Bリーグ参入へ!東京ユナイテッドバスケットボールクラブがB3リーグ第1次審査通過
2022-23シーズンからBリーグ参入を目指している東京ユナイテッドバスケットボールクラブ(Tokyo United Basketball Club、略称TUBC、以下TUBC)。
2021年9月9日、B3リーグ理事会が開かれ、TUBCはB3リーグ2022-23シーズンの公式試合参加資格に向けた第1次審査を通過した。
今回プロジェクトマネージャーの庄司顕人氏にTUBCの展望について話を聞いた。
「クラブ代表の家本(賢太郎氏)が車椅子バスケットボールをしていて、アフターコロナや東京2020の東京エリアのレガシーを考える中で、バスケットボールの盛り上がりを受け、クラブ理念「MAKE:UNITED」を掲げ、クラブを立ち上げることを決断した」という。
人との繋がりも薄くなってしまったコロナ禍において、バスケットボールを通じできることは何か。バスケットボールクラブを立ち上げるという夢を新型コロナウイルスの蔓延が後押しした形となった。
クラブとして今年3月、バスケットボールアカデミー活動を開始した。現在は小学生年代のU-12と中学生年代のU-15のスクールを展開している。コーチを務めているのは大野慎子氏だ。長崎県佐世保市出身、アメリカの大学に進学した後、日本人女子として初めてNCAAに出場した元選手である。
また3月には、江東区の子供たちの大会がコロナ禍で全て中止となってしまったことを受け、TUBCとしてできることはないかとメモリアルカップというイベントも開催した。
「すごく反響があり、シーズンを通してスプリングカップやサマーカップなどを継続的にやろう」と企画し、まだ立ち上がったばかりではあるが、この半年で様々なチャレンジを積極的に行ってきた。
東京には現在5つのクラブが既にある(アルバルク東京、サンロッカーズ渋谷、アースフレンズ東京Z、東京八王子ビートレインズ、しながわシティ バスケットボールクラブ)。
うち2つ、アルバルク東京とサンロッカーズ渋谷は企業チーム時代から日本のバスケットボール界を引っ張ってきた強豪チームだ。
「東京にクラブが多い中、危機感はある。頑張っていかなければいけないという一言に尽きる。すでに4回に渡って江東区の子供達のために無償でイベントを開催してきた。地域密着という点で、既存のクラブとは違う路線を目指している。大会をリーグ戦形式にして、ゆくゆくは育成のためのリーグにできたら」と考えている。
既存のクラブとは違う路線を目指すTUBCに「江東区のバスケットボール連盟も協力的」だからこそ、手を取り合い江東区全体でレベルの底上げが図れる。
しかしTUBCが目指すのは選手育成だけではない。
「プロ選手になれる子供たちの割合は数パーセント。しかしTUBCの中へ入りビジネスで成功する人材を育てていくことも面白い」と語る。バスケットボールを愛する子供たちが将来的にバスケットボールを仕事にする=選手に限ったことではない。クラブの運営やスタッフ、さらにはメディアなど携わる仕事は多い。幅広い人材を育成することを目指しているのだ。
メインアリーナは主に有明アリーナを予定している。東京オリンピックのために施工されオリンピックのバレーボール競技とパラリンピックの車いすバスケットボール競技が行われた。有明という土地には既存の有明コロシアムがスポーツ施設としては有名で、テニスの聖地という印象が強かった。今回、このオリンピックを機にあらたなスポーツタウンとして生まれ変わった。
まずは参入を目指すために江東区にTUBCを根付かせていきたい。
そのために今できること。
まずは「バスケゴールを寄贈すること。江東区内を自転車で回りながら寄贈できる場所はないか」探し回っているそうだ。
有明アリーナの収容人数は15000人。B1レベルというだけでなく全国でもトップクラスの収容人数だ。Bリーグ参入が決まれば、その会場を埋めるだけのファンの獲得ももちろん必要となる。
江東区は東京の中心ではない。観光地エリアでもない。どちらかといえばタワーマンション群の新しい街というイメージを持つ人も多いだろう。しかし深川など下町エリアも人気で、二面性を持った区なのだ。
江東区ならではの土地柄、以前からずっと江東区に住んでいる方と新たに越してきた方、どちらの区民にもクラブを知り興味を持ってもらわなければならない。バスケットボールという文化を根付かせることは簡単ではない。
2021−22シーズン、B3への参入を決めた長崎ヴェルカやアルティーリ千葉。すでにB1レベルの規模感でシーズン前から話題を集めている。今後参入を目指すチームからすれば、Bリーグ参入を目指すチームへの注目度が少なからず高まったことは利点と言えるだろう。そんなクラブが地元にあり、地域への貢献を熱心に考えているとなればサポートをしたくなるのも当然だ。
前述のアカデミーに加えてダンススクールの開校も考えている。ただ子供たちに教えるだけではない。「現在、ダンスは小学校の必須科目になっている。しかし教員がダンスを教えることができるのかというと、難しい部分もあると思う。江東区と話し合いを続ける中で、教員のみなさんにダンスのトップの方が研修を行う」ことを計画していると聞き驚いた。こういった取り組みが実際に行われるようになれば、子供の頃からクラブとの関わりがとても深くなるだろう。家族、学校ぐるみでクラブと触れ合うこととなる。それがTUBCの目指す形だ。
B3リーグ第一次審査を無事通過し、庄司氏は「バスケットボールを中心につながりあうTOKYOの新しいコミュニティを創り上げていきたい」と語った。
Bリーグのどのクラブも挑戦していないことをやっていきたいという思いが伝わってきた。
東京オリンピック・パラリンピックで女子バスケットボールや男子車椅子バスケットボールが初めて銀メダルを獲得するなど大躍進を遂げた。今一段とバスケットボールに対する注目度が高くなっている。そんな追い風を受け、動き出したTUBC。
「アカデミーとスクールを分けて人材を育成し、アカデミーとしては競技性を高めて世界のどの大学、リーグでも通用する選手を育てていきたい。技術もメンタルも語学もテクノロジー理解、金銭面に至るまで生き抜くための知識を伝える」
江東区出身、TUBC育ちのBリーガーが誕生する日、また世界の舞台へチャレンジする選手の登場を心待ちにしたい。
そのためにもBリーグ参入は絶対条件だ。最終審査の結果は、2022年の5月末日までに通知される。
TUBCの挑戦は始まったばかりである。
クラブプロフィール
HP:https://tubc.tokyo/
twitter:@TUBCofficial
instagram:@ tubc_official
facebook:@TokyoUnitedBCOfficial
東京をUNITEするバスケットボールクラブ
「ともにつくろう。多様なTOKYOを体現する、新たな地域密着バスケットボールクラブを。ともに目指そう。人と地域がつながり、世界の注目が集まるクラブへ。」
クラブビジョン
TUBCが目指す理想の姿は、 バスケットボールやスポーツを通じてつながりあう「TOKYOの新しいコミュニティ」です。 TOKYOには、 人種、 性別、 考え方など様々な違いを持つ人が暮らしています。 それぞれがお互いの違いを理解し、 認め合い、 新たな結びつきを生み、 その関係性を高めることで、 コミュニティの力による地域の課題解決・SDGsへの貢献などを行っていきます。