ポジションは流動的に 川崎ブレイブサンダース 篠山竜青
FIBAバスケットボールワールドカップ2023での成績により48年ぶり、日本代表が自力で来年行われるパリオリンピックの出場権を獲得し盛り上がったバスケットボール熱。熱が冷める間もなく、この週末は各地でBリーグのプレシーズンゲームが開催されている。川崎市とどろきアリーナでは、2日間に渡って、川崎ブレイブサンダース対アルバルク東京(以下・A東京)、対アルティーリ千葉(以下・A千葉)のプレシーズンゲームが組まれた。
9月9日に行われたA東京との一戦。A東京は#8吉井裕鷹と#23レオナルド・メインデル(ブラジル代表)というワールドカップを戦ったメンバーも早速合流、出場していた。終盤まで競った展開が続き、川崎の新加入#20トーマス・ウィンブッシュがダンクを決めるなどしたが、残り0.1秒、A東京#22ライアン・ロシターのフリースローで追いつかれ、最終スコアは80-80とプレシーズンゲームの特別ルールにより引き分けで終了した。
この日、川崎の#35ジョーダン・ヒースの出場はなかったが、新加入のウィンブッシュや#25ロスコ・アレン、#12野﨑零也、#37飯田遼がデビューした。#22ニック・ファジーカスが20得点10リバウンド、これにウィンブッシュが17得点5リバウンド、アレンが14得点7リバウンドと続き、早速存在感を示していた。
2019-20シーズンから指揮を取る川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは、「練習してきたことと、コートで表現できたことを比較すると非常に良くできた試合だった。いろんな新しいことにチャレンジしているし新しい選手も入った中で、目指している形が少し見えて満足できる試合だった」と振り返った。
今シーズンのチーム作りは、ディフェンスから着手した。「去年よりも少し高いポジションでしっかりとプレッシャーをかける。今までは、ガード陣が一生懸命プレッシャーをかけてというシーンが多かったが、ガードだけでなくチーム全体として上の方からしっかりと。そこを軸にしながらディフェンスのシステムを今作っている。逆にオフェンスはそのディフェンスに対してどれだけ攻められるかという点を練習で向き合っている。ディフェンスが良くなれば対応するオフェンスも良くなる。明日もディフェンスにフォーカスしながら新しいシステムをどれだけ出せるか考えていきたい」と、残り1ヶ月と迫った開幕を見据えた。
#7篠山竜青も、「オフェンスもディフェンスも、システム的に今までとは違うベースも作っている。まだまだエラーもあるし、合わせなきゃいけない部分もたくさんあるが、もっとオフェンスもディフェンスもここでこうできるなとか、 ディフェンスもここ修正できたらもっと硬くなるなど、いろいろ収穫も課題も見えた」と、ファンの前で行われた今シーズン最初の試合を振り返った。
この試合で篠山は、#0藤井祐眞や#21納見悠仁とともにダブルガードでプレーする時間が長かった。「ポジションは1番2番と特に決められているわけではないので、納見がハンドルをした方が良ければ自分がセカンドサイドに回って、藤井がボールを持つ時間が長ければ自分がファーストサイドに行き、藤井をセカンドサイドにあえて置いてとか、そういう風に流動的に流れを見る。ポジションというよりは対戦相手が嫌がることをできればいい。それがまだまだ成長段階だが、良い形で今年はもっとできるかなと思う。個人的にはもう少しゲームコントロールというところはもちろん、アグレッシブにペイントアタックするとか、積極的にボールプッシュしてハーフコートオフェンスだけじゃなくもう少しボールコートでフローのオフェンスの中に参加するとか、起点になるところをやっていければいいかな」と、仲間をよく見つつ自身の挑戦も忘れない篠山の姿は今シーズンも変わらない。
「今日の試合、ある程度はできたかなと思うし、 まだまだこれから自分自身もいろんなことができそうだなという前向きな気持ちでいる」と語り、静かに手応えを掴んでいた。
10日には、以前川崎に在籍していた大塚裕土、さらにこのオフに移籍した熊谷尚也が在籍するA千葉と、そして16日には宇都宮ブレックスとのプレシーズンゲームが予定されている。川崎は開幕までにどれほどチームケミストリーを構築できるか、期待したい。