チーム創設後、話題に事欠かない長崎ヴェルカ（以下・長崎）。最速でB1リーグ昇格を果たした今シーズン、ラストピースは日本代表#18馬場雄大だったこともバスケットボールファンを驚かせた。
そんな長崎は、10月8日9日、長崎県立総合体育館で開幕戦を戦った。相手は、昨シーズンの準優勝チームでもある強豪千葉ジェッツ（以下・千葉J）。残念ながら、馬場はコンディション調整のため両日とも欠場をしたが、GAME1、1クォーターからリードを奪った長崎は、後半千葉の反撃を交わし91-82で見事B1での初戦を白星で飾った。この試合、今シーズンから加入したアメリカのプロバスケットボールリーグNBAのユタ・ジャズでプレーした経験を持つ、#7ジャレル・ブラントリーと創設期から長崎でプレーする#5マット・ボンズが共に20得点と勝利に貢献。ボンズは11リバウンドとダブルダブルの活躍を見せた。そして、ブラントリーと同じく、今シーズン宇都宮ブレックスから加入した#11荒谷裕秀が15得点と続いた。
翌GAME2では、一進一退の攻防が続いた。最終クォーターに入り、長崎は10点のリードを広げたものの、千葉Jが連続スティールなどから得点、詰め寄られ同点とされた。#9森川正明のスリーポイントシュートや、ボンズの得点で再びリードした長崎。千葉Jは、日本代表の#2富樫勇樹がスリーポイントを沈め勝負強さを見せた。試合残り時間1分を切り、2点差と最後までわからない試合展開に詰めかけた観客は大いに盛り上がった。最後は、昨日に続き15得点と活躍したブラントリーが勝負を決め、長崎は開幕節連勝と最高のシーズンスタートを切った。
試合後、GAME2のMVPに選ばれたボンズは、観客へ向け、「みなさん、こんばんは。今シーズンも応援よろしく」と、まず日本語で挨拶。「みなさんのおかげで今日も勝ち切ることができた。今シーズンも変わらずサポートしてくださると嬉しい」と語り、最後は再び日本語で「じゃあね〜」と手を振りファンを喜ばせた。
GAME1は3908人、翌日も4035人と、過去最多来場者数を連日更新した。GAME2の試合前、前田健滋朗ヘッドコーチは、「我々にとっては2日目だが見に来ていただいている方にとっては、今日が初めてだったり、特別な日だったりすると選手たちに話した。まずはプロのクラブ、プロのチーム、選手、コーチとして、何を見に来てくださっているのかということをしっかりと理解しプレーに入ろう。その上でチャレンジし前日よりいかにハードにプレーできるか、よりヴェルカのスタイルを出せるか。千葉は非常に素晴らしいチームであり絶対に昨日のような形では入ってこない。強い気持ちを持って試合に入ろうという意味で、チャレンジをもう一つのテーマにした」と振り返った。
GAME2では6選手が二桁得点を記録した。「いろんな選手がバランスよく攻撃に関わっていて非常にいい。目指している部分でもある。得点を取った選手も目立つが、#14高比良寛治や#1松本健児リオン、#2小針幸也らの素晴らしいディフェンスもしっかり評価してあげたい」と指揮官は労った。この3選手は初めてB1でプレーした。ヴェルカで着々と成長し実力を付けてきたからこその活躍だ。
さらに、「いい部分としては最後の最後までタフにしっかり戦い続けて、ボールを追いかけて、走る場面ではしっかりと走れた。ただ勝ったら全てがいいわけではない。しっかりと映像を見て、次の富山グラウジーズ戦に向けてしっかりと修正したい。そしてここからは成長のサイクルを早く、いかに成長するかだ」と続け、気を引き締めた。
昇格早々、大きなインパクトを与えた長崎。強豪ひしめく西地区でも嵐を呼ぶ存在となりそうだ。今シーズンも長崎の挑戦から目が離せない。
