エクセレンスが好きだから 横浜エクセレンス 西山達哉
B2リーグ昇格を目指し戦う横浜エクセレンス(以下・横浜EX)。石田剛規ヘッドコーチ兼ゼネラルマネージャー(以下HC兼GM)が、昇格を担う選手として声を掛けたのがかつての仲間#8西山達哉だ。開幕から10試合を終え、8勝2敗。3位に付けていた中で、11月11日12日には、ホーム横浜武道館で岐阜スゥープスと対戦。GAME1を102-75と大勝し、GAME2は93-81と勝利。連勝を4に伸ばした。西山は、すでにチームの中心としてコート内外で牽引し、その存在感は際立っていた。
「僕は彼のファン」と語る石田HC兼GMは、「チームの流れを一気に変えることができるし、ゲームを支配するパフォーマンスで勝利をもぎ取ることができる。その選手がエクセレンスに縁もあり、戻ってくるチャンスがあるとわかった」際、即座に獲得に乗り出した。
その時のことを西山は「またエクセレンスでプレーしたいと思っていた。タイミングが合い、素直に嬉しかった」と振り返る。
西山は、2013-17シーズン、東京エクセレンスに在籍していた。プロになったチーム、思い入れは人一倍強い。どこか声を掛けられるのを待っていた。「緑のユニフォームを着ると帰ってきたな」と感じ、顔馴染みのファンの姿を見ては嬉しさが込み上げた。アースフレンズ東京Zを経て、昨シーズンまでは信州ブレイブウォリアーズでプレーをしていた。B1リーグの舞台でも戦った。経験という武器を手に携えて古巣への復帰。
在籍当時、石田HC兼GMはまだ現役の選手としてともに戦っていた間柄でもある。西山のことを「すごく大人になったな」と笑う。「人間的にだけでなく、表情を変えずにクールにプレーする選手だが秘めたる闘志があり、見ていて面白い」といい、後輩はより魅力的な選手に成長していた。
ここまでの戦いぶりについて西山は、「開幕前、全勝の覚悟で入ったが、負けから入ってしまい目標は叶わなかった。ただ負けから成長ができている」とたしかに手応えを感じている。練習でも試合でも積極的に声を掛け、仲間を集め話をする。試合中何度もハドルを組む姿が見られた。「若い選手も多いからコミュニケーションを取りながら引っ張っていけたらいい」とすでに精神的な支柱になっている。指揮官にとっても「チームがどうしたら上手く回るのかという目線で考えてくれていて、コーチともよくしゃべる頼もしい存在」である。求められている役割「チームをまとめることと、得点を取ること」を意識しながら日々臨んでいる。
B1、B2、B3を経験する西山は「B1は体のぶつかり合い、フィジカルの部分が違う」と痛感した。練習からそのレベルを表現し、新たな仲間をそのレベルへ引き上げようとしている。B3でも上位チームと戦うと「チームとしてしっかりしている」と感じさせられる。横浜EXも「チーム力を高める」必要がある。まだまだシーズンは長い、最後に笑うために西山は経験と知識でチームにどんな影響をもたらしていくのか注目したい。
石田HC兼GMも2017年に選手からコーチへと立場が変わった際には、チームメイトを指導する立場になり接し方の難しさに悩んだ時期があった。そこから5年が経ち、「ほどよい距離感がわかった」今、「求めることは求めるし、歩み寄って話を聞くこともある」。西山も、「僕の意見を聞いてくれる。知識を還元したい。信頼し合ってできている」と、やりやすさを感じながら、かつてとは違う絆が芽生え始めている。
関係性は変わり、「また石田さんのもとでプレーできるのが嬉しい」と笑顔を見せていた。「期待に応えたいし、結果を出したい。エクセレンスが好きだから」と恩返しの挑戦。横浜市出身、戻ってきた古巣チームは本拠地を東京から地元横浜に移していて不思議な縁を感じずにはいられない。
「横浜はやっぱりいい」、地元への想いも大きい。チームは横浜から日本一を掲げている。「ファンからも応援され愛されるチーム」になるため奮闘中。最後に指揮官は西山へ、「いいパフォーマンスをこれから披露し、新たにどんなファンを作ってくれるのか楽しみにしている」と期待を込めた。
「イッシー」と「ニッシー」。取材中、ふと2人はお互いのことをそう呼んでいた。信頼し合う先輩と後輩は、もう一度ともに歩み始めた。きっと、横浜から新たな歴史を作ることになるだろう。