チームの雰囲気を変えるために シーホース三河 長野誠史
開幕3連敗からスタートした今シーズンのシーホース三河。上手く回らない歯車に選手たちは迷いの中にいた。2勝4敗で迎えた第4節、三河は敵地川崎市のとどろきアリーナで、川崎ブレイブサンダースと対戦した。
GAME1では新加入、NBA経験を持つカイル・オクインが19得点、ダバンテ・ガードナーが18得点の活躍でチームを牽引。83-67で勝利を収めた。選手たちの表情は明るかった。終始試合を優位に進め、一度も川崎にリードを許すことなく、「ここのところ試合でなかなか得点が伸びなかった。83点取れたことが嬉しい」と、鈴木貴美一ヘッドコーチ(以下HC)は試合後の会見で喜んだ。川崎を67失点に抑えたことも勝利に繋がった。「最初からいいディフェンスができていい形で入れたこと、最後まで継続できたことがよかった」と#32シェーファーアヴィ幸樹は振り返った。昨シーズン、チャンピオンシップ出場まであと少しのところだった。レギュラーシーズン最終戦で川崎に敗れ、出場が叶わなかった。「絶対勝つぞという気持ちで入った」という。
さらにGAME2、終盤に接戦となったが最後は三河が77-75で逃げ切った。#9アンソニー・ローレンスⅡを怪我で欠く中で「日本人選手が頑張ってくれた」と鈴木HCは労った。
コミュニケーションをよく取り合う姿があった。#7長野誠史がタイムアウト後コートへ戻る選手一人一人の目を見て声を掛ける姿がとても印象的だった。長野が仲間を鼓舞する声は記者席にもしっかりと聞こえた。「開幕戦から、あまり声を出さずにいた。チームの雰囲気が悪かったから、変えるためには自分から声を出すことを意識して今はやっている」、意図的に変えようと努めている。昨シーズンから引き続き、「試合の流れや、プレー面について」キャプテンの#3柏木真介とも密にコミュニケーションをとる。長野の言葉に表れる責任感。
鈴木HCに長野について問うと、「練習で悪い雰囲気があると、そこにフォーカスして一生懸命になる。逆にいい雰囲気があると試合で緩んでしまうこともある。雰囲気が悪いところも実際あったので、副キャプテンがリーダーシップを出してみんなを鼓舞しようと思ったのだろう。いい形でオフェンスもディフェンスも回っていた。彼がハッスルしてくれた」と評した。
「試合で上手くいかないと若い選手は下を向いてしまう。それがエネルギーになるということを、経験がなく知らない」が、長野も27歳になり練習から、指揮官は彼の変化を感じている。GAME2では交代出場ながら30分コートに立っていた。「スターターでなくても、ガードで今一番長く試合に出ている理由。期待している」と、締めくくった。
今後、さらに連勝を伸ばしチームが上向けるか。「ハードディフェンスをして走ることがチームの目標。第一線でガードである自分がしっかりハードディフェンスをしていくことが重要だ」と認識している。確実にチームの雰囲気に変化がありディフェンス面も激しさが見られた。まだシーズンは始まったばかり。指揮官の信頼を得て、長野がチームを上昇気流に乗せられるか注目したい。