人としてもプレーヤーとしても成長できている 仙台89ERS 小林遥太

人としてもプレーヤーとしても成長できている 仙台89ERS 小林遥太

 ついに今シーズン、ゼビオアリーナ初勝利。6試合ぶりの勝利に、会場は大いに沸いた。11月27日、仙台市にあるゼビオアリーナ仙台で行われた、B1リーグ第7節。仙台89ERS(以下・仙台)対川崎ブレイブサンダース(以下・川崎)GAME2。前日、GAME1を落とし、5連敗となった仙台は、91-87と逆転勝利をおさめた。

人としてもプレーヤーとしても成長できている 仙台89ERS 小林遥太

 この試合17得点とキャリアハイを記録した#0小林遥太に、試合後、balltripMAGAZINEでは話を聞くことができた。このカード1勝1敗という結果に終わったが、GAME2勝利直後ということもあり、「今日は気持ちよかった」と最高の笑顔を見せた。

人としてもプレーヤーとしても成長できている 仙台89ERS 小林遥太

 対戦した川崎の#0藤井祐眞とは、Bリーグ界でも有名な親友同士。久し振りに、コート上でバチバチにプレーしあった直後ということもあり、「いや、疲れましたね」が、インタビューの第一声だった。「コートの端から端まで走って。めちゃくちゃしんどかった」と言いながらも、笑顔。その理由は「単純に楽しかった」から。GAME1では、フリースローのあとに「隙を見て走られた。まんまとだまされた」と悔しがっていた、そんなシーンもあった。だからこそGAME2では、藤井に「やられてはいけないプレーを肝に命じて試合に臨んだ」という。

人としてもプレーヤーとしても成長できている 仙台89ERS 小林遥太
人としてもプレーヤーとしても成長できている 仙台89ERS 小林遥太

 普段はのんびりだという藤井とのプライベートな関係。「基本的には僕主導。これをしようと提案すると、一緒にそれをしてくれる。藤井からの提案は一切ない」という。コート上で積極的に指示をしたり、闘志あふれるプレーを披露する藤井とはまったく別の姿を小林は知っている。試合後、逆転負けを喫し悔しそうな藤井の様子を「根本的に負けず嫌いだから」と思い返していた。藤井のことを満面の笑顔で語る姿からは、ファンが思わずうらやんでしまうほどの仲の良さが現れていた。

 チームとしては「レベルアップできたと感じる連戦」だった。連敗中、接戦で勝ち切れないという悔しさを抱え、応援に駆けつけてくれるファンも多い中、負けるたびに申し訳なさが募るばかりだった。「チームみんなでがんばって掴んだ勝利」だからこそ、価値がある。勝利する経験の蓄積はチームとして自信に繋がる。「勝利を忘れず、慢心せず、もっとレベルアップできたら」と気持ちを新たにしていた。

人としてもプレーヤーとしても成長できている 仙台89ERS 小林遥太
人としてもプレーヤーとしても成長できている 仙台89ERS 小林遥太

 藤田弘輝ヘッドコーチから、負けが続いていた際には、「もっと攻めてもいいのではないか」とアドバイスを受けた。ディフェンス面も「もっとやれる」と声を掛けられている。期待されている以上、「応えたい」という強い思いものぞかせていた。

人としてもプレーヤーとしても成長できている 仙台89ERS 小林遥太
人としてもプレーヤーとしても成長できている 仙台89ERS 小林遥太

 今シーズンから仙台の選手として戦っている。前述の通り、ホーム、ゼビオアリーナ仙台で今シーズン初勝利。名古屋ダイヤモンドドルフィンズから移籍してきた小林にとっても、はじめてホームでの勝利を味わうことができた。だからこそ、喜びはひとしおだった。仙台は今シーズン昇格し、初年度ぶりにB1の舞台で戦っている。「名古屋とはちょっと違う雰囲気がある」と語る。例えば、仙台駅前のアーケードを歩けば、大きな応援横断幕が掲げられていた。野球では楽天イーグルス、サッカーではベガルタ仙台と、仙台を拠点に活動するプロスポーツチームがある。その中でも、街が後押ししていること、盛り上がりを感じることができる。さらに「この勝利をきっかけに、もっともっと応援に来てくれたら」と願いを込めた。

人としてもプレーヤーとしても成長できている 仙台89ERS 小林遥太
人としてもプレーヤーとしても成長できている 仙台89ERS 小林遥太

 はじめての仙台生活。「とりあえず寒い」と苦笑いしながら、「大変だからこそチームみんなで成長できる」と、新天地での挑戦を楽しんでいた。新たな仲間は熱いメンバーが多い。小林と同じく、ポイントガードの#15渡辺翔太は「練習中からすごくがんばる選手で、刺激し合える良い関係」だ。

人としてもプレーヤーとしても成長できている 仙台89ERS 小林遥太
人としてもプレーヤーとしても成長できている 仙台89ERS 小林遥太

 移籍後、「人としてもプレーヤーとしても成長できている」と感じる。「すごく真面目な選手ではないと思うが、こんな選手でもがんばっているから自分もがんばろうと思ってくれたらうれしい」と、ファンへの言葉も語ってくれた。「移籍してよかった」、そう最後に微笑む表情からは、充実している様子がよく伝わってきた。まだまだ成長過程。どのような選手になり、仙台にどう貢献していくのか、ぜひ注目してほしい。

文:木村英里
写真:Shinobu Mino




関連記事一覧