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名古屋ダイヤモンドドルフィンズ セミファイナル敗退も確立されてきたチームカラーやカルチャー balltrip MAGAZINE(ボールトリップマガジン)

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ セミファイナル敗退も確立されてきたチームカラーやカルチャー

日本生命 B.LEAGUE SEMIFINALS 2023-24、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ対広島ドラゴンフライズは、GAME3までもつれる激戦となった。GAME3を勝利したのは広島、初のFINALS進出を決めた。

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あと一歩のところでFINALSの切符を掴むことは叶わなかった。
名古屋Dはレギュラーシーズン、西地区初優勝を果たしCSに進出。CSを初めてホームで開催し、QFではシーホース三河を連勝で下しSFへと駒を進めてきた。SF進出もクラブとしては初めてのことだった。クラブとして歴史を築き上げてきたがFINALS進出という歴史を紡ぐのはまた少し先のこととなった。

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5月15日、2023-24シーズン平均入場者数トップ10が発表され、名古屋Dは5190名とB1リーグとB2リーグをあわせた全体の中で4位の記録となった。
CS中も会場内は大きな一体感を生み、素晴らしい空間であった。そこに辿り着くために、クラブは数年かけて大きな取り組みを行ってきた。チームの強化、ファンの獲得や演出面などの向上、さらにユースにおける育成への注力などだ。今回balltrip MAGAZINEでは、梶山信吾ゼネラルマネージャーに話を聞いた。

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「僕らはBリーグ開幕後、CSには出場してきましたが、一度もQFの壁を越えることができませんでした。だから地区優勝した時は誰よりも喜んでいたのではないかなというくらい感慨深いものがありました。ホームコートアドバンテージという強み、それは本当にすごく背中を押してくれるものです。選手たちに味わってほしいという思いが強かったです。まさか地区優勝決定が、レギュラーシーズン最終戦にまでもつれるなどとは思ってもいませんでしたし、結構いろいろなシチュエーションをクリアしないと地区優勝は達成できなかったので、よく選手たちが我慢しながら勝ち切って掴んだと思います。本当に選手たちを誇りに思っています」

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改めてホームでQF、SFを開催できたことを喜んでいた。残念ながら、広島戦GAME3で負傷してしまったが、ショーン・デニスヘッドコーチがQF後の会見で「アナザーレベルに来た」と表現した#2齋藤拓実の好調など、チームが上昇気流に乗った要因は様々あった。梶山GMは、「毎シーズン様々な苦しいことがあったがそこを誰も忘れてはいないし、そういう苦しい時間があったからこその積み上げ、積み重ね、ステップアップが、今ここに集大成となって、コート上で出せました。そこを選手たちがちゃんと認識していることがドルフィンズの強みだと思います」、そう語った。これまでのCSでは怪我によりメンバーが揃わない中で戦わざるを得ないなど悔しい思いをたくさん味わってきた。

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齋藤は、QF後の会見で「3年間の集大成。チームとして初めて地区優勝、SF進出とチームの歴史を築いている最中でチームの士気も高まっています。一つ一つ目標を達成できたことは大きいです」と振り返っていた。残念ながらSF敗退という結果に終わってしまったものの、デニスHC体制になってからの3シーズンをかけて醸成してきたドルフィンズのバスケットボールスタイルはファンを魅了していた。ただ、チームの強化だけに臨んできたわけではない。並行してクラブとしての努力があった。

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梶山GMは、「ワールドカップや様々な影響がありましたが、今シーズン、リーグ4位の集客を集められたことはすごく大きかったです。選手たちに満員のお客様の前でプレーをしてほしいという思いで、昨シーズンから集客面でフロント、会社全体で取り組んだ結果です。たくさんのお客様の前で、選手たちがいいパフォーマンス、ドルフィンズらしいバスケットをしてくれたことによって、間違いなくドルフィンズのバスケットが面白いと思ってもらえたと思います」と笑顔を見せた。

