復帰に向けて頑張る活力、一生この感謝を忘れることはない 福島ファイヤーボンズ 林翔太郎
昨年10月22日に負傷し右足関節開放性脱臼と診断され整復手術を受けた福島ファイヤーボンズ(以下・福島)の#33林翔太郎。それから101日後。2024年1月31日、コートには林の姿があった。
2月17日18日に郡山市にある宝来屋郡山総合体育館で、ベルテックス静岡(以下・静岡)と対戦した福島。試合を終えた林に話を聞いた。
現在の状態は80%〜90%戻っているという林。残る10%は「3ヶ月間バスケットボールから離れていた分、試合勘と、足を怪我した時に上半身のトレーニングしかできなかったので下半身と上半身のバランスが悪い」という部分。それも「3月頭ころにはもう万全でやれるのかな」と現状について語る。
試合に臨めば「集中しているし恐怖心はあまり感じない」という林だが、「アップの最中などは、右側を怪我したので内側の走りなどで、痛いわけではないがちょっと違和感を感じる。今までとは違う感覚があるから、それもやっぱり慣れていくしかない」と、日々怪我後の自身の体と向き合い続けている。
怪我した直後、林は絶望を味わった。
「見た目も見た目だったから、もう競技自体に本当に復帰できないのではないかと本気で思っていた」。
その後、整復手術を経て、「足首専門の先生とかにも診てもらって、4〜5ヶ月くらいでシーズン終盤には復帰できるんじゃないかと話をもらった」。光が差した瞬間だった。
「今まであまり怪我をしてこなかったからこそ、いい経験だなとも思ったし、チームを客観的に見ることができプラスになる期間」と、前向きに捉えることができた。
その間にも福島は、アシスタントコーチだった栗原貴宏氏がヘッドコーチに昇格するなど変化があった。その中でも林を支え続けてくれたチーム。
「今はみんなに置いてかれないように必死に、一生懸命がんばっている」。
林の思いはプレーを通しても伝わってくるがそれだけではない。林は率先して声を出し、試合の時計が止まるたびにチームメイトに声をかけまとめていた。プレー以外でもチームを支えている姿が印象的だった。
両日、林はスターターとしてコートに立ち、18日に行われたGAME2では24分プレーをした。復帰後5試合ほどはプレータイムに制限があったというが、「今はもう制限なくやっている。出た時に一生懸命やるだけ」と力強かった。
林は、今シーズン福島へ加入した。これまで川崎ブレイブサンダース、新潟アルビレックスBB、滋賀レイクスターズ(現・滋賀レイクス)、茨城ロボッツでプレーをしてきた。
「一緒に戦ってくださった先輩方だったり元チームメイトからも今までにないくらい連絡が来た。本当に良い人たちに恵まれたなと思った。また、ファンの方たちもSNSを通してのメッセージや、千羽鶴、メッセージボードなどを作ってくださった。なんか、もう、そのチームに在籍できて良かったなと本当に心から思ったし、それが復帰に向けて頑張る活力だった。本当に頭が上がらないし、一生この感謝を忘れることはない」と、そう林は丁寧に語ってくれた。
現在、福島は16勝25敗、東地区5位。GAME1こそ79-88と落としたものの、GAME2は98-93、最大16点差を追いつき勝利した。目指すプレーオフ出場へ向けて大事な試合が続く。
残りのシーズン、林はどう臨むのか。
「一番は、自分が得意だと思っているディフェンスでチームに貢献できる。ディフェンスには調子の波はない、気持ち次第な部分もある」。
オフェンス面でも怪我前の感覚を取り戻すべく取り組み続けている。怪我前にとても感覚が良かったというスリーポイントシュート。
「復帰当初は結構その感覚が分からなくて、あれどこだったかなと不安になる部分があった。今は、ワークアウトや練習後にアシスタントコーチに手伝ってもらいながら感覚も戻ってきた。自分の強みでもあるのでスリーポイントシュートや身長を生かしたドライブであったり、オールラウンドの活躍でチームに貢献したい」と静かに語った。
アリーナ改修が行われるため、今節をもって宝来屋郡山総合体育館で行われるホームゲームは今シーズン最後となった。今後のホームゲームは、県内の須賀川市や福島市などで開催される。
再び宝来屋郡山総合体育館へチームが戻ってくる際には、どのようなチームへとさらに成長を遂げているのか楽しみにしたい。そして、林がより力強いプレーを見せてくれることを期待しよう。