自分を証明するシーズン アースフレンズ東京Z 近藤崚太
今シーズンからアースフレンズ東京Z(以下・東京Z)でプレーする#22近藤崚太。クラブ創設から長崎ヴェルカ(以下・長崎)で2シーズンを戦い、B1経験者ともプレーをした。1月27日28日には世田谷区総合運動場体育館でB3リーグ3位の香川ファイブアローズと対戦。新天地で迎えた今シーズン、これまでの戦いや心境に迫った。
「開幕当初から若いチームだということは分かりきっていた。良い時と悪い時がある。それでも(上位チームの香川相手にGAME1を勝利し)戦えるんだという自信になる試合になった。波はありながらも手応えは少しずつある」と現在のチームについて語る。そんなチームを主軸として、キャプテンとして近藤が支えている。
「今シーズンは特にディフェンスに重きを置いている。このチームには、オフェンスができる選手はいっぱいいる。でもディフェンスマインドを持っている選手が少ない。ディフェンスからチームのペースを作ろうと意識している」と話す。
香川戦でも#0アンドリュー・ランダルなど、相手チームの外国籍選手につくことがあった。「自覚を少しずつ持ってトライアンドエラーしながら」、自身のディフェンスを確立させようと臨んでいた。もちろんオフェンスでの挑戦も忘れてはいない。「長崎時代にはやっていなかったピックアンドロールも少しずつ使うようにしていて、掴めてきた」と自信を覗かせた。
間違いなく、今の近藤の根底には長崎での学びと経験がある。
「ディフェンスのスタンダードやインテンシティ、もちろんバスケットボールに対する考え方は、長崎でプレーした2年間がとても自分のためになっている」と話す近藤は、試合中のシーンを例に挙げた。「オフェンスからディフェンスに変わる時に前からベタ付きでいくのは今日のゲームでも僕だけだった。やられてもすぐにオフェンスに切り替えて走る、仲間を走らせること。この切り替えの速さは長崎がリーグでも随一だ」と今も感じている。
実際に衛藤晃平ヘッドコーチにも、そういった近藤の経験や気付きをチームに落とし込んでほしいと言われている。かなり意識的に発言をし、自身のプレーで示している。そう語る近藤の表情には責任感が漂っていた。
昨シーズンまでは周りの選手たちに引っ張られていたが、今は近藤が引っ張らなくてはならない。長崎時代の先輩たちの大変さが身に染みている。
先輩たちと同じような言葉を発するようになった。
「こうなんだよ、わかる?」
長崎ヴェルカでともにプレーしていた狩俣昌也から「わかる?」とよく問いかけられた。
「気が付けば僕も口癖になっていた」と笑った。
またキャプテンになり、ふと狩俣や高比良ならどうするだろうかと考えることがある。元チームメイトが今も近藤にとって道標となっている。時には高比良に電話をし相談することもある。「考えすぎやねんみたいなことを言われて終わるけど」。それでも過去にヒントがあるというわけだ。
東京Zはこれまで15勝17敗と10位。上位8クラブに入り、なんとしてもプレーオフに出場したい。「かなりチャレンジングな後半戦」と近藤は表現した。「若いチームだからこそポテンシャルはかなりある。チームが一つになりチャレンジできたら。次節(2月3日4日)は福井ブローウィンズ戦。しっかりと強い気持ちで当たっていけたら」と気合も十分だ。
27歳になった近藤、いよいよベテランの域。自身の変化にも気が付き始めている。長崎時代には、試合やプレーに一喜一憂しがちだった。だが今シーズンは、「平常運転を心掛け、感情の起伏がないように心掛けている」。そんな近藤の姿を若い選手は見習ってもらえたらと思う。
近藤にとって、今シーズンは「自分を証明するシーズン」と位置付けている。新天地で新たな役割を担い挑戦する近藤の凛々しい表情が印象的だった。