
僕たちのビックラインナップはBリーグ優勝へ導いてくれるものだと思っている ニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)
昨年の雪辱を果たし、7年ぶり4度目の天皇杯優勝を果たした川崎ブレイブサンダース。
優勝の余韻に浸る間もなく翌週には再びリーグ戦、アウェーで西地区の強豪・名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦した。
GAME1を落とした川崎。GAME2は最大17点差あったリードを保ちきれず追い付かれる苦しい展開となったが最終的には勝ち切り、第27節は1勝1敗とした。


試合後、GAME2では26得点10リバウンドとダブルダブルの働きでチームを牽引したニック・ファジーカス選手は「天皇杯優勝後の試合、レギュラーシーズンに戻ることが難しくて厳しかった。ただGAME1よりGAME2の方が、自分たちのエナジーは高かった。17点差を追い付かれても勝てたことが大きい。」と名古屋戦を振り返った。
天皇杯優勝で得た自信を胸に真の強さを見せるのかと思われたが、またリーグ戦の難しさを感じる結果となったもののファジーカス選手はいたって冷静に、そして前向きにチームの状況を捉えていた。
「天皇杯では僕を止めようと着目されていた。それでも周りが得点できる。僕の得点に頼らなくてもしっかりプレーができる。それがこのチームをもう一段上げている。シュートが打てずともチームが勝つことが第一優先だ。」
ニック選手の言葉通り、天皇杯の決勝で見てみれば最多得点は13得点を記録した増田啓介選手だった。
ニック選手はアシスト数などが光っていて、得点以外の部分でチームの勝利に貢献していた。
川崎は長い間メインの選手たちが変わっていないという特徴がある。そこに化学変化をもたらす選手たちに対し、ファジーカス選手はとても信頼し期待を寄せている。
「彼らは今までの川崎にないことをしてくれるんだ。(増田選手だけでなく)ジョーダン・ヒース選手もマティアス・カルファニ選手もパブロ・アギラール選手も僕からしたら若い。彼らの新鮮さがチームの勝利に繋がっているとも思っている。」
現在、カルファニ選手は怪我のためにコートに立つことはできないが、ビックラインナップは佐藤賢次HCも川崎の強みと生かすべく挑戦を続けてきた。
そして天皇杯のファイナルラウンドでは、今までで最もビックラインナップが効果的に機能したと言えるだろう。
「僕たちのビックラインナップはBリーグ優勝へ導いてくれるものだと思っている。どれだけ武器になるかは天皇杯で証明した。」
ファジーカス選手も大きな自信を覗かせる。
「アギラール選手やカルファニ選手が普段とは異なる3番ポジションでプレーをすることになるが、それでも全員が外からシュートを打てるという武器がある。それは間違いなくチャンピオンシップでも効果的になるはずだ。」
現在、川崎は東地区3位。Bリーグ制覇のためにも激戦区を勝ち抜いていかなくてはならない。4月には強豪チームたちとの連戦も控えている。
佐藤HCは「上手くいく試合もあればいかない試合もあるが、勝ち切ることが大事。『勝つ』ということにフォーカスする。ここから怒涛の16連勝を目指す!」と気合を込めた。
そしてファジーカス選手も、「勝つゲームを落とさない。残りは15試合しかない。それでも天皇杯はいい調整ができた。5月に自分たちの一番いいバスケットボールができるように、もう一度そこに向け調整していく。」と最後に力強く語ってくれた。
信頼し切磋琢磨し合える仲間を得て、優勝できると確信し挑みながらもシーズン半ばでリーグが中断してしまった昨シーズン。今シーズンもチームメートの度重なる怪我による離脱など苦しい時期を経ながらここまで戦ってきた。そして怪我人を抱えながらも天皇杯優勝を果たし、チームには新たに自信と確信が生まれている。
これまで幾度となくチームを勝利へと、優勝へと導いてきた川崎の絶対的存在は、虎視眈々と念願であるBリーグ制覇と天皇杯との2冠達成を狙っている。
すでにファジーカス選手は、次なる目標に向け静かに闘志を燃やしているのだ。









