[ERI’S FINDER]たどり着いた天皇杯決勝の舞台
このコラムは、フリーアナウンサーの木村英里がブレ活(ブレずにサンダースを応援し続けるバスケットボールライフ)を送る中で見つけたこと、感じたことを綴る取材日記です。
天皇杯準決勝 川崎ブレイブサンダース対宇都宮ブレックス
82-61
篠山竜青選手、マティアス・カルファニ選手に加えて、天皇杯ファイナルラウンドに入り、鎌田裕也選手、さらには藤井祐眞選手までがインフルエンザを発症。
絶望感すら漂ったそんなピンチの中、戦った川崎の選手たち。
試合内容は大方の予想を大きく覆すものでした。
開き直ったという言葉が正しいのかも知れません。
準決勝に挑むチームの雰囲気について「当たって砕けろみたいな感じだった」と大塚裕土選手も振り返っていました。
腹を括った川崎。
そして「やれる」という自信。
夏からハードな練習に耐え抜き、佐藤賢次HCのもとBリーグ首位の成績で迎えた天皇杯でした。
ここまで、宇都宮相手に開幕戦連勝したり、千葉ジェッツ相手に大逆転勝利したり、そして怪我で離脱する選手を抱えながらも戦い続けて来ました。
大塚選手は「夏からやって来たこと、HCのバスケットを体現できて非常に良かった」と語っていました。
選手を信じるHC、HCを信じる選手たち。
これが今の川崎の強さの一つだと思います。
もちろんチームの成長だけではなく、個々の成長もあります。
ベテランの大塚選手でさえ「今まではこういう舞台に立つと気負ったりしていたが、今はフワフワした気持ちはない。良い状態でメンタルも成長できたと思う」と、自らの成長を実感しています。
チームの成長とともに、みんなで高め合いながらチームは強くなっているのですね。
そしてたどり着いた決勝の地 川崎ブレイブサンダース対サンロッカーズ渋谷
73-78
あと一歩のところで、天皇杯制覇には届きませんでした。
疲労との戦い、満身創痍の中で体を奮い立たせながら戦い続けた川崎の選手たちをとても誇らしく思います。
決勝で、40分間フル出場したニック・ファジーカス選手やジョーダン・ヒース選手。
佐藤HCは決勝後の会見で「追いかける展開で変えるタイミングが難しかった」と語っていましたが、私は彼らの覚悟も感じました。
辻選手は試合後の会見で「しんどかった」と本音を漏らしつつも、「みんなで助け合っていこうと話し合った。僕もみんなに助けられていると強く思った。チームとして成長した大会だった」と振り返っていました。
ご自身が疲れた時に大塚選手や長谷川技選手、熊谷尚也選手たちがディフェンスでプレッシャーをかけてくれたり、ボールを運んだりフォローをしてくれていたことにとても感謝していた辻選手。
まさにチーム一丸で戦っていたのですね。
チームに起こったアクシデント。それを乗り越え優勝するまでにはほんの少し足りませんでした。ただ、確実にチームの絆、団結力、組織力は強くなりました。この悔しさをバネにチームがさらにどう進化を遂げるのか楽しみです。
この悔しさはリーグ戦制覇で晴らしてほしいですね!その時には全員が揃った川崎で。
北卓也GMが目を細めたワケ
実は決勝後、北卓也GMにも少しだけお話を伺うことができました。
「よく頑張ったけどね、惜しかった」そう悔しさを滲ませていた北GM。
ただ「ここまでファジーカス選手と辻選手が活躍できたのは久し振りではないか」と悔しさだけではない感情も見せてくださいました。
「準決勝では、他の選手たちが開き直ってプレーをしていた。そして、決勝では周りが固くなって気負っていた中、2人が引っ張っていた。見ていて、リーグや天皇杯を制覇していた頃の2人を見ているようだった。見ていて嬉しかった」と最後にほんの少しだけ目を細めた北GM。
もちろん川崎には絶対的なエースが存在します。ただ、その試合ごとにヒーローが異なる、みんなが活躍しチームを引っ張る、それが今の川崎なのです。
楽しかった!
さてこのファイナルラウンド、最も成長したのは青木保憲選手ではないでしょうか。
辻選手は青木選手について「自分の持っている以上のものを出してくれた」と話していました。
でも準決勝を前に「しっかりやるしかないと腹を括り、責任を持ってやろうという気持ちになれた」そうで、「決勝も自分がやれることを頑張ろうというスタンスで臨めた」と振り返ってくれました。
この短時間の中でも成長し、チームメイトの信頼を勝ち得る機会となったはず。青木選手自身は「まだまだ、コーチやチームメイトにアピールして信頼を勝ち取ってリーグ戦後半に繋げていきたい」と言いながら「準決勝、決勝で、少しは前に向けたのかな。」と語っていました。何かご自身の中でも変化が生まれ始めているのかもしれません。
そして実際に立った決勝の舞台は「めちゃめちゃ楽しかった!久し振りにあのようなコートに立てたので」と笑顔を見せてくれて、私も嬉しくなりました。
北GMは「篠山選手と藤井選手が出られなくなり吹っ切れたところがあったようだ。今回プレイタイムが増えたことで自信を待ってプレーできるようになるのかな。まだ課題もあるが、それを克服してほしい。もっともっとひと回りもふた回りも大きくなってくれるのではないか」と、期待を込めてコメントしてくださいました。
天皇杯の準決勝、決勝という大きな舞台。そこで篠山選手や藤井選手不在の中、コートに立ちチャレンジし続けました。今回、青木選手が得たもの、この経験は必ず後に武器になると思いますし、絶対に今後に生かしてくれるはず。
青木選手がこの先、どんな選手へとさらなる成長を遂げるのか楽しみで仕方ありません。
ERI’S FOCUS
決勝前日、ブレサンファミリーで円陣を組もうと呼びかけさせていただきました。
想像を越える方が集まってくださったこと、とても感謝しています。
ありがとうございました!
残念ながら優勝する姿を見ることは叶いませんでしたが、ぜひまた横浜アリーナで円陣を組みましょう!
Bリーグ王者を目指して!!
取材の最後には、佐藤HCが「たくさんのファンの方に応援していただき、ありがとうございました」とおっしゃっていました。
これからも応援し続けます!
文:木村英里
木村英里 Eri Kimura
バスケの魅力にハマったフリーアナウンサー。テレビ静岡・WOWOWを経て現在はラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。川崎ブレイブサンダースファン。
twitter:@kimuraeri / Instagram:@39elly39
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