2月5、6日に東京都の大田区総合体育館ではB2リーグ第20節アースフレンズ東京Z(以下・東京Z)対ファイティングイーグルス名古屋(以下・FE名古屋)が行われた。GAME1、B2リーグ首位を走るFE名古屋は、8人で戦わなければならない苦しい状況にあった東京Zを86-48で下した。
#11石川海斗はGAME1を終え、「東京Zは人数が揃わない中の試合、すごくタフだったと思う。僕らも試合が中止になった後の試合だった」とコロナ禍での試合の難しさを口にした。
しかし「各チーム状況は違えど、どこが相手であれどういう状況であれ、僕らはプレーオフへ進出し優勝するために求めているものを追求していかなければいけない」と試合前に話していた。「点数は離れていても、もう少しできた部分もあり、選手が変わってもチームのレベルをさらに上げなければいけない課題も見えた」試合だったと振り返った。
決して油断せず優勝、B1昇格という目標だけを見据えるFE名古屋は、翌GAME２も手を抜くことなく自分たちのバスケットボールを追求した。126-53という大差をつけて快勝したが、73点差での勝利はBリーグ史上最大の点差をつけての勝利となった。
川辺泰三ヘッドコーチ(以下・HC)は、「開幕節以来のフルメンバー。代表戦などもあるから今後も選手が揃わないことがある。ただ今節は#21笹山貴哉が復帰して、スーパースターが揃ってのタイムシェアや戦術面の質の向上がこの先肝になる」と試合後の会見で語った。#3エヴァンスルークは2月7日〜10日にかけて行われていた強化合宿に男子日本代表候補選手16名に選出され参加した。メンバー揃っての試合、練習がどれほど大事かチームとして実感している。しかし、若いメンバーを中心に選出された中、B2からただ一人選出されたこと、日本代表としての経験は間違いなくチームにも還元されるはずだ。
東京Zに連勝し、現在28勝4敗。東地区優勝のマジックは22となった。着実に目標へ向けて歩みを進めている。それでも石川は「レギュラーシーズンでいくら勝っても確実に上がれるわけではない。プレーオフを勝ち切るために、自分たちが重きを置いているディフェンスをもっとさらに遂行しなければならない」と気を引き締めている。選手たちも「マジックが点灯していても気にしていない」ようだ。
チームの雰囲気も良い。チームをまとめる石川の存在も大きい。川辺HCは「めちゃくちゃいい選手。オラオラ系に見えるが、周りに気を遣えてリーダーシップもある。もしかしたらチーム内で最もオフコートでバスケットボール以外にも気を遣える選手かも知れない。さすがポイントガードだなと思う。各選手に声掛けしながらどんなパスが良いのか、どんなプレーが好きなのかなどよく観察している。そういう面がプレーにも出ていると思う」と石川の印象を語っていた。
石川にとって昨シーズンまでのFE名古屋は「企業チームの名残がある」チームだった。そんなチームに熊本ヴォルターズから今シーズン移籍する際には「周りから見ると少しやんちゃっぽい選手が多いかな。ガードとしてまとめ上げるのが大変かな」と思った。しかし実際には「思っていたのと違いやんちゃではなかった。チームファーストな選手が多く、お互いのやりたいことをアピールしつつもチームとしてやるべきことを考え、今は同じ方向を見ている。仲間とのプレーはワクワクし、楽しさを感じている」という。
石川はさらに先を見つめている。「このままB1に昇格してもまた降格するだけ。そんな甘い世界ではない。B1で勝つための準備もしながらB2で圧倒的に勝てるように」今は日々取り組み続けている。チームも石川も、目標はB1昇格だけではなく来シーズン以降をも見据えていた。B2の舞台で戦いながら、B1で戦い続けられるだけの力をも蓄えている。今の圧倒的な強さの理由がそこにあった。
またチームには、石川だけでなく笹山、#18相馬卓弥などB1を経験したことがある選手たちが多く在籍している。今シーズン強力な補強を行い彼らを集めた理由は、B1レベルで戦えるチームを今シーズンから作り上げるためだったのだろう。今シーズンのみならず、来シーズンまでもが楽しみになる。
今後もコロナ禍での難しいシーズンは続いていく。その中で、自分たちに相応しい舞台に上がるため、個性的で強力な仲間を率いて挑み続ける石川にこれからも注目したい。
