
川崎ブレイブサンダース、敗戦の中で見えた成長と課題––篠山竜青「まだ足りない」
「きつい時にどれだけやれるのか。川崎の選手たちはまだ足りない」
川崎ブレイブサンダースの篠山竜青は、試合後にゆっくりと言葉を紡いだ。
2025年最終戦、12月27日にホームとどろきアリーナで行われた佐賀バルーナーズとのGAME2終了後、篠山に話を聞いた。この試合、84-91で敗れたものの、シーソーゲームの展開に会場は盛り上がりを見せていた。
試合を終え、勝久ジェフリーヘッドコーチも「試合の結果は負け。その後に話すのは悔しいが、チームは成長していると感じる。こういう試合ができるようになった」と、内容には一定の手応えを口にしていた。
しかし、川崎の現状は6勝22敗、東地区12位に沈んでいる。2026年、残りのシーズン、このような試合を勝ち切れるチームへと成長するために何が必要なのか聞いた。
「選手としての本質が出る部分。きつい時にどれだけやれるか、良くなってきているけれどまだ足りない」
篠山の語る、選手としての本質が出る部分とは、システム以前のいわば当たり前の部分。
「ちょっとしたところのボールプレッシャーや、手の使い方、ボックスアウト。自分たちからぶつかるのか、ぶつかられて押し切られるのか。ミスした後に、ダッシュで戻っているのか」
「シュートが入っている時はできる。しかし、なかなか調子が上がらないとできない。イライラしているとできない。そういうことがまだまだある」と指摘する。
「バスケットは全てにおいて切り替えが早いスポーツ。頭で考えているうちは、全て一歩二歩遅れてしまう。ハビットスポーツと言われるように、習慣がものを言います。あとは、考えるというより、危機察知能力や、ここへ動いたらどのスペースが空くのかといった感じる力、どれほど良質なアンテナを張れるのか」
数字に現れない、細かく基本的なところをどれだけ徹底できるか。まずはそこからだ。
そうした「基本」や「本質」が、より強く問われる背景として、Bリーグを取り巻く環境の変化があるだろう。
NBA経験のある外国籍選手の来日も増え、選手たちの経験値は高まり、リーグ全体のレベルも年々上がっている。一方で、どのクラブにも言えることだが、すべての選手が篠山のように経験豊富で高いバスケットIQを備えているわけではない。だからこそ、日々レベルが上がるリーグの中で戦い続けるためには、各チーム、選手たちの成長が必要不可欠となる。
そのために「考えて意識して大げさに練習することで、試合になってようやくできることがあります。一人ひとりの向き合い方が大事だと思います。残りのシーズンで劇的に変えることは難しいですが、コーチ陣やポイントガード陣とのコミュニケーションがより必要」と話し、篠山は練習の質を向上させることやコミュニケーションを挙げた。
勝久HCも「相手が試合中にアジャストしてくる中で、ちょっとした気づきやコミュニケーション、判断力など、臨機応変にアジャストする力がベースの上で出来るようになれば細かいミスが減らせると思います」と語っていた。
篠山は悔しさと課題を率直に口にし、新年を前に総括した。
「こうしたら勝てる。これが出来なかったから勝てないといったことが明確になってきました。だからこそ、勝てないことがすごく悔しい。それぞれ感じる部分もあると思うので、各選手が責任感を持って変えられるところは変えなきゃいけないし、やることをやらなければいけない。そう改めて感じた試合でした。しっかりとまた新年に向けて、成長を止めずにやっていきたいなと思います」

一昨シーズン、絶対的エース、ニック・ファジーカスの引退を経て、川崎は大きな転換期にある。戦績こそ厳しい状況が続いているが、チームは一歩ずつ前に進んでいる。
その歩みを確かなものにするためにいま必要なものは、派手な戦術や特別な何かではなく、篠山が繰り返し口にしてきた、手の使い方やボックスアウト、走って戻るといった、数字に表れにくい基本を、どれだけ愚直に積み重ねられるかだ。
そうしたプレーを続けられるようになれば、結果だけでなく、最後まで諦めない姿勢や、見る者の心に残るプレーも増えていくはず。
1月3日4日には、富永啓生やジャリル・オカフォーの活躍で躍進を続けるレバンガ北海道との対戦が控えている。篠山が語った「きつい時にどれだけやれるのか」という言葉の意味が、改めて問われる2試合になる。
この先、川崎がどのような成長曲線を描いていくのか。伝統あるクラブの変革を見守りたい。
篠山の挑戦は、2026年も続く。

