誰かのせいにしても自分が上手くなるわけではない 川崎ブレイブサンダース 飯田遼

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5月4日、5日にかけて行われた横浜ビー・コルセアーズ対川崎ブレイブサンダース。レギュラーシーズン最終節は1勝1敗、川崎のシーズンを通じての戦績は33勝27敗、中地区4位。チャンピオンシップ出場は叶わず幕を閉じた。

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オーバータイムにまでもつれたGAME1では25分の出場となった川崎#37飯田遼は、「自分にできることを頑張ろう」とコートに向かっていた。スターターで出場した#33長谷川技と交代でコートに送り込まれた。「技さんはファウルすることを迷わない人なので、うまくファウルを使いながらディフェンスするだろうと思っていました。相手にストレスになることなので、今までの試合を見ていて、ファウルが一回二回続く可能性があるかなと考えていて、(自身の出場が)もしかしたら早いかもしれないな」と準備をしていた。

誰かのせいにしても自分が上手くなるわけではない 川崎ブレイブサンダース 飯田遼
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さらに飯田は、横浜の#5河村勇輝に対する自身のディフェンスについて振り返った。
「結果的に点数を見たら30点取られているので良くなかったなと、もう少し賢くプレッシャーをかけられる場面があったと思います。それがファウルでもいいと思いますし、ちょっと判断が遅くなってしまい、結局フリースローを与えてしまいました」と反省していたが、河村に対するディフェンスは確実に相手を嫌がらせるものだったのではないか。

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#42益子拓己が契約してからは、ロスター外となる試合も度々あった。
「悔しかったです、もちろん。でも、誰かのせいにしても自分が上手くなるわけでもないですし、それがいいプレーに繋がるわけでもないです。何をしたらチームにとって一番良い影響になれるのかなと考えて過ごせたことや、取り組めたことが良かったと思います。そういうメンタルで日々過ごしていましたし、それが実を結んでくれたら」と、日々実直に取り組み続けてきた。悔しい思いを抱えながら腐らず自身と向き合い続けることは簡単なことではないだろう。横浜BC戦のプレーを見て、誰もが飯田の日々の努力を感じたはずだ。

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試合中、ベンチでは#12野﨑零也にプレーについて確認したりアドバイスを求める姿もあった。飯田が出場できなかった試合でも度々二人のそんなシーンがあった。今シーズン同じタイミングで川崎に移籍した95年生まれ同士、ウィンターカップで対戦してからの仲。今は、切磋琢磨しながら刺激し合う良き関係だ。
「自分がプレーをしている時の感覚と、周りから見ている感覚は少し違うと思います。僕がベンチから外れた時も、零也に声をかけています。今日も、客観的にどうなのか聞きたくて、ここどう思う?とか、さっきのプレーはどうかな?と聞いていました。(野﨑からは)さっきのあのプレーは良かったと思うとか、ファウルでも良いのではないかとかコミュニケーションを取っていて、やっぱり助かりますね」

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二人が確認し合うプレーは主にディフェンス面が多い。支え合いながら川崎での挑戦を続けてきた。残念ながら最終節は負傷の影響で野﨑がコートに立つことはなかったが、GAME1終了後のインタビューの中で「やっぱりケガでもそうでなくても、試合に出られないというのは悔しいと思います。だから試合に出られる状況はありがたいです。明日ももっと良くなれるように、少しでも」と語る言葉には、ライバルであり友でもある仲間への思いが見え隠れしていた。

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残念ながら川崎はチャンピオンシップへ出場することは叶わなかった。今シーズン、初めてB1リーグに挑戦していた飯田にとっては、立ってみたい場所だった。「自分たちが招いた結果なので、過去のことは悔やみます」と残念がった。

今シーズン、飯田にとっては全てが挑戦だった。
「全部貴重な経験だったことは間違いないです。どんなところが成長したかはシーズンが終わってから考えたいですが、心も体も1年前に比べたらだいぶ成長できたのかなと思う部分がたくさんあります。自分のやるべきことを間違いなくやり続けられたかなと思うので。当たり前のことですが、辞めてしまったら意味がないです。そういうことができたのではないかなと今は思います」

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どんな時も、チームのためにできること、自分が今取り組むべきことに直向きだった。悔しさだけでなく、その経験から得た自信が微かに顔を覗かせていた。来シーズン以降、またこの経験を糧にさらにステップアップしてもらえたらと思う。

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毎試合、会場では熱心に声援を送るご両親の姿もあった。試合後は「お疲れさま」くらいの短い会話のみだと笑っていたが、心強かったことだろう。ご両親は「B2リーグとは全てが違うと話していました。本当に変わったと思います」と、息子の成長に目を細めていた。シーズンを通して、発する言葉も表情も変化していた。

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さらに飛躍する姿をご両親もファンも楽しみにしている。すっかり川崎のファンから愛される、期待される選手になった。来シーズンも飯田のさらなる飛躍を楽しみにしたいところだ。

文:木村英里
写真:濱田茉里

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