キャプテンとして臨む今シーズンに懸ける思い 福島ファイヤーボンズ 林翔太郎 balltrip MAGAZINE(ボールトリップマガジン)

キャプテンとして臨む今シーズンに懸ける思い 福島ファイヤーボンズ 林翔太郎

昨シーズン、右足関節開放性脱臼という大怪我から復活を遂げた福島ファイヤーボンズの林翔太郎。復帰までのスピードには驚かされた。怪我から3ヶ月後。コートには林の姿があったのだ。

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「周囲からも大丈夫かと言われました。復帰の判断は難しかったですね。100%ではなかったので、もう少し後の復帰でも良かったかなとも思いました。ただ、なるべく早く復帰してチームの力になりたかったんです」と当時を振り返る。現在は、プレーに対する怖さもなくなった。

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そして迎えた新シーズン。林にとってキャリア初のキャプテンとして挑むシーズンになった。
「考えてもみなかった」と本人も驚いた人選。

栗原貴宏ヘッドコーチからキャプテンを打診された際のエピソードがまた林らしい。オフシーズン中、栗原HCからLINEが届いた。
「今、電話できる?」
その一文に「あぁ、俺、やらかしたかな…」と思ったという。

今月、林は29歳になる。「ターニングポイントじゃないですが、経験させてもらえることはなかなかないし、栗原さんに言われたらそれはもうやります」と引き受けた。

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栗原HCは、昨シーズンの林の姿を見てキャプテンを託そうと決めた。
「大怪我をした時もずっとチームのために行動をしていました。チームが良い時も悪い時もずっとベンチで声かけをしていましたし、選手個人にも話しかけていました。復帰してからもずっとチームのためにというマインドでいる姿が一番印象に残っています」
自分自身のプレーが上手くいかない時もチームのために声をかけ続けられる選手ばかりではない。栗原HCは明かす。
「以前、林は『(川崎ブレイブサンダースの篠山)竜青さんを見ているので』と言っていました。竜青も、自分のプレーの良し悪しに関係なくずっとチームを鼓舞していました。それを見て、林もやってくれていたんだろうなと思ったんです。それだったらと。経験ないキャプテンという立場は本人のためにもチャレンジになるし、これを機に成長してもらえたらいいなと思いました」

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林は「昨シーズンは若手選手がたくさんいたので。プレーが出来ない時もあったので、年齢的にも言いづらいことも言おうと意識していました。僕はB1で色々と経験をしてきました。川崎などで素晴らしい先輩方の姿を見てきています」と語る。川崎退団後、新潟アルビレックスBB、滋賀レイクスターズ(現・滋賀レイクス)、茨城ロボッツとチームを渡り歩いてきた。新潟ではリーグを代表する名選手、五十嵐圭と共に戦うなど、それだけ良き手本があったのだ。「そういった選手たちの背中を見て学べたのは、他の人にはできない経験で自分の強みです。それをこのチームで還元できたらなと思います」と誓った。

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「やっぱり栗さんの存在は大きいんです」
林はそう語る。
「怪我をした時も一番栗さんが心配してくれていたと思います。同じ轍を踏ませないと、栗さんも経験があるから病院など紹介してくれて心強かったです。それこそ(篠山)竜青さんからも栗さんがいるから大丈夫だと連絡をもらいました」と振り返った。篠山は栗原HCの日本大学、東芝、川崎の後輩にあたる。よく知っている間柄だ。
林は「栗さんは同じ川崎というチームでプレーをし、同じポジションだった人です。理解度が高く、信頼できるんです」と笑顔を見せた。

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林は、インタビューの終盤、こんな想いを明かしてくれた。
「最初に入ったのが川崎で本当に良かったなと思います。あの環境で竜青さんやハセさん(長谷川技)といった先輩方と一緒にバスケットができたのは本当に自分にとって財産です。目指すべき人で、目標みたいな存在がハセさんだったので。今でも目指しています。また対戦もしたいし、一緒にプレーもしたいです」

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不完全燃焼で終わった昨シーズン。今シーズンに懸ける気持ちは強い。
「飛躍の年にしたいですし、チームからも期待されていると思います。そして応援されるチームになりたいです。最後まで諦めないことで結果もついてくるし、ファンの皆さんも応援したくなるはず。
綺麗なバスケットというより、泥臭く1点でも多く得点して勝つ。そういうバスケットを目指していきたいです。プレーオフに出ないといけないので」
そう語る姿はキャプテンらしい責任感を感じさせるものだった。

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これまでの経験を、新しい立ち位置で福島というチームに還元してくれるだろう。今シーズンは怪我なく、伸び伸びとプレーする姿に期待したい。そして責任感を増した林が、ここからどんな成長を遂げるのか注目してもらいたい。

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文:木村英里
写真:オガワブンゴ

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