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アリーナMCも代わり、演出面も大きな変化があった。メインMCを務めるHOME MADE 家族のKURO氏により選手紹介はラップで披露されるなど、演出も会場内の雰囲気も様変わりした。ドルファミと呼ばれるファンの熱量、応援の声のボリュームも相乗効果で以前とは比べ物にならないほど盛り上がっていたように思う。どのクラブよりもノリノリの演出はまさにアーティストのLIVEに来たようだった。

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「KUROさんが一生懸命、全て考えて作ってくれた選手紹介のラップ。おそらくどのチームもやっていないことです。どこもやってないようなことを、私たちはずっとやりたいと思っていました。MC陣やDJのみなさん、演出チーム、それぞれがかなり前のめりになってくれて、本当にドルフィンズ一丸になったと感じています」と梶山GMも語り、大きな手応えを感じたシーズンだった。
キャプテンを務めた#11須田侑太郎も「今シーズンは開幕からファンがすごく入ってくれて常に5000人オーバーの試合が多く、選手冥利に尽きました。幸せだなと感じながら毎試合プレーをしていました」と感謝していた。

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また梶山GMはGM就任時に、育成世代にも力を入れることを決めた。「今までのバスケットボール界は、東京の大学、強いチームから選手を獲得することが当たり前でした。私は、自チームのユースを強化していけば、必然的にそこからトップチームに上がってもらえると信じていました。そのために力を入れて育成していかなければいけないのではないかと考え、みんなと一緒にかなり力を入れています。ユースはすぐに結果が出ることではないので、しっかりと中長期で考えて育成をしていきます。ヨーロッパではユースのそういう文化を作っているんです。見本となるチームがたくさんあるので、すごく勉強しましたね」と話す。

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このCSでも、名古屋Dでは#7今西優斗と#17若野瑛太というU15時代から頭角を現してきた選手たちがロスター入りをしていた。プレータイムはなかったとしても「とてもいい経験だと思います。同じ空間にいるだけで学ぶことはたくさんあるはずです。何事にも経験は大事ですし、いずれそれが戦力となって帰ってきてくれることを願いながらずっと一生懸命みんなで取り組んでいます」と、将来を見据えた。この経験をした選手たちが、どう成長していくのかにも注目したい。

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選手、クラブそれぞれの経験や手応え、すべてが新たなドルフィンズの歴史に繋がりカラーやカルチャーが形成されていく。今まさに作り上げている過程。Bリーグ発足に伴い、企業クラブがプロクラブになったことで、各クラブが変化と成長を遂げているが、その裏で苦労もあり壁にも直面している。抜け出したい、変わりたい、そんな思いで名古屋Dも挑んでいたという。梶山GMは「まだまだやらなきゃいけないことがたくさんありますが、スキップせず一つ一つ丁寧にやってきた結果」と胸を張った。今シーズン、ドルフィンズの組織としての経験は想像以上に大きいものだろう。

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須田はシーズンを経るごとに、「選手みんな、いい顔をして熱くプレーをしていた」と振り返ったが、自分たちのバスケットへの自信に加え、環境面の変化も選手のプレーに影響を与え大きな後押しとなったはず。

戦いを終えたデニスHCは、会見でこう総括した。
「一年を振り返ると誇り高いことがたくさんありました。3年間かけて梶山GMを先頭にクラブ全体でプログラムし、うまく変化をしています。このまま行けば、私たちにもCSの頂点に立つチャンスが来ます」

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QF、SFと取材したが、久し振りに会場へ足を運ぶことが楽しみなアリーナだった。試合に熱くなるだけでなくワクワク楽しませてくれる空間、そこにはスポーツエンターテインメントがあった。来シーズン以降もクラブとしての進化を期待せずにはいられない。2025年7月にはIGアリーナの開業も控えている。立地はドルフィンズアリーナと同じく名城公園の一角に位置し、最大収容人数は17,000人と国内アリーナ最大級となる。今後も変化し続ける環境の中で躍動するチームを、そして頂点に立つ姿を楽しみにしたいところだ。

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文:木村英里
写真:オガワブンゴ

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