[FOCUS 長崎ヴェルカ] 伊藤拓摩GM兼HC インタビュー VOL.4
長崎ヴェルカの伊藤拓摩GM兼HCインタビュー最終回。
伊藤GM兼HCが考える「今後の日本バスケットボール界に必要なこと」についても聞いてみた。その答えは明確で、伊藤GM兼HCならではのものだった。
「改革・革命」
伊藤GM兼HCは提言する。
「バスケットボールの強い国にするには単純、環境だ」
アメリカは競争社会だ。伊藤GM兼HCのお嬢さんが小学校から帰宅した際、「授業でバスケットボールをやったが面白くなかった。男子が勝負にこだわりすぎてパスをしないの。だから女子が怒ったの」と話したことがあったそうだ。
「日本の体育ではありえない。アメリカでは小学校でも真剣勝負、しっかり勝敗を決める」といい、「競争から負け方を知り、負けたことで自分の成長に繋げることを学び、当たり前になっていく」のである。それが小学校からできているのだから教育の考え方や環境が日本とは確かに全く異なると言えるだろう。
もちろん、日本のバスケットボールで見られる規律であったり、スキルや正しく戦術を遂行していく力なども大切だ。その上で伊藤GM兼HCは、「世界に出ると、相手が目の色を変えて激しくフィジカルに競争してくる。そういう中で、同じようにできるのか。競争することやフィジカル面が抜けていては意味がないのではないだろうか」と疑問を呈した。
「競い合っていい、負けたら悔しがっていい、たまには熱くなってもいい」
そして、「より良いプレーをする選手になるにはどうすべきか考えて欲しい。バスケットボール以外でも役立つはず」と力を込めた。
「バスケットボールとはどういうスポーツなのか見直して伝えていきたい」と語る伊藤GMはまっすぐ前を見つめていた。
伊藤GM兼HCについて弟である滋賀レイクスターズの伊藤大司選手は「プライドを持って最大限努力をする人」と表現し、京都ハンナリーズの松井啓十郎選手は「真面目で勉強熱心」と表現した。伊藤GM兼HCと2時間近く話をさせてもらったがその人柄は存分すぎるほど伝わってきた。そして誰よりバスケットボールを愛している。
長崎ヴェルカでの挑戦、GMという役職にプレッシャーも感じていると思うが、話を聞く限り過去の経験から程よく肩の力が抜けているようだった。
モットーは「成長あるのみ!」だ。目の前の問題を問題と捉えるのか成長の過程と捉えるのか。今できる最大限の努力をし常に前を向いてきた。
「夢がない」
伊藤GM兼HCにとっての夢を聞いてみると、意外な答えが返ってきた。「その時その時がゴールで、自分の幸福感を大切にしたいから、今は自分の持っているものすべてを長崎ヴェルカに注いでいる」と語ってくれた。
長崎ヴェルカのオファーを受けるまで長崎県を訪れたことはなかった。オファーを受けた後、2020年8月の終わりに初めて長崎の地に降り立った。今では長崎での生活をコロナ禍で行動範囲が限定される中で思いっきり楽しんでいる。ちょっと坂を登れば美しい景色が眺められる街、「散歩好きにはたまらない」そうだ。「海もあるし、海の近くにはおしゃれなカフェもあって、美術館もおすすめ。ちょっと入ると迷路みたいな街で、大好きなネコがそこら中にいてかわいい」と自身が感じる魅力を教えてくれた。長崎県は五島列島や壱岐、対馬など離島も魅力的なところだ。「五島は何日も泊まりたいところだった」と、すっかり長崎県に魅了されているようだ。
皿うどんやちゃんぽん、佐世保バーガーなど人気のグルメも豊富。「地元の飲食店と組んで、アリーナでも長崎の美味しいところを出していきたい」と意気込む。
長崎県は「魅力的な街だが、長崎ヴェルカも魅力の一部になりたい。そこに貢献するのが目標。方法は昇格すること。クラブ価値も上がるし、地元も盛り上がる。勝つチームを作る」と今の目標を熱く語ってくれた。
長崎ヴェルカならではの、伊藤GM兼HCならではのチーム作り、コンテンツ作り、今はすべてに胸が高鳴る。
今回の取材が終わり長崎から帰る飛行機内で、V・ファーレン長崎のウェアを着たファンと一緒になった。来年には長崎ヴェルカのグッズを身に付けたファンと一緒になるかもしれない。ふとそんな風に思うととても楽しみになった。
インタビューの一番最後に伊藤GM兼HCが語った言葉は、「チームも僕もここで結果を残したい」だった。
伊藤拓摩GM兼HC(長崎)インタビュー VOL.1
伊藤拓摩GM兼HC(長崎)インタビュー VOL.2
伊藤拓摩GM兼HC(長崎)インタビュー VOL.3
クラブプロフィール
HP:https://www.velca.jp/
twitter:@n_velca
instagram:@n_velca
Youtube:長崎ヴェルカ公式Youtube
「ヴェルカ」には、
①Welcome
②Well community
③Victory
の3つの意味をかけています。V・ファーレン長崎のように長崎で親しまれるクラブとなり、長崎らしい良い文化を取り込みながら、それと同時に地域創生を目指してほしいという想いを込めています。