このチームを作り上げている今が一番楽しい 福島ファイヤーボンズ 菅野翔太 balltrip MAGAZINE(ボールトリップマガジン)

このチームを作り上げている今が一番楽しい 福島ファイヤーボンズ 菅野翔太

第9節を終え、B2リーグ東地区5位の福島ファイヤーボンズ(以下・福島)。第9節は、ホームに西地区首位のライジングゼファー福岡(以下・福岡)を迎えた。25、26日と行われた試合。GAME1は67-81、GAME2は69-74と連敗した。

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GMAE2を終えた#21菅野翔太に話を聞くことができた。
「前半、福岡のオフェンスリバウンドは1本のみだったが、後半8本も取られた。勝負所の残り2〜3分、オフェンスリバウンドからエンドワンを与えてしまった。また僕たちの課題であるターンオーバーを何本かしてしまい、福岡は着実にシュートで終えていた。」と振り返った。

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前日の敗戦から修正した福島はGAME2では終始リードしていたものの、試合の最後に逆転を許し勝利を逃した形となった。この勝敗を分けた差について、「福岡はラモン・ロペス・スアレスヘッドコーチ(以下・HC)が2年目。メンバーは新たに変わっているが、それぞれが他チームでエース級だった選手や長い時間プレーしてきた選手でベテランも多い。僕たちは新しいHCに加えて、あまりB1リーグでもそんなにプレータイムがない選手や#3加藤嵩都はB3リーグから移籍してきた選手。40分通してバスケットボールをしていた選手たちではない。今はまさに学んでいる段階なので、西地区の上位チーム相手に今日みたいなゲームを勝ち切ることができたら」と、経験値を挙げた。

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菅野の言う通り、終始リードされる展開にも福岡は一切慌てることなくプレーを続けていた。決して福岡のパフォーマンスがよかったわけではない。福岡のロペスHCは「選手が、試合中に修正できる。メンタルは強みだ」と語った。
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福島は勝つ経験、勝ち切る経験、そこから生まれる自信を得たい。「昨日は簡単にコーナースリーなどをやられていたが、今日はディフェンスの連動性があり成長が見えた」と、着実に階段を上がっている。

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同時に課題も見えている。「後半、誰のシュートが入っているのかを全員が理解して守らなければいけない。(#33加藤寿一に)連続でスリーポイントシュートを決められなければ追いつかれる展開にはならなかっただろう。あの時、コートに立っていたメンバーには伝えたし、彼らも今日経験できたと思うのでこれからの試合ではもっといいディフェンスができるはず」。

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菅野が語っていた経験。「今、何がうまくいっていて何がうまくいっていないのか。試合中にそこを全員が理解しなければならない。少しずつ一人一人理解してきている。あと1、2歩かなと感じている。勝って学べることが一番いい。 勝利に貪欲になりたい」と、一筋の光は見えている。

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今シーズン、長年在籍した選手たちがクラブを離れるなどチームは一新、改革の時を迎えた。キャプテンを務める#78田渡凌も今シーズン加入した選手だ。菅野にとって田渡はすでに大きな存在となりつつある。

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常日頃、二人はチームについて話し合い、選手たちへ伝え続けている。「今年はメインで使ってもらっている分、コーチ陣とも話しやすく、若い選手たちは僕や凌を頼ってくれる。みんながいかに思い切りよくプレーできるようにするかも僕たちの役割だ」と、自信に加え責任感も増したように見えた。

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「シーズン前からいろいろなことがあり大変だったが、チームを一から作り直す経験はなかなかできない。僕の成長にもなるし、本当に凌が来てくれてよかったなと思う。彼はチームを俯瞰で見られて、英語で外国籍選手にダメなことを伝えてくれる。一番チームを勝たせたいと思っているだろうし、同じくらい僕もチームを思っている。凌とこのチームを作り上げている今が一番楽しい」と笑顔を見せた。最高の相棒を得たのかもしれない。

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「なかなか結果に結び付かず、みんなもどかしい気持ちになるのは分かるが、まだ20試合も終わっていない。これから全然取り返せる。連勝できるようになるとチームの雰囲気はガラッと変わる。12月はアウェーでの難しいタフなシチュエーションになるけれど、今のメンバーならちゃんと前を向いて成長できるチームだと思っている」、菅野の言葉は力強かった。なかなか勝利できず苦しい戦いを続けるチームを支えるベテラン、その表情はどこかスッキリもしているように見えた。
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菅野にとって、昨シーズンのプレーオフ、佐賀アリーナで戦ったクォーターファイナルがひとつの転機となっている。佐賀バルーナーズの#2レイナルド・ガルシアとマッチアップ、「自分がどれくらいやれるのか体感した。ガルシアを守れるならもうちょっと自信を持っていい」と手応えがあった。

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迎えた今シーズン、「これまでに比べてディフェンスの部分でエースに付くことが増えた。時にはガードにもマッチアップしたり、今シーズンはディフェンスでも期待してもらっている。後半、足が疲れて来た時にシュートの確率を落とさないようにしたい」と、自身のレベルアップを感じながら、チームの難しい時期と向き合う今、やり甲斐をとても強く感じている。
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「このメンバーで長年やっていったら、B1に上がれるんだろうな」とよくチームメイトとも話している。結果が出ない時、誰かのせいにせず自分のプレーと向き合える選手が集まった。だから、このチームは絶対強くなるという確信があるのだ。
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菅野の言葉からは仲間を思う愛情が伝わってくる。「一緒にやっていて気持ちいいし、心の底から出ているメンバーが活躍してくれたら嬉しい。自分が出ていなくてもチームが勝ってくれたら本当に嬉しい。今まではどうしても自分も出て勝ちたかった。 今は、自分のプレータイムがなくても勝てるのなら」、そう思える仲間と出会い新たな挑戦を始めた。

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改革には痛みが伴う。それでも、「誰一人今の状況で下を向いていない。試合が楽しみで、このチームで成長できている今がたぶん一番楽しい。今日は37分まで自分たちのバスケットボールを表現できた。もう一歩」なのだ。
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菅野の表情は明るかった。言葉には勢いと充実感が溢れていた。プロ10年目。「今シーズンが1番楽しい」、何より嬉しい言葉だった。言葉と表情から伝わる充実感。だからこそ結果でも示したいところ。次節は、青森県武道館で青森ワッツと対戦する。「変わらず信じて応援してもらえたら」、ファンへなんとしても勝利を届けたい。
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文:木村英里
写真:オガワブンゴ

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