長崎ヴェルカ 天皇杯3次ラウンドで秋田ノーザンハピネッツと対戦

長崎ヴェルカ 天皇杯3次ラウンドで秋田ノーザンハピネッツと対戦

 佐賀県の唐津市文化体育館などで開催されている第97回天皇杯全日本バスケットボール選手権大会の3次ラウンド。前日サンロッカーズ渋谷(B1・以下SR渋谷)を破り31日に行なわれた2日目に駒を進めた長崎ヴェルカ(B3)は秋田ノーザンハピネッツ(B1)と対戦した。

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 伊藤拓摩ヘッドコーチ兼ゼネラルマネジャー(以下GM兼HC)は「秋田がよりエネルギーを持ってプレーをしていた。ちょっと圧倒されて相手を乗せてしまった。それが全てだった」と試合後に振り返った。

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試合開始前、選手たちには「秋田はBリーグで一番スリーポイントシュートの確率が良い。意識するように」伝えたという。結果として、スリーポイントシュートだけを見れば、秋田は14本中4本が成功したのみ。そもそもスリーポイントシュートの試投数を抑えることはできた。しかしながら、その分「簡単なレイアップなどを決められ、ツーポイントシュートのフィールドゴールパーセンテージが77.5%とありえない数字。我々のディフェンスがソフトな入り方になってしまった」と伊藤GM兼HCは悔やんだ。スリーポイントシュートのケアに「選手たちの意識が行き過ぎてしまったのではないか」と分析した。長崎は92得点をあげるも、秋田に102得点を許し10点差で敗れた。

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 所属するB3リーグでも連日の試合スケジュールを開幕以降戦っているが、今回長崎はこの天皇杯3次ラウンドでSR渋谷、秋田とB1東地区に所属する2クラブとの連戦。得るものも大きかったのではないか。1勝1敗と言う結果を受けて伊藤GM兼HCは「選手のメンタルは通用する。今日ももっと点差が離れてもおかしくない展開で戦い続け、諦めない姿勢には素晴らしいものがあった」と称えた。SR渋谷も秋田もハードなディフェンスが持ち味のチームと連日試合を行った。自チームにもB1経験者が多いが、チームとして対戦しB1レベルを肌で感じた若い選手たちにとっては「激しく戦い続けたことは今後に繋がる戦い方だっただろう」と語っていた。

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 #14高比良寛治は「長崎の強みのトランジションオフェンスやディフェンスのプレスなど戦える部分はあった。点差を詰めたりすることができた。しっかり40分間戦えればもっとチャンスはあった」と振り返る。点差を詰めるまではできた。逆転し勝ち切るために新生チームの挑戦は続く。

長崎ヴェルカ 天皇杯3次ラウンドで秋田ノーザンハピネッツと対戦
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 また連日、コート上のみならずベンチからもチームを鼓舞し続ける#3山本エドワードの姿が見られた。「両試合で良い部分も悪い部分も出た」と言い、「SR渋谷戦では粘り強いディフェンスからオフェンスでフィニッシュまで見せることができた。秋田戦は自分たちのディフェンスから崩れてオフェンスもフィニッシュまでなかなか行ききれていなかった。全然違うチームの出来になった」と悔しそうな顔を浮かべていた。リーグも連戦形式で行われる。「連日、同じバスケットを常にできるかがカギ」と課題を挙げ「しっかり反省したい」と語った。

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 「B1でもB3でも関係なくやることができると気付かされた。今、やっていることは間違いないと感じた中で、B3では日頃体験できないフィジカルな部分などは自分たちで意識しながらやり続けたい。まだまだ成長していける」と前を向いていた。

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 また対戦した秋田ノーザンハピネッツの前田顕蔵ヘッドコーチ(以下HC)は「秋田と長崎は全く同じディフェンスのシステム。ビハインドになっても諦めない素晴らしいチーム」と感じていた。ディフェンス面で指揮を執っている長崎の前田健滋朗アソシエイトヘッドコーチは、前田HCの下で2年間アシスタントコーチを務めていたからだ。

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 「システムを知っているからこそ、弱い部分もわかっているのでそこを突くようにした」と振り返っていた。また改めて、対戦後の長崎について「リーグを熟知したコーチングスタッフが集まり、素晴らしい土台を作っている。そこにハードにプレーする選手を集めて経験値のある選手も集め、1年目から結果を求めている。さらに先のビジョンも持ちながらやっているクラブだ」と語った。
 
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 高比良は「勝てない相手ではなかった。初めて長崎でモヤモヤした気持ちになった」と悔しさを滲ませた。B1チームと対戦する機会は今シーズンは残念ながら終わってしまった。さらに今回はクラブ発足後、初めての公式戦敗戦となった。この悔しさを成長の糧としさらにリーグ戦にぶつけてもらいたい。

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 この2日間、九州地区の会場だったこともあり長崎からもファンが応援に駆け付けてくれていた。最後に「(SR渋谷戦での)追い上げムードの時には会場が応援してくれていると感じることができ力になった。もっと応援されるチームになって結果で恩返しをしたい」と高比良はファンへの思いを口にした。
 次の戦いはすぐにやってくる。B3リーグ第5節は11月5、6日に深谷ビッグタートル(深谷市総合体育館)と敵地に乗り込み、さいたまブロンコスと対戦する。天皇杯での悔しさをバネに、今シーズンの目標達成に向けて長崎は突き進む。

長崎ヴェルカ 天皇杯3次ラウンドで秋田ノーザンハピネッツと対戦

文:木村英里
写真:オガワブンゴ

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