[balltrip]ERI'S FINDER_chapter5

[ERI’S FINDER]踏み出した一歩

このコラムは、フリーアナウンサーの木村英里がブレ活(ブレずにサンダースを応援し続けるバスケットボールライフ)を送る中で見つけたこと、感じたことを綴る取材日記です。

語り継がれるであろう敵地での大逆転勝利

もう我慢するしかない

2階の一番上。
その瞬間、記者席から見ていて何が起きているのだろうと呆然としていたように思います。

2019年10月20日。船橋アリーナで行われた千葉ジェッツ対川崎ブレイブサンダースGAME2。
試合立ち上がり、まさかの19−0のラン。前日の雪辱を果たすべく千葉は想像以上にエナジー全開!川崎は手が出ない、そんな状況でした。
まだ1Q5分も経っていないところで2度目のタイムアウトを取らざるを得なかった佐藤賢次HCは「何とか流れを止めたくて、試合前に話したやるべきことを再徹底して、流れを変えて、オフェンスを指示して…と2回やったが、それでもなかなか流れが変わらなくて。もう我慢するしかないなと思っていた」とその時の心境を明かしてくれました。
また、篠山竜青選手は「10点差くらいでどうにか火消しをしなければいけなかった」と反省しつつも「ターンオーバーで終わってしまう最悪な状況ではなかった」と試合後に振り返っていました。

苦しい時、これまで何度も試合の流れを変えチームを救ってきてくれた藤井祐眞選手。この日も藤井選手の活躍などで1Q終了時には何とか10点差に。
しかし2Q、再び千葉に引き離され苦しい展開。21点差を付けられて前半を折り返しました。

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うちのディフェンスは今、武器だ

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「やってきたことを信じるだけ。うちのディフェンスは今、武器だ」
そう言い続けたという佐藤HC。
3Q、ディフェンス面で作戦変更が成功しただけでなく、青木保憲選手のアグレッシブなプレーが試合の流れを大きく変えることに!
佐藤HCは「富樫勇樹選手に対して篠山と藤井を交代で、ハードにフルコートで守らせていたので、どこかで休ませないといけなかった。事前に行くぞという話をしていた。ディフェンスをやってくれればと思っていたが、2本オフェンスでも結果を出してくれたので良かった」と振り返っていました。その言葉通り、連続バスケットカウントを奪ったあのアタックはチームに大きな勢いをもたらす素晴らしいものでした。

「川崎はディフェンスのチームだ」
自分たちのバスケを続けた結果、96−89で逆転勝利。アウェーの地で、千葉に連勝を飾りました。

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藤井選手が「昨シーズンは20点離されて10点差まで追い付いた段階ですぐ追い付こうという気持ちが出てしまって、無理な体勢でも3ポイントシュートを狙いに行ったり、待てずにリングにアタックして無理なシュートになったりしていた。追付けるところで、自分たちが崩していた」と語った通り、昨シーズン課題だったのは「焦り」。HCだった北卓也GMは、当時よく「我慢ができない」と嘆いていらっしゃったことを思い出します。
「今シーズンはディフェンスにフォーカスしている。チームでやるべきことを統一してやっているから10点差を追い付く展開が生まれていると思っている」
そう語る藤井選手の言葉には確かな手応えを感じました。
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受け継がれるDNA

今シーズン、久し振りに会った青木選手は少し体が大きくなったように感じました。
「昨シーズンよりは3キロくらいプラスした」
体つきが頼もしくなっただけではありません。オフシーズンの青木選手について、佐藤HCは以前このように語っていました。「藤井選手とやりあって負けても、めげずに何度も何度も挑んでいくようになった」
そのことについても聞いてみると青木選手は、今シーズンにかけてきた思い、心境の変化を明かしてくれました。
「去年はルーキーと言われて、結局チームに何か残せたかなと考えた時にやっぱり足りなかったという反省があった。チームの今シーズンのテーマでもあるが、一番年下の林(翔太郎選手)や僕が競争心を持って、やられても立ち向かっていくことがチームの底上げにもなるし、僕ら自身の成長にも間違いなく繋がる。そこをブレることなくオフシーズンやれた」
彼がどうバスケと向き合い、日々取り組んでいるのか、それはもちろん佐藤HCもしっかりご覧になっています。「彼を信用している。彼の力が十分に育っているのもわかっている」
だからこそ、追い上げの大事な場面でも任せられたのですね。

昨シーズン、恩師の前で活躍を見せヒーローインタビューに選出された試合がありましたよね。
「あの時は点差がある程度離れた状態でのプレーだったが、今回は追い上げの大事な局面で賢次さんが僕を出してくれたことが違うところ。そういった局面でも青木を出せばと思ってもらえるのが大事。そこの信頼をもっともっと勝ちとらなくてはいけない。その一歩を今日はできた」

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ルーキーイヤーに結果を残せなかったという悔しさと焦り。チームで競争しなければならないのは、日本代表キャプテンやベストシックスマン賞を獲得した選手たちという大きな壁。でも、そこに挑むと覚悟を決めた青木選手の表情が、昨シーズンとは違い、とても頼もしく感じました。オフシーズンの練習から生まれた自信が、この試合で結果を出せたことによってまた大きな自信へと変わったことでしょう。

青木選手がこの日踏み出した一歩。
どこか篠山選手や藤井選手と重なるものがありました。劣勢の試合、幾度となく逆転勝利を見せてきた川崎。先輩たちが見せた諦めない気持ち、飛び込む勇気、東芝時代から続く川崎のDNAが確実に青木選手にも受け継がれているようです。
「日頃、(先輩のそういった姿を)見て触れているので、感染するかなと思う(笑)」
そう最後にはにかんだ青木選手の表情は、チームに貢献できた喜びと安堵感に満ちていました。

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ERI’S FOCUS

今節、私の心に残ったのは、青木選手の活躍に目を細めた先輩たち。

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篠山選手に、青木選手の活躍について伺ってみると「ベンチで鳥肌が立った(笑)」と満面の笑み。
さらに「成長しているというか、迷わずミスを恐れずにやっている感じがコートで出てきている。あのようなプレーはチームのみんなが乗る。青木のプレーでニック(ファジーカス選手)がガッツポーズをしていたり、今年チームが一つになっていることが見える」と、キャプテンはお話してくれました。
さらに藤井選手に伺えば「あれは良かったですねぇ(笑)最高でしたよね」とニヤニヤ。

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試合後、中継のインタビューに答えていた篠山選手のところへ青木選手が飛び入り参加していました。最後に藤井選手は、あのシーンの裏話を教えてくれました。
「ヒーローインタビューに青木を連れて行きました。ロッカールームに青木がいたので『何でここにいるの?早く行けよ』って(笑)」

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ヤスは、偉大な先輩たちに愛されながら成長を続けています。

木村英里 Eri Kimura
バスケの魅力にハマったフリーアナウンサー。テレビ静岡・WOWOWを経て現在はラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。川崎ブレイブサンダースファン。
twitter:@kimuraeri / Instagram:@39elly39

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