素晴らしい場所であり正しい場所にいる 長崎ヴェルカ ジョーダン・ヘディング

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 2021-22シーズンに、ともにB3リーグへ参入し初年度にB2リーグ昇格を果たしたライバルチーム同士の対戦。11月12日13日に千葉県千葉市にある千葉ポートアリーナでアルティーリ千葉(以下・A千葉)と長崎ヴェルカ(以下・長崎)の試合が、B2の舞台で初めて行われた。
 #21ブランドン・アシュリーや新潟アルビレックスBBからは#1コービー・パラスなどを補強した千葉。対する長崎も、川崎ブレイブサンダースから#9パブロ・アギラール、アジア特別枠選手の#15ジョーダン・ヘディングなどを補強した。

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 GAME1は、前半A千葉にリードを許したものの、後半逆転に成功すると長崎が96-94で接戦を制した。試合終了後に、前田健滋朗ヘッドコーチ(以下・HC)は「先シーズンからいいライバル関係でいる中で、今日のようないい試合を見せられてよかった」と振り返っていた。長崎は#34ジェフ・ギブスが出場できない中で、#5マット・ボンズの40得点に次ぎ、ヘディングが17得点と勝利に貢献した。残念ながら、GAME2ではアギラールも出場することができず苦しい戦いを強いられた。84-104と敗戦、ライバルとの対戦はまたも1勝1敗。ここまでの戦績は3勝3敗、今後も激しい戦いが繰り広げられ歴史は紡がれていくはず。

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 GAME1終了後、前田HCは、「ファウルトラブルで乗りにくいシチュエーションにあったかなと思うが、得点面やクリエイトするところで活躍してくれたと思う。ディフェンスは数字で表れにくいが、ボックスアウトするなどしっかりプレーしてくれていた」とヘディングの活躍についてコメントしていた。今シーズン新加入。直後から、「彼の良さが表現できていて、安定したパフォーマンスを発揮してくれている」と、既に信頼を獲得しているようだ。

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 試合後、balltripMAGAZINEではヘディングに話を聞くことができた。「こうした雰囲気の中で、A千葉というライバルとの試合がすごく楽しかった」と笑顔で語った。早速、新加入の選手にも両チームのライバル関係は伝えられ、「去年からの歴史を聞き試合を楽しみにしていた」。練習からライバルを意識する雰囲気は、初めてA千葉と対戦する選手にも影響を与えた。ヘディングのプレーはいつも以上にエナジーが感じられた。

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GAME1を終えた直後、自身のプレーは「悪くはなかったと思うが、リングへフィニッシュできたと思う部分やレイアップを外してしまったシーンもあった。もっと今後、シューティングの確率を高めないといけないと感じている」と課題を挙げていた。さらに、チームのみならずBリーグを理解し適応させようとしている段階。「日本のバスケットボールではどう笛が吹かれているのか、まだアジャストしきれていないのでアジャストしていくつもりだ」と冷静に語っていた。

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 ASEANバスケットボールリーグ(ABL)に所属するフィリピンのクラブでキャリアをスタートし、充実した日々を送るはずだった。しかし、新型コロナウイルスの流行により「シーズンがキャンセルになり、非常に短いシーズン」になってしまった。2021-22シーズンは台湾T1リーグの臺中葳格太陽に所属し、初めてフルシーズンを戦った。昨年はフィリピン代表として東京オリンピックの予選に出場したこともある。プレーできる、シーズンを通して仲間と戦える喜びがある。

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 「このチームに来てから、楽しい時間が続いている。コーチングスタッフが自分の強みや生かし方を理解してくれている。さらに、課題を把握しプッシュしてくれている。個人の成長を考えても、勝つことができるという意味でも、素晴らしい場所であり正しい場所にいる」と、ヘディングからもコーチ陣への信頼が、早速伝わってきた。

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伊藤拓摩ゼネラルマネージャーは、エージェントから提示された10名ほどのアジア特別枠選手のリストの中で「長崎のスタイルにまさしく合うな」と直感した。「オフェンスの能力は試合を変えることができる。味方を生かすこともでき、様々な形で得点に繋げることができる」魅力的な選手だ。「人間性も素晴らしく、来日直後から馴染むことができた」という。自身のアピールポイントを問うても「みんなが勝つために自分の役割にベストを尽くしているところを見てほしい」と控えめに語る。インタビューを通してもその人柄は垣間見えた。

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 長崎のチームの印象について聞くと、「チームが好きじゃないんだ、冗談だよ」と茶目っ気たっぷりに笑う一面も。一見、強面にも見えるが、実際のところは人懐っこくて、とてもナイスガイな素顔。この先、多くのBリーグファンを魅了する姿が容易に想像できる。創設は2年目だが最高の環境といえる場所に身を置くことができたからこそ、ヘディングは間違いなくさらなる成長を遂げるだろう。今後どのような選手になり、長崎でどのような貢献をしていくのか注目してほしい。

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文:木村英里
写真:オガワブンゴ




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