「FIBAバスケットボールワールドカップ2027」を目指す戦いが始まっている。11月28日、神戸市にあるGLION ARENA KOBEで行われたのは、アジア地区予選Window1だ。日本代表はチャイニーズ・タイペイ代表と対戦し90－64で見事勝利した。
試合後、「去年のオリンピック以来の代表のユニフォームを着ました。すごく楽しんでプレーすることができましたし、またこのユニフォームを着ることができてすごく光栄です」
と語ったのは渡邊雄太。チーム最多となる20得点5アシスト5リバウンドとチームを牽引、勝利に導いた。
2クォーター、渡邊の連続スリーポイントからアリーナの雰囲気は変わった。「チームが停滞した時は、僕が点を取りに行かないといけないと思っています。今日は自分の仕事ができたと思います」と振り返っていた。
キャプテンとしてチームを支える渡邊。
「色々と責任は出てきます。自分がしっかり発言できるように、まずは自分が先頭に立ってハードワークをするところをいつも心がけています」
チームを鼓舞する姿や味方のプレーを全力で喜ぶ姿がこの日も印象的だった。1クォーターで馬場雄大のブザービーターが決まった瞬間や、3クォーターにジョシュ・ホーキンソンがダンクシュートを叩き込んだ場面では、仲間と全力で歓喜する渡邊の姿も重なり、会場の熱気は最高潮に達した。
積極的にコミュニケーションを取る渡邊は、味方に対して厳しいことも口にしている。
「良いプレーに対してはしっかり良いプレーだったと伝えてあげますが、ダメなことに対してもしっかり言わないといけない。良いことだけ言っていてもダメ。悪いことだけを言うこともそれは雰囲気が悪くなるだけです。その辺のバランスを意識しています」
そんな渡邊のことを、齋藤拓実は「あの身長で3番、4番ポジション両方できて、シュートもスリーポイントだけじゃなくてミドルシュートもかなり上手なので、そこでミスマッチの差で決めきれる力があることが本当にすごいなと思いました。ハーフタイムだったり試合中もそうですが、彼のリーダーシップや声かけに助けられる部分もありました。本当に頼もしい存在です」と語っていた。
そんな齋藤は、2年ぶりに代表に招集され、この日は先発起用された。「久しぶりの日本代表ということで、自分の持ち味をしっかり出しコートで表現できたらという気持ち」で臨んでいた。
「ポイントガード陣で競い合い合宿に臨んできました。選手それぞれの持ち味があります。今日、チームの方針として求められていたのは、ボールをプッシュして少しでも早い展開を作っていくことでした。ペイントアタックしてキックアウトする点では、良い形でできたのかなと思っています。あとはディフェンスのトーンをセットして出だしからプレーをしました。前半を22点で抑えることができたところはすごく良かったです」と語り、手応えと充実感を滲ませた。
「ここに立ちたくても立てない選手がたくさんいます。日本代表としてプレーするということは、本当に光栄なことだと思います。今日も大事な初戦をしっかりホームで勝ち切れたのはファンの皆さんが応援してくれたおかげだと思います」
齋藤の言葉からは、代表への特別な思いとファンへの感謝が伝わってきた。
そんな2人をはじめ、ホーキンソン、馬場、富永啓生らも活躍。ワールドカップ出場をかけた日本代表の戦いは、ホームの声援を受けて白星スタートとなった。次は、12月1日に行われるアウェーでのチャイニーズ・タイペイ戦。Window1での連勝に期待したい。
