パリオリンピックに臨むバスケ日本代表 「このメンバーならできる」 balltrip MAGAZINE(ボールトリップマガジン)

パリオリンピックに臨むバスケ日本代表 「このメンバーならできる」

吉田亜沙美「東京オリンピックのメンバーが多い、プレッシャーは計り知れない」

7月4日から7日にかけて有明アリーナでは、パリオリンピックに向けた最後の強化試合が行われた。金メダルを狙う女子日本代表はニュージーランド代表と対戦。2連勝と弾みをつけた。4日には、11624人と女子日本代表史上最多となる観客を動員、注目の高さが伺い知れた。

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恩塚亨ヘッドコーチ(以下・HC)はオリンピック本番までに、チームとして「オフェンスではシュートの確率をしっかり高めていくこと。今日(6日)はスリーポイントシュートの確率が低かったのでしっかり上げたいです。あるいはそのスリーポイントシュートが入らない時に、どうプレーをデザインしていくのかだと思います。またディフェンスは、ペイントエリアでの失点をいかに減らせるか。ローテーションをいかに早くできるか。一つ大きなポイントとして、トランディションで走られないように高い位置で仕掛けていくことは続けていきたいと思っています。プレッシャーをかけ、相手の攻撃を停滞させることにこだわっていきたいです」と語った。

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6日の試合のスリーポイントシュート成功率は26.7%と課題を残した。オリンピックでの勝利のためにはこのスリーポイントシュートが大きなカギになる。それでも、恩塚HCは「コートにいる5人全員が走れて、スリーポイントシュートが打てて、先手を取った後にも連続性を持って仕掛けることを続けられる点。献身性と賢さが強みで、なおかつ最後までやり切るメンタリティを持っています」と、改めて日本の強みについて述べた。トム・ホーバスHC時代から作り上げてきた日本のスタイル。日本の強みを語る指揮官の表情からは、チームに対する自信が表れていた。

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馬瓜エブリンは、「もうこれはずっと繰り返しなんですけど、ディフェンスのところをもう少し頑張りたいと思いますし、今日は後半に出ると自分の中でもわかっていたので、どんな状況でコートに立ってもしっかりと走れるように。ディフェンスもオフェンスも、ちゃんと乗り切れるようにというところが、もっとできるはず」と課題を挙げた。
また、東京オリンピックでは3人制バスケットボールで出場していた山本麻衣。「(東京オリンピックは)結果も個人としても、すごく悔しい大会になりました。まず結果としては金メダルを取るというのを目標にしてやることと、自分自身がオリンピックという舞台を楽しめたらいいな」と話す。そのためにも「スリーポイントシュートとツーポイントシュートのバランスの判断をよくしたい」と、近づく本戦を見据えていた。

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パリ時間の29日、女子日本代表は初戦でアメリカ代表と戦う。東京オリンピック決勝の舞台で敗れている相手だ。大会まで残された時間は少ない。金メダル獲得のために、「まずはしっかり休みたいです。他の選手もそうですが、ちょっと疲労が溜まっている部分はあると思いますし、しっかり休んで気持ち入れ替えて、次の合宿からまた頑張りたいと思います」。そう話すのは、吉田亜沙美だ。自身にとってリオオリンピック以来のオリンピック出場。「周りは東京オリンピックのメンバーが多いので、プレッシャーは計り知れないものだと思います。私は東京を経験してないので、変なプレッシャーはありません。みんなのサポートもしていきたい」と意欲を見せた。

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課題をも笑顔で語る馬瓜や、チームメイトを思いやる吉田をはじめ日本一丸で、念願の金メダル獲得なるか。日本代表の戦いから目が離せない。

トム・ホーバスHC「八村塁と渡邊雄太が入るとコンビネーションも変わる、すごく楽しみ」

一方、韓国代表と対戦した男子日本代表は1勝1敗で終えた。ジョシュ・ホーキンソンは、「(韓国との1戦目は)自分たちがやりたいスリーポイントシュートやトランディションをやられてしまいました。常に自分たちのペースで試合を進めていくことが大事。(2戦目も)20点差に広げて相手の気持ちを折るチャンスはあったができなかった。試合運びがすごく大切です」と振り返った。

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トム・ホーバスHCも2戦目を終え、「勝ってよかった。でもまだ上手にできてはいない。良い面も悪い面もありました。オリンピックまで3週間ないですが、このメンバーならできると思います。八村塁と渡邊雄太が入るとコンビネーションも変わるので、これからすごく楽しみ。ターンオーバーが多く、フリースローもミスが多い。ノーマークのスリーポイントシュートも入らない。そこは直したい」と総括したが、修正できれば目標を達成できると自信を覗かせていた。

