【AICHI CENTRAL CUP 2024】 強豪ひしめくバスケットボール王国・愛知県 [前編]
9月7日8日に、名古屋市のドルフィンズアリーナで初開催された「AICHI CENTRAL CUP 2024」。愛知県の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、ファイティングイーグルス名古屋、シーホース三河、三遠ネオフェニックスと合わせて4チームが出場し、初めての頂点の座をかけて戦った。
DAY1、初戦で行われた名古屋Dと三河では5000人を越える来場者が詰めかけるなど、期待値の高さや愛知県内でのバスケットボールの盛り上がりを感じさせる大会となった。そして、シーホース三河対三遠ネオフェニックスの組み合わせとなったファイナルでは、93-69と大差をつけて三遠が勝利し初優勝を飾った。
チームメイトに背中で見せること ファイティングイーグルス名古屋
残念ながら2連敗に終わったFE名古屋。川辺泰三ヘッドコーチは、「これが今の僕たちの実力だと思います。しっかりとここから学んでどれだけ成長していけるのかが全てです。去年の今頃も、三遠と非公開で練習試合をしましたが同じような結果でした。そこから去年は成長しました。チームは選手が7人変わって新チームです。外国籍選手のところもバタバタしていて、準備していた自分たちのバスケットボールともまだ離れています。合流したばかりの選手もいて、自分たちのバスケットボールのカルチャーやチームルールの徹底をしているところです」と振り返った。
チームを作り上げている段階としてはより多くのコミュニケーションが必要だろう。試合後のミーティングでは、「ビックマンの選手から、ピックアンドロールのDFで、右なのか左なのかハンドオフなのかなどもっと早く言ってほしいという意見が出ました。お互いが必死にプレーをしている中で、コミュニケーションを取ることが難しかったですが、選手からこういう意見が出たことは非常に良かったと思います」と川辺HCは明かした。
日頃から対人練習の後に1分間コミュニケーションを取る時間を設けているのだという。トークの質は今後徐々に上がっていくのだろう。
今シーズン、FE名古屋の注目の一つは、「チームメイトに背中で見せることを大事にしている」という新加入の並里成。「準備や試合の入り方やメンタリティ、どういう姿勢で練習するのかを見せている最中です。素直で真面目な若い選手も多いのでシーズンが楽しみです」と笑顔を見せていた。
並里は、「4チームのうち、僕らだけがプレーオフに出場していないとコーチも言っていました。プレーオフの強度の高さを体感できました。そこを僕らも目指そうと話していました」と振り返っていた。並里にはチームメイトにこれまでの経験を還元し、チームを引き上げることが求められる。
川辺HCは、「チームのオフェンスをしっかり遂行することと、ルールは決まっているけれど選手ファースト、ボールマンファーストでリードしてもらいたいです。システムは構築していますが、最後はディフェンスを見て反応、クリエイトしてほしいですね。またオフコートでは、特に福岡第一高等学校の後輩二人に対して相当先輩としての様子もすでに見て取れます。色々な選手に対してサポートをしてくれていると思います。素晴らしいベテラン選手が来てくれました」と微笑んだ。今シーズンから加入した2選手。千葉ジェッツから移籍した内尾聡理と、2023-24シーズンは4月から練習生としてライジングゼファー福岡に所属していた神田壮一郎。新天地で先輩の後押しも受け飛躍する姿を期待したい。
メインの目標はリーグの優勝 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
AICHI CENTRAL CUP 2024、3位は名古屋Dだった。昨シーズンまでキャプテンとしてチームを牽引してきた須田侑太郎が三河へ移籍した。そして今シーズン、名古屋Dのキャプテンに就任した中東泰斗。
初戦の三河戦ではそんな二人のマッチアップも見どころの一つだった。対戦を終え、中東は、「新旧キャプテン対決は楽しみにしていましたし、やってみてもすごく楽しかったです」と振り返った。
そんな中東は、「メンバーも入れ替わり、新加入選手に今までやってきたことをベースとして考えていることをどう伝えるのか意識しています。まだ上手くいっていないこともあります。
ショーン・デニスHCのバスケットボールは、噛み合ってくるまでに時間がかかります。我慢しながら、引き続きコミュニケーションを取っていきたいと思います」と、キャプテンとしてチームと向き合っている。
そして、「2日間、プレシーズンとは思えないほどの強度でできたことを嬉しく思います。まだまだ課題はありますが、課題を消化しながら開幕へ向けて仕上げていきたいです」と総括した。
名古屋Dには、昨シーズンのチャンピオンチームである広島ドラゴンフライズからアイザイア・マーフィー、茨城ロボッツB1リーグ残留の功労者であるルーク・メイ、優勝経験もある琉球ゴールデンキングスからは今村佳太らが新加入。期待値は高い。
今村は、デニスHCのバスケットボールについて力強く語る。
「非常にアップテンポなバスケットボールを展開するスタイルです。ディフェンスに関しては、前からプレッシャーをかけながら自分たちのポゼッションを増やしていこうとするスタイルなので、ペースが速い中でどれだけいい状況判断をし続けられるか。そこに慣れると言いますか、アジャストするのには少し時間がかかると思います。今は体感20~30%くらいだと思っていて、試合をこなしながら、レギュラーシーズンでも勝っていきながら積み重ねることで100%に繋がっていくと思います。100%になった時が楽しみです。急ぎすぎず、しっかり理解し積み重ねていけば問題ありません」
デニスHCは、今村について「素晴らしいと思います。名古屋Dは他と違う少し変わったスタイルです。学べば学ぶほど、どこでアタックできるか、どこで伸びるかがわかるでしょう。もっとオフェンスは良くなるはず。ディフェンスも読みが上手いので、もっと上達するでしょう」と期待を寄せていた。フィットすることが待ち遠しい。
さらに、今シーズン今村らとともに加入した加藤嵩都。B3リーグのさいたまブロンコス、B2リーグの福島ファイヤーボンズを経てB1に所属する名古屋Dに辿り着いた。着実なステップアップを遂げている。
加藤についてデニスHCは、「ボールを持つと雷のように速いです。リーグで一番速いのではないか。ただスピードはありますが、まだ仕上がっていません。ポイントガードとして学ぶべきことは、正しい選手や正しいところにボールを渡すことやゲームコントロールなど、その判断が彼の今後の課題です。それができるほどプレータイムは増えてくるでしょう」と評価していた。
福島の栗原貴宏HCは、加藤のことを「日本代表のポテンシャルがある」と太鼓判を押していた。まずは、齋藤拓実に次ぐポイントガードとしての成長が求められる。
今シーズン、西地区から中地区へと戦いの舞台が変わる。愛知県勢4チームは同じ中地区で戦う。さらに強豪アルバルク東京も中地区に加わった。昨シーズンを振り返ると、西地区が強豪ひしめく大混戦模様であった。梶山信吾ゼネラルマネージャーは、「中地区に来たらまた強豪ぞろいです。少しでも戦力を落とすと大変なんですよね」と苦笑いをしていた。GMならではの悩みを垣間見た。
試合を終え、「メインの目標はリーグの優勝」と語ったデニスHC。昨シーズンはセミファイナルで涙を呑んだ。今シーズンこそ頂点へとの思いは強い。選手は揃っている。どんなチームを作り上げるのか注目だ。