【AICHI CENTRAL CUP 2024】　強豪ひしめくバスケットボール王国・愛知県［後編］

体格の大きなガードである私とマッチアップできる選手が日本にはいる　三遠ネオフェニックス デイビッド・ヌワバ

AICHI CENTRAL CUP 2024で初優勝を飾った三遠ネオフェニックス。初開催の大会、チームを頂点へと導いた立役者は、大会MVPに加え得点王とリバウンド王にも輝いたデイビッド・ヌワバだ。今シーズンから加入したヌワバは、NBA6シーズンで通算237試合に出場、その後はイギリスでプレーをしていた。
そんなヌワバの日本デビューは強烈だった。大会2試合で46得点、20リバウンドと大活躍。

26得点を記録したファイナル。ヌワバは19本のシュートを放っていた。「アメリカではこのようなシュートを打ったことはありませんでした。日本でプレーするということは、アグレッシブにシュートを狙わないといけないと感じています。空いていたらスリーも狙わっていきたい、しっかりアタックしていきたいです。そして自分の強みはディフェンスです。しっかり戦って両方で活躍できる選手になりたいと思います」と、ヌワバは振り返っていた。

ヌワバとともにプレーする三遠の選手たちのレベルは間違いなくさらにレベルアップするだろう。今大会中も、昨シーズンよりさらに強度を増したチームへの変化が見てとれた。そしてヌワバは対戦相手にも影響を与えそうだ。
「私は体格の大きなガードです。それにしっかりマッチアップできる選手が日本にいると感じました。日本のガードの選手のレベルは戦っていく中で引き上げられるのではないかと思います」

大野篤史ヘッドコーチは「ヨーロッパのゲームを見ていて、彼のDFの姿勢やチームメイトを助ける姿、オフェンスに絡んでいくところがすごく魅力的でオファーしました。練習中、あれ？と思ったところも結構あったので、選手たちも今すごいねと気がついていると思います（笑）彼だけではなく吉井裕鷹や津屋一球含めて、自分たちのチームに好影響を与えてくれています。ディフェンスのトーンをセットしてくれます」と、ヌワバに加えて新たに加わった吉井や津屋を高く評価した。

4年越し！どうしても欲しくて獲得した選手　三遠ネオフェニックス 吉井裕鷹

試合後、会見に臨んだ大野篤史HCに、吉井裕鷹に求めること、期待することを投げかけてみた。すると大野HCは吉井に対する思いをこう明かしてくれた。

「どうしても欲しくて取った選手です。千葉ジェッツの頃から欲しかったので、彼にも4年越しだねと話しています。彼のディフェンスには満足しています。強度は武器で、言うことありません。彼とヌワバに感化されて、チーム全体でアグレッシブさが出てくればいいかなと。でも、まだまだ持っているものは出しきれていないはず。オフェンスで自分が輝けるところはどこなのか整理してあげたいと思います」

そこには4年に渡るラブレターの末、一緒に戦う仲間となった選手への愛情と責任を感じ取ることができた。

日本代表としても活躍する吉井。名将大野HCのもとでさらにどんな成長を遂げるのか。
当の吉井は、「個人的にはもっとスリーを打ったりカッティングしたり、中継を挟んでアシストをしたい。チームとしてはもっと速いバスケットボールの中で規律のあるいいバスケットをしたい」とコメントした。今後の活躍に期待だ。

ヌワバや吉井という大きな武器を携え、昨シーズンのチャンピオンシップ、クォーターファイナルを上回る成績を目指す。
AICHI CENTRAL CUP 2024での優勝という経験について、大野HCは「どんな試合でも僕は勝ちたいです。8月の最初からチームで取り組んできたことをしっかりコートで表現をして勝てたことを自信にしてほしいです。ここで終わるわけではなく、もっと良いチームになれます。努力を怠らないで、今日のように優勝と名の付くものをこれからも目指していきたいと思います」と総括してくれた。

今シーズンも三遠ネオフェニックスから目が離せない。

ハドルを組む時の彼の目つきや醸し出す雰囲気はチームに良い影響を与えている　シーホース三河 須田侑太郎

残念ながら初優勝はならなかったが、会場を熱く盛り上げ今シーズンも期待値の高さを伺わせたシーホース三河。多くの主力選手が継続となった今シーズンのキーマンと言えば、名古屋ダイヤモンドドルフィンズから移籍した須田侑太郎だろう。名古屋Dのホームアリーナであるドルフィンズアリーナで開催された今大会、一際大きな歓声で迎えられていた。
そんなリーグを代表するキャプテンシーを兼ね備える須田の加入は、既にチームに変化をもたらしている。

リッチマンHCに、須田がもたらすものについて聞いてみると次のように述べた。
「彼のリーダーシップ、ゲームに対する集中力、賢さ、ハードにプレーすることなど彼が持ってきてくれたもの。ハドルを組む時の彼の目つきや醸し出す雰囲気で集中していることがわかります。その姿はチームに良い影響を与えていると思います。そういう面でリーダーシップをとってくれています。さらに西田優大が、彼のそういう姿を見て学び成長することにも大きな意味があると思っています」

I love it.
リッチマンはそう表現した。須田はリッチマンHCが求めていた選手像そのものだったのだろう。
須田も西田について問われると「もっと大きなスケールの選手になっていくと思います。出来うる全てを彼に注いで切磋琢磨しながら成長していきたいです」と熱く語った。

リッチマンHCは敗戦後、会見で「優勝という求めていたものには届きませんでしたが、チームとしては成長したと思っています。昨シーズン、このような時期に天皇杯で川崎ブレイブサンダースと対戦し、103-80という点差で負けました。それが自分たちにとっては良いきっかけになり、もう一度集中することや改善点や課題を見つけることができました。今回もこのゲームをきっかけに成長したいと思います」と振り返った。
ライアン・リッチマンHC体制となり2シーズン目。どんなチームへと成長を遂げるのか注目だ。

文：木村英里
写真：佐渡一翔