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「苦しい時代も乗り越えて、いろいろな人たちの思いを背負ってオリンピックに立ちたいと僕は思っているし、もしかしたらこれが最後の代表になるかもしれないですし。日本代表も力をつけてきたので勝たなきゃいけないし、日本代表のために戦うのは大前提ですが、自分が納得いくプレーをして、自分のためにも悔いのないように」
そう試合後の取材の中で語ったのは比江島慎だった。「自分の中ではある程度自信もつき、一番いい状態、全盛期だと思っています。(オリンピックは)その自信と経験を全部ぶつける場所だと思います。(今の日本代表は)歴代最強と言われていて、そういったプレッシャーもありますが、良い舞台にできたらいいなと思います」と笑顔を見せた。
オリンピックを前に、「本当に幸せなことです」と話す比江島の表情はとても印象的だった。今が全盛期だというベテランが、昨年のワールドカップ同様日本代表を牽引する。

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Bリーグ、仙台89ERSで活躍する韓国代表のヤン・ジェミンは、試合後に「日本はチームワークが良かったし、組織力が日本の強さだと私は考えています。役割の分担がよく出来ていて、守備のローテーションも良いです。私たちにとって学ぶべきことが多い試合でした」と振り返った。日本は、「アジアで唯一オリンピックに出場しますが、日本が良い成績を残せば、私たちの国も今後さらに発展できると思います。オリンピックで良い結果を出してもらいたいし、そしてアジアのバスケットボールに良い影響を与えてほしいし、発展できたら良いなと思います」と、パリオリンピックへ挑む日本代表にメッセージを送った。

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8日、男子日本代表も本戦に臨む12名が発表された。八村や渡邉、河村勇輝や富樫勇樹が名を連ねる中、ジェイコブス晶も最終メンバーに残った。アジアの期待も背負い、日本代表はパリへ向かう。男子日本代表は27日、ワールドカップを制したドイツ代表と戦う。

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4日に渡って行われたAKATSUKI JAPANの強化試合には、計49171人が来場した。東京オリンピックで銀メダルを獲得した女子代表、そして昨年開催されたFIBA ワールドカップで躍進した男子代表。パリオリンピックを前に最高の空間で強化試合を行うことができた。パリではどんな新たな景色を見せてくれるのだろうか。

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■5人制バスケットボール女子日本代表チーム
#3 馬瓜 ステファニー(PF / 182cm / CASADEMONT ZARAGOZA)
#8 髙田 真希(C / 185cm / デンソー アイリス)
#12 吉田 亜沙美(PG / 165cm / 公益財団法人日本バスケットボール協会)
#13 町田 瑠唯(PG / 162cm / 富士通レッドウェーブ)
#15 本橋 菜子(SG / 164cm / 東京羽田ヴィッキーズ)
#23 山本 麻衣(SG / 163cm / トヨタ自動車 アンテロープス)
#27 林 咲希(SF / 173cm / 富士通レッドウェーブ)
#30 馬瓜 エブリン(PF / 180cm / デンソー アイリス)
#32 宮崎 早織(PG / 167cm / ENEOSサンフラワーズ)
#52 宮澤 夕貴(PF / 183cm / 富士通レッドウェーブ)
#75 東藤 なな子(SF / 175cm / トヨタ紡織サンシャインラビッツ)
#88 赤穂 ひまわり(PF / 184cm / デンソー アイリス)

■5人制バスケットボール男子日本代表チーム
#2 富樫 勇樹 (PG / 167cm / 千葉ジェッツ)
#4 ジェイコブス 晶 (SF / 203cm / ハワイ大学)
#5 河村 勇輝 (PG / 172cm / 横浜ビー・コルセアーズ)
#6 比江島 慎 (SG / 191cm / 宇都宮ブレックス)
#7 テーブス 海 (PG / 188cm / アルバルク東京)
#8 八村 塁 (PF / 203cm / ロサンゼルス レイカーズ)
#12 渡邊 雄太 (SF / 206cm / – )
#18 馬場 雄大 (SF / 195cm / – )
#24 ジョシュ・ホーキンソン (C・PF / 208cm / サンロッカーズ渋谷)
#30 富永 啓生 (SG / 188cm / – )
#34 渡邉 飛勇 (C / 207cm / 信州ブレイブウォリアーズ)
#91 吉井 裕鷹 (SF / 196cm / 三遠ネオフェニックス)

文:木村英里
写真:濱田茉里國分唯斗

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