最後の青春 横浜ビー・コルセアーズ キング開
令和4年度・第74回全日本大学バスケットボール選手権大会が、12月3日から11日にかけて、国立代々木競技場 第二体育館、大田区総合体育館、駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場を会場に行われる。
男女それぞれ40チームが出場し、頂点を決める。シード権を持たない24チームが1ブロックにつき3チームに分かれる。あわせて8ブロックに分かれリーグ戦を行う。各リーグ首位のチームが、トーナメント出場権を獲得。トーナメント戦は計24チームで争われる。決勝は、男女ともに11日に国立代々木競技場第二体育館で開催される。
(大会サイトはこちらから 男子 女子)
インカレの愛称でバスケットボールファンからも愛される大会。近年は、徐々にBリーグ人気の高まりも受け、Bリーグに加えて大学バスケットボールに注目する人も増えているという。未来のBリーガーを発掘するという意味でも見逃せない。
そこで、balltrip MAGAZINEでは、インカレ出場経験を持つ2選手に話を聞いた。今回、第一弾は、専修大学出身、横浜ビー・コルセアーズの#23キング開だ。
「各学校にストーリーがある」ことが、インカレや大学バスケの魅力だ。「学生のスポーツは限られた時間の中で、色々な思い出ができる。一人一人の競技への気持ちも違う。最後、4年生の意地が毎年ある」と、バスケに限らず、学生スポーツ特有のストーリーには、「見ていて、楽しく熱くなる」と、いつの時代も心揺さぶられるものがある。
キングは、昨年、73回大会に4年次で出場。準決勝で対戦した東海大学に惜しくも敗れたが、怪我をしながらもチームトップの15得点をあげる活躍を見せ、大会を通じて優秀選手賞を受賞した。
数ある試合の中で、「3年生の時(72回大会)、5位決定戦が記憶に残っている」というキング。対近畿大学で、最後のシュートを放った。しかし、シュートを決めきることができず、チームは71-70、1点差で敗れたのだ。「ゲームウィナーを任されて決めきれなかった。先輩を勝たせてあげたかった」と今でも悔やんでいる。そのたった一本のシュートが、バスケットボールへの姿勢を変えた。「あんな思いはもう2度と味わいたくない」と自主練習方法を変えるなどしたのだ。インカレがキングにとって「糧になる大会」であったことは間違いない。
また、「チームをまとめる力を得たことも大きい」と振り返る。プロになる直前、「キャプテンの役割は大事」と学んだ。大学生ともなれば、「一人一人の感情もある」中で、「まとめるのは難しかった。でも、キャプテンのあり方はひとつではない」と自分なりのキャプテン像を見つけていった。仲間からは「キャプテンを任せてよかった」と最後に声をかけられた。この経験が、今の自信につながっていることは間違いない。選手にとって、大学バスケは人間性にも大きな影響を与えるものだ。
また、大学バスケならではの難しさを「立て直す力だ」と、断言した。いかにチームの雰囲気を変え、悪い流れを断ち切るか。今大会、各出場校が間違いなく直面するであろう壁。そんな時に若い学生たちが、どう向き合い切り変えていくのか注目したい。
大会はもちろんインカレだけではない。その中でもインカレは特別。「1年でどれだけ成長したかを見せる場所」であり、「プロを目指す人間にとっては、実力を示せる場所」。キングも当時、いい緊張感の中でプレーしていた。
専修大学の後輩に向けては「インカレ優勝できる力がある。僕たちの思いも背負って優勝してほしい」とエールを送った。その他、出場選手たちにも「これでバスケットボールをプレーするのが最後になる選手もいる。悔いのないように」と思いを語ってくれた。
キングにとって、インカレは「最後の青春」だった。このメンバーで戦うのは最後。未来のBリーガーだけでなく、今大会を最後にコートを去る選手たちなど様々な思いが交錯し多くのストーリーが紡がれる大会。ぜひ、学生ならではの熱い戦い、奮闘ぶりを見つめてもらいたい。