川崎ブレイブサンダース チャンピオンシップ進出を目指し死に物狂いで挑む選手たち balltrip MAGAZINE(ボールトリップマガジン)

川崎ブレイブサンダース チャンピオンシップ進出を目指し死に物狂いで挑む選手たち

「笛が鳴らないなら戻れよ!」

4月13日。長野市のホワイトリングで行われた信州ブレイブウォリアーズ対川崎ブレイブサンダース。後半一回目のタイムアウト、川崎のベンチではそんな声が響いていた。

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川崎は、4月20日21日に川崎市とどろきアリーナで行われたシーホース三河戦を1勝1敗で終えた。31勝25敗、中地区4位。最終戦まで全勝すれば地区2位を自力で掴み取ることができると挑んでいたが、三河戦GAME2で残念ながら敗れたため叶わなくなった。しかし、2位の三河(33勝23敗)、3位のサンロッカーズ渋谷(32勝24敗)を追いかける展開は続く。

10日に行われたSR渋谷戦以降、5連勝とチームは調子を上げてきていた。三河戦GAME1終了後の会見で好調の要因を問われた佐藤賢次ヘッドコーチは、「選手たちのコンディションが戻ってきたから」と説明していた。怪我や体調不良でコンディションに苦しんでいた#22ニック・ファジーカスや#25ロスコ・アレンの復調は確かに大きかった。

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加えて、17日に行われたファイティングイーグルス名古屋戦では#7篠山竜青が、そして三河戦GAME1では#33長谷川技と、川崎を長く牽引し続けてきたベテラン2人が活躍し勝利に導いていた。

長谷川は、「チャンピオンシップに出ない限りは優勝とかもない。そこはしっかりチームとして今やれることをやるだけ」と淡々と語った。篠山との会話もその程度だという。それでも2人のプレーからは、意地と覚悟が見て取れた。

だからこそ、GAME2敗戦のダメージが大きかった。
篠山は「非常に重要な一戦。追いかける展開でいくつかチャンスがあった中で詰め切れなかったところは非常に悔しい結果になりました」とコメントした。

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崖っぷちの状況下でも、望みを繋ごうと奮闘しているのは生え抜きの選手たちだけではない。

信州戦でチームに喝を入れた声の主は#12野﨑零也だった。

「笛が鳴らないなら戻れよ!」と一喝されたベンチは一瞬静まったという。
「そういうことはなかなか言えないですし勇気もいります。ヒール役にならないといけないですが、チームで勝ちに向かわないといけないので。嫌われたら嫌われたでその時はその時ですし、そこは分かってくれるメンバーだと思います。だらしなかったら喝を入れます。言う選手があんまりいないので」と語る野﨑は頼もしかった。
「ずっと溜め込んでいても自分に悪影響があるので、それだったらチームに自分の思いをぶつけようかな」と腹を括ったのだ。

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「我慢ができなかった」と照れ笑いを浮かべながら本人は振り返っていたが、篠山は「あの喝があったからこそ勝利することができたと思います」と感謝し、「言っていることは正しいですし、感情を爆発させて言える存在は必要でありがたいです。年齢や在籍期間は関係なく、許せないことは許せないと叱責できることは素晴らしいです」とも付け加えた。

そんな野﨑はFE名古屋戦後には、古巣との対戦についてもこう語っていた。
「負けることはいつもすごく悔しいですが、古巣に負けることはもっと悔しいです」
1月31日にFE名古屋に敗れた後、かなり険しい顔をしていた。川崎には移籍経験がない選手も多い。
「僕ももし移籍経験がなかったら、その悔しさとかはわからないと思いますが、負けは負けでも同じ負けじゃないとすごく感じていて。やっぱり古巣には負けたくない気持ちが強かったです」
思い入れのあるチーム、お世話になったチームだからこそ、成長した姿を見せなければならない。古巣対戦への強い思いと覚悟に触れることができた。

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篠山は「CS進出の可能性が消滅したわけではないので、残り4試合を変わらずに死に物狂いで戦います」と語り、他チームの結果によるところもあるが望みを繋げている。
次節、川崎はホーム最終戦を迎える。ファジーカスにとっては、長くプレーを続けてきたとどろきアリーナでのラストゲームとなる。渋谷との直接対決、是が非でも連勝が必要だ。

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「あそこで言えたことは少し自分としても成長できたんじゃないかなと思っています。長年川崎でプレーする選手もいるし若手もいます。その中で、何回も移籍を経験している僕だから伝えられることはあると思うので、みんなが言えないことを僕が言おうとすごく意識するようになりました。良い時も悪い時も鼓舞できるような選手になりたいと思います」

川崎を長く支え、ファジーカスと長くプレーを続けてきた篠山や長谷川らとは違った形で覚悟を決め、献身的にプレーを続ける野﨑の存在も見逃してはならないだろう。

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それぞれチームのためにプレーを続け、挑み続ける選手たちのケミストリーでCSへの切符を掴み取ることができるのか、最後まで見守りたい。

文:木村英里
写真:濱田茉里

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