素晴らしいファンの前でまたプレーを 長崎ヴェルカ パブロ・アギラール

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長崎ヴェルカ#9パブロ・アギラール。昨シーズンまで川崎ブレイブサンダースでプレーし、天皇杯2連覇を果たすなどチームの中心選手の1人として活躍していた。そんな彼が、長崎ヴェルカへ移籍する。オフシーズンに大きなニュースが飛び込んだ。

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 2022-23シーズン開幕直後の第2節、香川ファイブアローズ戦で捻挫しアギラールのシーズン開幕は順調とはいかなかった。しかし、11月4日5日に東京都の大田区総合体育館で行われたアースフレンズ東京Zとの対戦で長崎は連勝、GAME1では23得点、GAME2でも20得点と大活躍、大きく勝利に貢献した。
 試合後、長崎での新たな挑戦についてballtripMAGAZINEでは話を聞くことができた。

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 長崎での新生活。「すごく素敵な街でご飯もおいしい。チームメイトも環境も良くてハッピーだ」、そう笑顔で語り始めたアギラール。
 川崎では34だった背番号。今シーズンは9を付ける。すでにジェフ・ギブスが付けており「さすがにギブスには言えなかった」と笑う。自身の誕生日が2月9日であること、母親が大切にする数字でもあることから「9」を選んだ。

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 アギラールの川崎退団が発表され、プレーが見られる機会がなくなってしまうのかと残念に思ったファンもいただろう。「日本には魅力がたくさんだ。国として、文化や食、生活を満喫している。そして日本のバスケットボールのリズムやスタイルにも慣れて楽しめている」と充実した選手生活を送ることができる国。さらに、「川崎時代のファンとの交流が素晴らしいものだった。彼らとのつながりは今でも大切にしている」と教えてくれた。両日、川崎時代のユニフォームやタオルを掲げるファンの姿が客席にはあった。「ファンからのサポート、応援をとても誇りに思う」とうれしそうに微笑んだ。移籍先に日本のチームを選んだのはアギラールにとっては当然のことだったのかもしれない。

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 長崎は昨シーズン誕生し、初年度でB3リーグ優勝、B2昇格を果たした。今シーズンは、最速でのB1昇格を目指している。「チャレンジが好きだ」という。チームの昇格という挑戦にともに挑むこと。個人としても川崎時代とはことなる5番ポジションをプレーする必要があるなど役割にも変化がある。様々なチャレンジが長崎にはあった。これが移籍を決意した理由。
 
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 伊藤拓摩ゼネラルマネージャーは「実はB3リーグ参戦前からいいなと思っていた」と明かす。実績がないチームをエージェントも選手にすすめることは難しい。1年間、エージェントとの関係を築いてきた。見事、2シーズン目に獲得。「もたらしてくれる経験値も高く、性格など人間性も素晴らしい。チームを和ませ、若手にアドバイスをする。すごく貢献してくれている」と既に評価は高い。

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 今シーズンから指揮を取る前田健滋朗ヘッドコーチは、「パブロがコートにいると安心感がある。万全に試合に臨めてうれしい。アグレッシブなディフェンスやオフボールの読みなどバスケットボールIQの高さ、オフェンスもタイミングのよいカットやパス回しなど、彼のいいところがこれからもどんどん出てくるだろう。素晴らしい選手だ」と太鼓判を押した。これからも「パブロらしく」と期待を込める。

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 長崎は「テンポが速い」ため、アジャストにはもう少し時間がかかると感じている。そのためにも、積極的にコーチ陣やチームメイトに声を掛けコミュニケーションを取る姿があった。試合中に「改善点が見えた際には、コーチ陣や仲間にこれからもまめに伝えていく」つもりだ。

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 #4狩俣昌也も「彼がどうしたいのか、僕がどうしたいのか、すり合わせている」と語っていた。「合流した時から、彼がコートに入るとやりやすさが段違い」という。滋賀レイクスターズでプレーしていた時には、川崎でプレーするアギラールと対戦したことも。「バスケットボールIQが高いと改めて感じた。すごく賢い選手」とやりやすさと手応えを得ている。また「日本人のような気遣いもある選手」でもある。これがチームメイトからもファンからも愛される理由のひとつだ。
 新しい仲間とは「すごく話をする。話し過ぎてしまうくらいだ」と笑うアギラールを見ると、とてもいい関係性が築けているようだった。

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 チームとして勝つために「負けず嫌いさ」をチームにもたらす。目的のために、その試合ごとに必要なことを全うする。真摯な姿勢と情熱を胸に、チームをB1昇格へ導くことができるか。「全員が共通認識を持ち、同じ目標を目指していることが大事。目標達成のための選手、スタッフは揃っている。今、1人もセルフィッシュなメンバーはいない。このチームなら達成できる」と確信をすでに持っている。

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 B1に昇格を果たすと、古巣・川崎と対戦する可能性がある。「今も川崎時代のチームメイトやコーチ、スタッフと連絡を取り合い、仲がいい関係が続いている」という。節々から溢れる、チームメイト思いのあたたかさ、やさしさ。人情味溢れる選手は最後もファンへの思いを口にした。「川崎の素晴らしいファンの前でまたプレーできる日が来るのであれば、すごく楽しみだ」。大切なファンのために、仲間とファンとの再会のためにも必ずB1昇格を成し遂げてほしい。

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文:木村英里
写真:オガワブンゴ




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