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[FOCUS]長崎ヴェルカ 伊藤拓摩GM兼HC インタビュー VOL.2

今回は、長崎ヴェルカの伊藤拓摩GM兼HCインタビューVOL.2をお届けする。

前回、伊藤GM兼HCはアルバルク東京のHCとして、Bリーグの開幕戦という記念すべき試合で指揮を執りBリーグ初勝利を飾った人物だと紹介した。

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2016年9月22日。Bリーグにとって記念すべき日。国立代々木競技場第一体育館で行われた開幕戦「アルバルク東京 vs 琉球ゴールデンキングス」では、全面LEDのコートが当時世界で初めて公式戦で採用された。今でも目に焼きついて離れない。

もちろん伊藤GM兼HCにとって、もっとも思い出深い試合になったことは言うまでもない。NBLの最終年から1年かけ準備をし、そこに至るまでのドラマがあった。「あの場に立ち、試合前に整列をしパフォーマンスを見ていたらグッときて泣きそうになった」と振り返る。
今後、あの瞬間を越えるものはない、はずだった。しかし今、長崎で似たものを感じている。
「リーグでもゼロから1へ。長崎ヴェルカもゼロから1へ。岩下英樹社長も『あの感動を越えよう』と言っている」

Bリーグ開幕戦だけでなくNBL時代も知る伊藤GM兼HCだからこそ、長崎にもたらすことができるものもあるのだろう。

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「NBLでは勝ってなんぼ。観客も少なかった。ただ、Bリーグになりプロである以上は様々な価値を与えないといけない。HCとして勝つことや練習以前にも大事なことが増えた。事業面やメディア対応など。メディアに取り上げられることも必要」と語る。
チームの発足から、ロゴの発表、ユニフォーム発表やトライアウト開催など、地元メディアやバスケメディアに取り上げられる機会も増えている。
長崎の県民に聞けば、「V・ファーレン長崎(長崎県をホームタウンとするサッカークラブ)もとても人気になった。バスケットチームもできたら盛り上がると思う」と話す。
balltripのカメラマンがファンクラブ「ヴェルカーズゼロ」のTシャツを着ていると、喫茶店の店員さんが「そのTシャツはヴェルカのものですか?」と気が付かれたこともあった。

バスケットボールチームができること、その名前がヴェルカであることが、着実に浸透し、期待度を膨らませている。

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Bリーグ開幕初年度、アルバルク東京はエリート集団などと言われ優勝候補筆頭であった。しかしチャンピオンシップ準決勝で川崎ブレイブサンダースと対戦し、GAME3までもつれる熱戦の末破れ優勝の夢は叶わなかった。「とにかく悔しかった。チームとして山あり谷ありだった中、ベストな試合をしたことは素晴らしかったが川崎もより素晴らしかった」と悔いていた。コートサイドでしゃがみこみながらコートを見つめる伊藤GM兼HCの姿を思い出した。

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HCとは、決断・選択の連続だ。試合中には、選手の起用、戦術、タイムアウトのタイミングなどを決断していくのだが、それだけではない。日々、練習は何を行うのか、いつ練習をするのか、強度はどうするのか、選択を迫られる。
アルバルク東京時代、そんな日常に孤独を感じていた。違うやり方があったのかもしれない。孤独を感じていたのは全てを背負い込もうとしていた証拠だ。
「背負い込むだけでなく、他のコーチや選手にも当事者意識を持って、自分も変えられるんだと思ってもらう。長崎ではチームとしてマネジメントしていきたい」と語った。

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Bリーグ2シーズン目終了とともに、アルバルク東京のHCを解任となる。
10年近くを過ごしたチームだった。「立ち直るのには時間がかかった」という。
HCに昇格したのは33歳の時だった。30代前半、若くしてトップクラブ・アルバルク東京HC、最新の知識とスタイルで指揮を執った。
「自信があって迷いもなかった」
伊藤GM兼HCは、解任という出来事を「自分の悪い部分も知ることができたきっかけ」と捉えた。
「迷いが少しは必要だった。迷いがあるからコミュニケーションが生まれ、計画が立てられる」と今は考えている。
アルバルク東京時代の反省点はそれだけではない。選手との年齢が近かったため「選手とは距離を置いて壁を作るべきだ」と感じていた。それがより孤独を感じる要因になったのではないだろうか。
しかし、今大事だと思うものは「パートナーシップ」だ。「選手の意見も大事だ。最終的な判断はコーチがするが、どちらが上とかなく、もっとオープンに上手にコミュニケーションを取りたい」と過去の経験を活かす。
滋賀レイクスターズの伊藤大司選手は「兄は柔軟な人」と語る。それでも伊藤GM兼HCは「より柔軟性を持ちたい」と述べた。バスケットボールは「どういうチームでどのように戦っていくのか、チームとしてのカルチャーはブレてはいけない。しかし、外国籍選手の変化やけが人、さらには相手チームに外国籍選手が新たに加入した場合など様々な場面で臨機応変にアジャストしていく」ことも求められる。そんな時には「方法は柔軟に…」と語る伊藤GM兼HCは、柔らかい表情をしていた。
プレッシャーと孤独感で険しさがあったアルバルク東京時代。経験と反省を糧に、長崎では孤独を感じることなく、人間としてもコーチとしても成長した伊藤GM兼HCが新たな手腕を発揮するはずだ。
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取材場所:グラバー園旧自由亭

文:木村英里
写真:オガワブンゴ

伊藤拓摩GM兼HC(長崎)インタビュー VOL.1
伊藤拓摩GM兼HC(長崎)インタビュー VOL.3
伊藤拓摩GM兼HC(長崎)インタビュー VOL.4

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