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川崎ブレイブサンダース 佐藤賢次ヘッドコーチが「迷いがなく頼もしい。いつか大爆発する」と期待を込める選手とは

川崎ブレイブサンダース 佐藤賢次ヘッドコーチが「迷いがなく頼もしい。いつか大爆発する」と期待を込める選手とは

 3月12日、昨シーズンのBリーグチャンピオンである千葉ジェッツを破り、見事天皇杯連覇を達成した川崎ブレイブサンダース。そして天皇杯優勝後、短い期間でのリーグ戦。16日には敵地アオーレ長岡で新潟アルビレックスBBと対戦した。川崎は昨年の天皇杯優勝後のリーグ戦で、アウェーで名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦しGAME1を落としている。疲労のみならず気持ちの切り替えや集中力と言った独特の難しさと直面した。しかし今シーズンは「いつも通りに練習をし、いつも通りに試合に臨めた」と試合直後に#13前田悟は振り返っていた。

川崎ブレイブサンダース 佐藤賢次ヘッドコーチが「迷いがなく頼もしい。いつか大爆発する」と期待を込める選手とは

 天皇杯連覇に導いた佐藤賢次ヘッドコーチは「チーム全体で自信を高めてきている」と言う。次なる目標は、Bリーグ開幕後まだどのクラブも達成していないリーグ戦との二冠だ。「新潟戦でもゾーンディフェンスを使いながらチェンジングディフェンスを最初から使った。タフなスケジュールの中でどうコントロールしていくのかがこの先の課題。今まで築き上げた軸を崩さず色々な戦術を駆使しゲームをコントロールしたい。悪い流れの中でも自分たちの力で流れを引き戻せるチームに成長していく」と気合を入れ直した。ハードなスケジュールの中で練習がなかなかできないのが現状だ。3月16日深夜に発生した地震の影響を受けながら、19日20日に行われる秋田ノーザンハピネッツ戦に向けて移動した。それでも日々、「試合の中で課題を見つけてしっかり成長する。新潟戦もプレータイムのシェアができた。全員の力で戦っていく」と力強く語っていた。

川崎ブレイブサンダース 佐藤賢次ヘッドコーチが「迷いがなく頼もしい。いつか大爆発する」と期待を込める選手とは

 「自分が先頭に立ち引っ張っていきたい」と気を引き締める指揮官。その下で「川崎のバスケ」にフィットし挑戦を続ける選手がいる。今シーズン富山グラウジーズから移籍をしてきた前田である。彼はリーグ制覇へ向けキーマンとなるのではないだろうか。

 バイウィーク明けの3月4日5日に川崎市とどろきアリーナで行われた信州ブレイブウォリアーズ戦以降、スターティングメンバーとして出場を続けている。「バイウィークに調子が良かった」と振り返っていたが、長く川崎の中心選手として牽引し続ける#7篠山竜青は「(前田は)バイウィークに調子が良かっただけでなく本来の力を出せるようになった。チームに慣れ彼らしさが出てきたし、今後もっとチーム全体で彼らしさを出して行けると思う」と語っていた。

川崎ブレイブサンダース 佐藤賢次ヘッドコーチが「迷いがなく頼もしい。いつか大爆発する」と期待を込める選手とは
川崎ブレイブサンダース 佐藤賢次ヘッドコーチが「迷いがなく頼もしい。いつか大爆発する」と期待を込める選手とは

 「シュートも上手く打てているし、川崎のディフェンスも掴めてきた」と確かな手応えを感じてきた中で迎えた天皇杯だった。天皇杯優勝は、前田にとって初めての日本一だった。「キャリアの中で日本一のタイトルを獲ることは簡単ではない。タイトルを獲得したチームの一員としてその場に立てたこと、川崎に移籍してきたことは良かった」と素直に喜んだ。
 
川崎ブレイブサンダース 佐藤賢次ヘッドコーチが「迷いがなく頼もしい。いつか大爆発する」と期待を込める選手とは

 佐藤ヘッドコーチは、そんな前田について「まず迷いがない。それが何よりも頼もしい」と語り、「シュートが入る入らないはあるが、自分のタイミングで打ち切ってくれている。いつか大爆発する。本人が今シーズン課題としてきたディフェンスも自信を持っている。この調子でどんどん積極的にやってほしい」と大きな期待を寄せていた。信頼を勝ち得ているからこそのスターティングメンバー起用なのだろう。佐藤ヘッドコーチは「先制パンチを喰らわせる」と言う表現をし、「相手がやりたいことをやらせないように」と選手たちに伝えている。そういった意味では、前田が取り組んできた川崎のディフェンスと言う面でも評価を受けている証拠だろう。

川崎ブレイブサンダース 佐藤賢次ヘッドコーチが「迷いがなく頼もしい。いつか大爆発する」と期待を込める選手とは
 ただスターティングメンバーで出場しているからと言えど「プレータイムが伸びているわけではない」と冷静だった。天皇杯でも10分ほどのプレータイムだった。「もっとコートに立ちたかったと言う率直な気持ちはある」とも明かしていた。ただこの天皇杯では「その場その場で与えられた仕事をこなすことが日本一のタイトルを獲るためには必要だ」と学び、「いい経験になった」と語る前田の眼差しを見れば、今後さらに飛躍してくれるだろうと思う。

 自身の課題としては「もっとハンドラー的な仕事をするために技術も伸ばさないといけない。今の川崎はオンボールの攻撃が多い中でもっとそこを高めていかないとプレータイムも伸びないだろう。今後のバスケットキャリアを伸ばす上でも、もっと様々なプレーの幅ができるようにならないといけない」とより高みを目指す。
 日々、国内トップレベルの選手たちとしのぎを削り合っている。バスケットボール選手としてより成長していく環境としては申し分ないだろう。佐藤ヘッドコーチが語る通り大舞台で大爆発する前田の姿を想像すると、今から楽しみでならない。川崎のBリーグチャンピオンに向けた新たな戦いは既に始まっている。

川崎ブレイブサンダース 佐藤賢次ヘッドコーチが「迷いがなく頼もしい。いつか大爆発する」と期待を込める選手とは

文:木村英里
写真:Shinobu Mino

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