とにかく後半戦、チャンピオンシップとその先へ 川崎ブレイブサンダース 篠山竜青
3月2日3日にかけて、川崎市とどろきアリーナで行われた神奈川ダービー。川崎ブレイブサンダース(以下・川崎)対横浜ビー・コルセアーズ(以下・横浜BC)は、GAME1は83-67で川崎が、GAME2は横浜BCが84-73で勝利し、1勝1敗で終えた。
川崎にとって、2月14日に行われた天皇杯セミファイナルで琉球ゴールデンキングス(以下・琉球)に敗れた後、バイウィークを経て迎えたリーグ戦だった。沖縄アリーナでの琉球との一戦は、明らかに力の差が浮き彫りになった。試合後、佐藤賢次ヘッドコーチ(以下・HC)は選手たちに、「シーズンが終わったわけではない。チームが上向くためにやるべきことを探そう」と声をかけた。
バイウィーク中、チームはどんなことに取り組んだのか。
GAME1に勝利した川崎は、#22ニック・ファジーカスが26得点8アシスト13リバウンドとトリプルダブルに迫る活躍でチームを牽引した。このうちスリーポイントシュートはキャリアハイに並ぶ6本を沈めていた。
GAME1終了後、佐藤HCは、「もう一度、ニックがいる川崎を、その感覚をみんなで掴む。そのために何が必要か考えた。結論として、たくさん5対5の練習を行い、いっぱいいっぱい話し合った。その結果が今日はいい方向に出た」と試合を振り返った。
会見に臨んだ#7篠山竜青は、「とにかくニック不在時に#25ロスコ・アレンと#20トーマス・ウィンブッシュを中心とした流れを作り、ボールと人がよく動くバスケットボールを1ヶ月くらい続けてきた。その中でニックが帰ってきて、ただロスコやトムのところを単純にニックではめて行うわけではない。ニックがコートに立つ時間は、ニックの良さを織り交ぜながら作らなければならない。ディフェンスもある時はアグレッシブに前から行くが、それよりも全員で戻った方が相手に走られずに済むこともある。何が強みで何が弱みなのか。そういう時に周りは何ができるのか。ニック以外の選手たちがどうカバーし、強みを出せるのか。せっかくロスコやトム、#18鎌田(裕也)、#11増田(啓介)も含めこの間に4、5番ポジションのところで強みを活かすプレーでチームにフィットしていたと思う。ニックが戻ってきたことで全て忘れるのではなく融合する。ニックの強みを出し、ニックのウィークポイントを消す、ニックが帰ってきてもボールが止まらないように。そういった部分を慣らすことに意識して取り組んだバイウィークだった。今日(GAME1)はニックのスリーポイントもとても当たっていたし、スイッチに対してそこで勝負をつけることができたことはよかったと思う」と、言葉を選ぶように教えてくれた。
さらに篠山は、「これがもっとディフェンスがハードなチームや、ニックのシュートタッチが良くない時に、それで負けるのではなく、他にも川崎には引き出しがある。積み重ねをどんどん出していけたら」とも語っていた。
しかし残念ながら翌日、GAME2は前日からディフェンス面、オフェンスリバウンドなどしっかりと修正し臨んだ横浜BCが序盤から主導権を握り、川崎は流れを断ち切ることができなかった。1クォーター、7-30と大量リードを許すというスタートだった。17-45というスコアで折り返した川崎は、後半56得点と盛り返すも逆転するまでには及ばなかった。
篠山が挙げていたファジーカスとの融合に加えて、流れを断ち切る、流れを作るために何が必要で何が足りていないのか。そして連戦をどう戦うのか。スタッフ、選手一丸で再確認し突き詰める必要があるだろう。
篠山は、GAME1を振り返る際、「(横浜BC)#5河村勇輝選手のところでいかにストレスを与えられるかというところでは、#0藤井(祐眞)、#12野﨑(零也)あたりがしっかりとプレッシャーを与え続けてくれた。それが勝利に繋がったと思う。ニックが怪我をしてプレータイムが伸びていた鎌田が、ニックが帰ってきても要所要所で自分のやるべきことを理解し遂行していい流れを作ってくれた」と選手たちの名前を挙げながらそれぞれを評価していた。
次節、川崎は6日に長野市のホワイトリングで信州ブレイブウォリアーズ(以下・信州)と対戦する。22勝19敗、中地区3位の川崎。負けられない試合が続く。
対する信州も残留へ向けて負けられない。
篠山は、「とにかく後半戦、チャンピオンシップとその先へ」、そう静かに語った。