チームワークの良さを感じるからこそ仲間の思いに応えたい 長崎ヴェルカ 野口大介
2021年最終戦。12月25、26日に長崎県立総合体育館で行われたB3リーグ長崎ヴェルカ対アルティーリ千葉(以下A千葉)は、B3リーグ1位2位の直接対決として注目を集めた。
GAME1、キャプテン#4狩俣昌也の不在が響いた長崎は、A千葉にリードを許す。3クォーター、経験豊富な#34ジェフ・ギブスが意地を見せ猛追するも届かず落としてしまう。翌GAME2は序盤からハードなディフェンスでA千葉を圧倒、連敗は阻止した。
献身的にチームを支えていた#23野口大介は「年内最後の試合を、ホームで勝利で終えることが出来てほっとしている」と振り返った。GAME1を落とし、首位陥落。A千葉と順位が入れ替わった中で迎えたGAME2だった。長崎は88-61と27点差で勝利した。「首位を奪還するためにも僕らはチャレンジャーとなって臨むことができ、気持ちが上回ったことが点差に繋がったと思う」と語った。
さらに野口は「正直、勝ちに慣れて自惚れていた」と指摘した。ベテランは敗因やチームの課題を理解していた。#3山本エドワードとGAME1終了後「メンタルの弱さ、これが現実。そこに気が付けるかどうか」と冷静にチームの今を見つめていた。若い選手も多い。野口や山本に比べれば経験の少ない選手も多い。チームの中心となる狩俣も不在。チームが今の壁を乗り越えられるのかどうか「見どころ」だった。大切なことは、忘れかけていた攻めのディフェンスなど「長崎ヴェルカのスタイルを取り戻す」ということだった。「シュートが入らなくても相手に決められてもすぐに切り替えてテンポを速めることが僕らのスタイル。それがGAME2は出来た」と静かに喜んだ。
開幕からこれまで「チームに貢献出来ず申し訳なく悔しい気持ち」を抱えていた。新天地で模索するベテランはそれでも日々の練習と真面目に向き合い続けた。「少しずつでもその悔しさを個人練習などでコツコツ積み上げてきたことが形になってきている」と確かな手応えを感じていた。
「彼の活躍は確実にチームのためになっている。38という年齢。コンディションが上がっているのは彼の努力もあり、メディカルスタッフもしっかり頑張ってくれている」と伊藤拓摩ヘッドコーチ兼ゼネラルマネジャーは話す。
さらに野口は「仲間がパスをくれるからシュートが打てる。シュートのチャンスを作ってくれるチームワークの良さを感じるからこそ、仲間の思いに応えたいとより一層思う」と仲間への感謝の気持ちを示した。シュートは打たなければ入らない、シュートを撃ち続けなければ感覚も戻ってこない。長崎は確かに今年出来たばかりのチームではあるが、そこには既に仲間との絆が存在している。
新規参入、立ち上げ直後から多くの注目を集めてきた。さらに勝ち星を伸ばしてきた。そんな今のクラブを「ポジティブな要素が非常に多く楽しみという気持ちが上回る。レラカムイ北海道(現・レバンガ北海道)の創設期にも在籍した。その時と比べても長崎はベースがしっかりしている。若手もベテランも揃えチームを安定させようというコーチ陣の意図も見える。北海道時代、僕は若手として在籍していたが、その頃と比べても今の若手はとても努力し積極的に取り組んでいる」という。レラカムイ北海道というクラブは運営会社の経営悪化などの理由からチーム消滅の危機に陥った過去がある。その危機を救ったのが株式会社北海道バスケットボールクラブを設立しチームを継承した当時のキャプテン・現在の社長である折茂武彦だった。そんなチームの危機的状況を野口は間近で見た経験がある。だからこそ、人一倍今の環境に感謝しプレーを続けているのであろう。
また野口には忘れられない先輩がいる。高校、大学の先輩だった佐藤竜弥氏。残念ながら悪性リンパ腫を患い2016年5月25日に38歳の若さで亡くなってしまった。闘病生活の支えになればとレバンガ北海道とプロ契約をしベンチ入りしたことがあった。当時野口は背番号1を付けていた。今の23という数字はマイケル・ジョーダンに憧れていた佐藤氏が付けた背番号なのだ。
試合前と試合後、チームが円陣を組む時に野口は決まって天を指す。「今日も頑張ります」「見守ってくれてありがとうございました」と佐藤氏に語りかけている。佐藤氏に恥ずかしくないプレーをし続けなくてはならない。
今シーズン、新たに得た仲間とともにB3優勝・B2昇格という最高の報告を佐藤氏へ届けるためにも、野口は2022年も変わらずひたむきにプレーを続けていく。
【バスケットLIVE特別配信】
●2021年12月25日
B3 第12節 GAME1
https://basketball.mb.softbank.jp/lives/102696
●2021年12月26日
B3 第12節 GAME2
https://basketball.mb.softbank.jp/lives/102697