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[FOCUS]長崎ヴェルカ 伊藤拓摩GM兼HC インタビュー VOL.3

前回に引き続き、長崎ヴェルカの伊藤拓摩GM兼HCインタビューVOL.3をお届けする。

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伊藤GM兼HCの元にオファーが届いたのは2020年5月のことだった。他チームからのオファーもあった中で、長崎に決めた理由は「強いバスケットボールチームを作るだけではなかった。地域を盛り上げることやバスケットボールが地域そのものになるポテンシャルを感じた」からだ。ジャパネットホールディングスが掲げる地域創生、その一環であるバスケットボールチーム。「日本を良くしたい」そんなビジョンに惹かれ、オファーを承諾することとなった。

以前、HCとして指揮していたアルバルク東京の本拠地・東京は特殊な街だ。長崎でバスケットボールを通じて町おこし、これは伊藤GM兼HCにとっても初めての挑戦だ。長崎ヴェルカがV・ファーレン長崎(長崎県をホームタウンとするサッカークラブ)とともに地元を元気にする存在となる。「V・ファーレン長崎が試合に負けて、悔しがるファンの方を見ると、明日は我が身でドキドキする」と笑う。スポーツが、この2チームが、生活の一部になる。伊藤GM兼HCが語る「長崎の人にとって欠かせない、無くてはならない存在になる」という目標。その目標は近い将来に成し遂げられるのではないだろうか。

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アルバルク東京HC時代のことを、当時チームに在籍していた松井啓十郎選手(現:京都ハンナリーズ)に聞いてみると「アメリカのシステムを取り入れていた。その時に流行っていること、最先端のものだった」と振り返ってくれた。それは戦術に限ったことではなく、練習にヨガを取り入れたこともあった。当時、NBAでも取り入れているチームがあった。取り入れた理由は「選手には、今この瞬間に集中して欲しい」という思いからだった。バスケットボールには特有の展開の速さ、オフェンスとディフェンスの切り替えの速さがある。「一つ前の悪いプレーや相手選手にされたこと、審判の判定に納得がいかないなどの時、切り替えないと次のプレーに必ず影響が出る。マインドフルにその状況ごとに向き合うことが大切」だからこそ用いたのがヨガの呼吸法だった。スポーツ心理学の先生も招き、メンタルコーチとセットで選手たちに学ばせた。体を柔軟にすることに加えて、心と体を落ち着かせることができるよう目指した。長崎ヴェルカでも「すごい方がスタッフで来てくれる」という。伊藤GM兼HCならではのチーム作りを期待したい。

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そして、チーム作りのキーワードは5つ。
「Hard」「Aggressive」「Speedy」「Innovative」「Together」

「バスケットボール好きのコアファンも、気になっている人もこれからバスケットボールを知るという人も、全ての人からワクワクされるチーム」を目指す。
「ボロ勝ちすることもあれば、ボロ負けすることもあり、試合とは不確実」でいつもいつも接戦で盛り上がる展開を見せられるとは限らない。しかしバスケットボールには楽しめる要素が豊富にある。試合前も、ハーフタイムもタイムアウト間にすらコンテンツが用意される。長崎ヴェルカのホームアリーナではどのようなエンターテインメントを見せてくれるのかも楽しみにしておきたいところだ。

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アルバルク東京のHCを退任し、コーチとしての勉強をもう一度したいと2018年秋に再びアメリカに渡った。NBAのチーム、ダラス・マーベリックスの傘下であるGリーグのチーム、テキサス・レジェンズのACとしてさらに経験を積んだ。
学生時代にアメリカで10年、帰国後日本で10年。「日本のバスケットボールや文化を勉強してからアメリカへ行った分、日本を客観的に見られた。第3者の目線で両国のいいところも伸ばすべきところも見えた」と振り返る。

今はNBAの舞台で戦う日本人選手もいる。また伊藤GM兼HCは当時、ダラス・マーベリックスのサマーリーグに参加していた馬場雄大選手(現:オーストラリアNBLのメルボルン・ユナイテッド)のサポートも行った。「八村塁選手や渡邊雄太選手の試合も見て嬉しかったし、雄大の成長は間近で見た。テキサス・レジェンズのサマーキャンプに呼んでもらったのは彼が勝ち取ったこと」と振り返りながら目を細めた。長崎出身のNBAプレイヤーが誕生することも夢ではないかもしれない。

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伊藤GM兼HCがアメリカで修行を積んだ2年間、もちろんBリーグも着実にレベルアップを遂げてきた。伊藤GM兼HCはBリーグの試合を視察しながら驚くことがあったそうだ。例えば、川崎ブレイブサンダースのホームゲーム。「NBLの東芝時代を知っているからこそ驚いた。空間がとても楽しかった。品のいいクラブにいるような感覚だった」と感想を語った。バスケットボールの本場アメリカでも試合以外の事業面の演出は素晴らしい。そんな本場の演出を見て学んできた伊藤GM兼HCすらも「仕事じゃなかったらモヒートを飲みたかった(笑)」と心を弾ませたとどろきアリーナの演出。DJセク山氏の選曲なども人気である。

そして選手にも変化が見られた。「選手自身がエンタメの要素の一つだと理解している。コートに出てきてからの行動がプロとして素晴らしい。川崎だけではなく、各クラブで見られた」と視察の感想を述べた。

また視察時には飲食や物販、販売方法、チア、トイレの場所や綺麗さまで細かくチェックをしている。基本的にGMとはチームを強化することが仕事であり事業面に口を出すことは少ないだろう。しかし現在、伊藤GM兼HCは「トータルパッケージとして長崎ヴェルカというチームをどのように作っていくのか」という視点で携わっている。これは、現時点ではまだ長崎ヴェルカの事業部にBリーグ経験者がいないことと、伊藤GM兼HCのこれまでの経験と知識、人脈があるからだ。

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ちなみに2年ぶりにBリーグに戻り、GMとして各チームの情報を知ることとなり驚いたことがもう一つあるという。「選手の年俸にびっくりした!コーチの年俸ももう少し頑張って欲しい」と茶目っ気たっぷりに笑っていた。長崎ヴェルカが地域を盛り上げようと目標を掲げるように、このコロナ禍において中止の試合もある中、Bリーグでは日本を元気付けようと各チーム、選手たちは奮闘を続けている。各チームの試合を視察しながら、伊藤GM兼HCは士気を高めている。

次はインタビューの最終回。伊藤GM兼HCの日本バスケットボール界へ、長崎への想いをご紹介したい。

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取材場所:グラバー園旧自由亭

文:木村英里
写真:オガワブンゴ

伊藤拓摩GM兼HC(長崎)インタビュー VOL.1
伊藤拓摩GM兼HC(長崎)インタビュー VOL.2
伊藤拓摩GM兼HC(長崎)インタビュー VOL.4

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