[FOCUS 長崎ヴェルカ]目の前の練習や試合を大事に…その先にB1や日本一が見えてくる #4狩俣昌也 インタビュー VOL.2
今回は長崎ヴェルカの狩俣昌也選手インタビュー続編をお届けする。
長崎ヴェルカの初期メンバーは、B1チームにも引けを取らない戦力が集まった。狩俣選手だけではなく、B1優勝経験も持つジェフ・ギブス選手を宇都宮ブレックスから獲得した。ギブス選手は昨シーズンのファイナルの舞台でも活躍していたほどである。また第95回天皇杯を制したサンロッカーズ渋谷からベテラン野口大介選手も獲得、秋田ノーザンハピネッツから移籍したハビエル・カーター選手も注目だ。
新たな仲間について狩俣選手も「B1からだけでなくB2からもすごく力のある選手がきた。若い選手たちともすでにワークアウトをしているが、積極的でモチベーションが高い。面白いメンバーが集まった」と期待する。
試合のみならず、オフコートでも狩俣選手のベテランとして求められることは多いだろう。さらに狩俣選手のキャプテンシーもチームにとっては大きな武器となるはず。「役割はたくさんある。やらなければならない。呼ばれた意味をしっかりこなしたい」と気合いを込めた。
もちろん、選手としてプレー面で「アグレッシブなディフェンスなどは自分のベースとしてしっかり見せたい。自分自身もまだまだ成長できると思う。新しい自分も見せられるように」と力強く語る。
これまでは『日本一』を胸に常に戦ってきた。
今後、新たな舞台での目標はどう設定しているのだろうか。
「先を見ればB1昇格がある。ただB3の中でも力のあるチームがいる。B2もどんどんレベルが上がっていることは実感している。簡単ではない。1試合1試合、1シーズン1シーズン勝っていくことが大変。目の前の練習や試合を大事にしたい。その先にB1や『日本一』が見えてくる」
これまで通り『日本一』を目指す思いは変わらないだろう。ただ、そこへたどり着くまでの道のりはこれまでより何倍も長く険しいものになった。その分、狩俣選手の覚悟の強さを感じることができるだろう。
B3に今シーズンから参入したのは長崎ヴェルカだけではない。アルティーリ千葉も同タイミングで参入する。名古屋ダイヤモンドドルフィンズからレオ・ライオンズ選手や川崎ブレイブサンダースから大塚裕土選手など、長崎に負けずB1レベルの戦力を獲得している。B3優勝も簡単なことではない。「そういうチームがいることは選手としてはモチベーションになるし楽しみ」と前向きに捉える。「もう会場で会うことはないだろうなと思っていた選手たちとまた今シーズンも戦うとは」と笑顔も見せていた。
長崎ヴェルカは、クラブハウスをはじめ環境が整っている。「これまで在籍してきたチームの中でもトップの環境」と語る。しかし環境だけではない。
「本場を見てきた人がコーチやスタッフ、チアなど関わっている人の中に多い。楽しみにしている」と狩俣選手が話す通り、NBAという本場を知るスタッフがチームを支える。
NBAのチーム、ダラス・マーベリックスの傘下であるGリーグのチーム、テキサス・レジェンズのACとしてさらに経験を積んだ伊藤拓摩GM兼HCに限らず、ディレクター・オブ・スポーツパフォーマンスに就任した中山佑介氏もNBAのチームであるクリーブランド・キャバリアーズなどで活躍してきた。キャバリアーズではNBAのKINGと呼ばれるレブロン・ジェームズ選手のパフォーマンスを支えてきた人物である。
また7月11日、明治安田生命J2リーグ第22節 V・ファーレン長崎vs大宮アルディージャ戦で大雨の中、初舞台を踏んだチアリーダーのメンバーを率いるのもNBAやNFLでのチア経験を持つNAMI氏だ。
さらに狩俣選手は、長崎という土壌も独自のバスケ文化が根付く環境なのではないかと考えている。
「長崎県には米軍の方もいる。琉球でプレーした経験もあるが、そういう方が会場に来てくれれば、他とは違うノリなどがある。そういったノリに日本人のファンもつられて違った盛り上がりが生まれる。他の会場とは違う、よりNBAに近い雰囲気でできるのではないか」
確かに、初めて沖縄でバスケ観戦をした時には英語のヤジが飛んでいることに驚いた。沖縄アリーナが誕生しさらにBリーグでも屈指の会場とはなったが、それ以前から他会場とは異なる雰囲気が沖縄にはあった。だからこそ長崎でも、長崎ならではのバスケ文化が生まれ築かれていくのかと考えると楽しみで仕方がない。
狩俣選手は沖縄県宮古島市の出身。これまで長崎には「修学旅行の時くらい」しか訪れたことは無かった。今回、長崎ヴェルカに加入することになり訪れた長崎の地は「沖縄っぽい」そうだ。「南の島に近い空気感がある。環境も気候も人と接していてもそう感じる」とどこか安心感を感じている様子だった。
前述の V・ファーレン長崎vs大宮アルディージャ戦で、狩俣選手は松本健児リオン選手とともにキックインセレモニーに参加した。また長崎ヴェルカのサイン会も行われた。「まだ試合をしていない中でも途切れることなくファンが来てくれたことが嬉しかった。応援してくれる文化や土壌があるんだ」と感じた。「その期待に応えたい」と強く思うと共に、長崎の人々のあたたかさに触れたという。
長崎では、バスケットボールの試合をまだ見たことがない方も多いだろう。そういう意味でも楽しみに待ち望んでくれているファンは多い。だからこそ、狩俣選手はバスケットボールについて「スピーディーな展開で迫力が他のスポーツよりもある。観客席も近いからこそ、選手同士の会話や体がぶつかる音も聞こえる。点数を決めなければならない競技なので、最後まで何が起こるかわからないことが魅力だと伝えたい」と話す。
まだチームは始動したばかり。B3デビューに向けてこれから本格的に取り組んでいく。
最後に、狩俣選手は「自分自身もワクワクしている。これからチームが進んでいく中で、様々なチャレンジになると思う。そういう歴史をみなさんと一緒に作っていきたいし、歴史に恥じないように頑張りたい」と力強く意気込んだ。
ベテランが悩み抜いた末に選んだ新天地での新たな挑戦はまだ始まったばかり。狩俣選手が常に目標に掲げてきた『日本一』にたどり着くには、長く険しい道のりが待ち構えているだろう。しかしその道の過程で、狩俣選手がどのような歴史と感動を長崎にもたらすのか今後も期待し注目していきたい。
取材場所:長崎ヴェルカ クラブハウス
[FOCUS 長崎ヴェルカ]#4狩俣昌也 インタビュー VOL.1
選手プロフィール
#4
出身校:国際武道大学
出身地:沖縄県
生年月日:1988年4月28日
身長(cm):178cm
twitter:@msy_karimata
instagram:@masaya_karimata
クラブプロフィール
HP:https://www.velca.jp/
twitter:@n_velca
instagram:@n_velca
Youtube:長崎ヴェルカ公式Youtube
「ヴェルカ」には、
①Welcome
②Well community
③Victory
の3つの意味をかけています。V・ファーレン長崎のように長崎で親しまれるクラブとなり、長崎らしい良い文化を取り込みながら、それと同時に地域創生を目指してほしいという想いを込めています。