手の外国籍選手を乗せないことを大事にしています」
相手に簡単なポジションを取らせず、味方が守りやすい状況を整える。そしてリバウンドを確保し、トランジションへつなぎ、インサイドで確実にフィニッシュする。この一連の流れを作ることも、シェーファーの役割だ。
「みんながやりたがらない地味なところをやり続けるのも、欠かせない仕事だと思っています。自分はそこを愚直にやり続けようかなと」

スクリーン、ハードダイブ、リバウンドでの身体の当て方、クリアアウト(味方のアタックに対し、自分のマークマンがヘルプに出られないよう身体を押し当ててプレーを制限すること)。得点やアシストには反映されなくとも、味方がシュートを打つまでの過程には確かな貢献がある。
「パッと見では分からないようなところを頑張り続けることで、チームってうまく回ると思うんです。そういう選手がいないと、逆に回らないと思っています」
全員が同じ役割を担う必要はない。得点する選手がいれば、その選手を生かす選手もいる。シェーファーはその価値を理解し、チームの攻撃を成立させる仕事を選んでいる。
シュートを決めるより気持ちいい
シェーファーのプレーを語るうえで欠かせないのが、スタッツには表れにくい仕事へのこだわりだ。たとえば、味方のガードがドライブする場面。ボールを持つ選手が自らの技術で突破することはできるが、その成功率を高め、負担を減らすためにインサイドの選手ができることは多い。
スクリーンをかけ、相手の守備の進路を制限する。ハードダイブでディフェンスを引きつける。リバウンドでは、自分が取れなくても相手に取らせないよう身体を当てる。さらに、クリアアウトでスペースを作り、ガードがレイアップへ向かう道を開く。

スクリーンの魅力について、シェーファーは思わず笑みがこぼれるような表現で語った。
「ちょっと変なのかもしれないですが、自分がインサイドでクリアアウトをして、ガードがスルスルッと抜けて、自分のスクリーンできれいにワイドオープンでレイアップに行った時はとてつもなく気持ちいいんですよ」
「正直、自分がシュートを決めた時よりも断然気持ちいい」。自分の動きが味方のチャンスに直結する瞬間である。
この言葉は、シェーファーのプレー観を端的に表している。しかも、それは偶然生まれたプレーではない。相手の位置を読み、味方の動きを想像し、どこにスクリーンをかければ効果的かを判断する。そのイメージが実際のプレーと一致したとき、大きな手応えを得られる。

「自分が思い描いた、こうなればいいなとなんとなく思って動きます。それがバチッとはまった時が、めちゃくちゃ気持ちいいんです。だから、自分の好みでもあるのかもしれないです」
スクリーンは、身体をぶつけるだけのプレーではない。味方のスピードや進行方向、相手ディフェンダーの位置を把握し、タイミングよく壁を作る技術が求められる。角度が少し違うだけで、味方が抜けるコースは変わる。スクリーンを使う選手との意思疎通が取れているほど、その効果は高まる。シェーファーが話す「気持ちよさ」は、こうした技術と判断が一つのプレーとして結実した瞬間に生まれるのだろう。
その感覚は、チームにとっても大きな意味を持つ。優れた得点能力を持つ選手であっても、すべての局面を個人技で打開し続けることは簡単ではない。シェーファーのスクリーンは、味方に得点機会を与えるだけでなく、エースの負担を軽減する役割も果たす。自分が直接シュートを打たなくても、チームの得点力を高めることはできる。その考え方がプレーの根底にある。


伸び続けるチーム最多連勝と問われる継続力
開幕直後は1勝3敗と苦しみ、チームとして噛み合わない部分があった。しかし連携が深まるとともに連勝は伸びた。10月19日の神戸ストークス戦を終えた時点で6勝3敗と立て直している。

チームの雰囲気を尋ねると、「楽しいですよ。非常に面白い選手ばかりですし、楽しくバスケットができています」と、率直な答えが返ってきた。ただし、満足はしていない。対戦相手も対策を練ってくる長いシーズン。求められる仕事を毎試合やり続けることが必要になる。
今シーズンの仙台は下馬評が高い。シェーファーは、評価への感謝を示しながらも冷静だ。
「どこが勝ってもおかしくないリーグだと思います。本当にレベルが高くなっているので、強豪であるという実感はないです。今シーズンを通して示し続けることで、やっとその称号というか、自分たちは強いということが確定するものだと考えています」

派手さよりも、確実な仕事。自分の得点よりも仲間の得点を生む喜び。
シェーファー アヴィ幸樹は、自分のスタイルを貫きながら仙台の勝利を支えていく。
文・写真:和田マナブ

