負けをスッキリと受け入れる選手になって欲しくない 伊藤拓摩ゼネラルマネージャー兼ヘッドコーチ(長崎ヴェルカ)
新しいクラブは様々なことに「初」がついて回る。今シーズン、B3リーグに参入した長崎ヴェルカ。開幕からこれまで負け無し、連勝街道を歩んできた。
そして11月27、28日は静岡県にある富士市立富士川体育館でベルテックス静岡と対戦した。GAME1を勝利した長崎だったが、GAME2はシュート精度を欠き苦しんだ。4クォーター終盤に#4狩俣昌也がスリーポイントシュートを5本沈め怒涛の追い上げを見せたが静岡が4点差で逃げ切り、長崎は初めての敗戦となった。開幕から続いた連勝記録は13で止まり、得失点差では首位に立っているもののアルティーリ千葉と13勝1敗で並んだ。
試合後、伊藤拓摩ヘッドコーチ兼ゼネラルマネジャー(以下GM兼HC)は「2日間、静岡が素晴らしいバスケットボールをした。彼らの勢いを止めるべき時に正しいことが出来ていなかった。オフェンスもディフェンスも素晴らしいプレーをさせてしまった。メンタリティーも反省すべき。ヘッドコーチとしても反省すべき点がある」と振り返った。
敗戦した翌GAME2、静岡は高いエネルギーを持ち臨んだ。長崎はここ最近、前半負けていても後半で盛り返し勝利するという試合展開が続いていた中で「巻き返せると言う傲りがあったかもしれない」と悔やんだ。
これまで選手たちには「負けはすぐそばに常に隣り合わせにある」と語ってきた。「全員が試合を通してしっかりしないといけないと再認識する必要がある」と厳しい表情だった。この敗戦を受け傲りはなくなるはず。その中で「チームとして個人として自分に何が出来たのか反省して成長に変えなければならない」と選手たちには声をかけた。また長崎は強くなる、ひとつになる機会に出来るか。
「長崎に初黒星を付けてやろうと挑まれ、1年目のチームがそのようにリスペクトされることは光栄なこと」だった。この先、さらに長崎がリスペクトされるチームになるため、B3リーグ優勝を達成するためには若手の成長も重要となる。地元・静岡での開催、古巣との対戦ということで期待された#22近藤崚太は「彼らしいプレーが見られなかった。どれだけチームに貢献できたのか彼自身も自分に問わなけらばならない」と指揮官から檄を飛ばされた。ベテランの域に達し、どんな状況であれ結果を出せる選手になることが求められている。
伊藤GM兼HCは「自分に問うことがプロのアスリートとして大切。負けをもって選手たちが気付き成長するのであれば、この敗戦には意味がある」と語った。
どんな負けも悔しい。「天皇杯で秋田ノーザンハピネッツに負けたことを未だに夢に見る」という、選手以上に負けず嫌いな指揮官の下で選手たちはさらなる成長を目指す。
「負けをスッキリと受け入れる選手になって欲しくない」と最後にそうメッセージを送った。
12月4、5日に行われる第9節、長崎はホーム諫早市中央体育館での初開催ゲームとなる。対するのは、しながわシティバスケットボールクラブ。敗戦を教訓にし気持ちも新たに挑みたいところだ。