[バスケを撮ろう!]青山学院記念館でバスケ撮影、カメラ設定やアリーナの撮影環境を。
フォトグラファーのオガワブンゴです。バスケ撮影をしている方のお役に立てればと思いこの連載をスタートしました。撮る位置が皆さんと違うので一概に「こう撮ります」と断言はできませんが、オガワブンゴ的な設定や感覚を書いていきます。バスケ撮影をする方の「ひとまず」的な基準になればと思っていて、その後は撮影する皆さんがどんどんアレンジしてカッコいいバスケ写真を撮ってもらえたら嬉しいです。
東京のど真ん中にあるアリーナ、サンロッカーズ渋谷のホーム「青山学院記念館」に行ってきました。
的確な補強をしたサンロッカーズ渋谷と天皇杯3連覇中で常に優勝争いをしている強豪の千葉ジェッツの対戦です。
非常に面白いゲームでしたね。サンロッカーズ渋谷がB1東地区を引っ掻き回すような気配を感じました!
(以下、サンロッカーズ渋谷⇒SR渋谷、千葉ジェッツ⇒千葉)
【B.LEAGUEの撮影ルール】
B.LEAGUEでは、試合の写真撮影はOKですが、「明確なルール」があります。
・「試合中の写真撮影」は、「個人での利用を目的とした場合」に限り可能
・「15秒以内の動画撮影」は、「個人での利用を目的とした場合」に限り可能
・フラッシュはNG
※たまに、AF補助光(距離を測るための赤い光)がついている方がいます。これも消すように事前にカメラの設定を確認してください。
その他、ゲーム主催クラブの指示に従い、ルールを必ず守って、ゲーム運営、選手、観戦している周りの方に迷惑を掛けないようにしましょう。
撮影したゲーム
2019年10月5日(土)16:05 TIP OFF
B.LEAGUE 2019-20 SEASON
B1 第1節 GAME1
サンロッカーズ渋谷 vs 千葉ジェッツ
@青山学院記念館
アリーナの印象
僕の個人的な意見ですが、この青山学院記念館が最も撮りづらいアリーナの一つだと思ってます。
関係者の方々すみません!場所は最高なところにあるんですが、写真撮影となるとながなが厳しい環境です。
理由は「フリッカー」。
「フリッカー」というのが今回のテーマになりそうですが、これが出てくるとかなり厄介なので事前に知っておいてほしいなと思ってます。
そして、実際に「フリッカー」でお悩みの方も多いんじゃないでしょうか。
「写真 フリッカー 現象」とかで検索をかけるとたくさん情報がでてくるので、具体的なことは本記事では割愛しますが(興味のある方は調べてみてください)、簡単に「フリッカー」のことをお話すると、アリーナの場合、メインの照明が蛍光灯のときによく出現します。
蛍光灯は普通に見ると「ただ光っているだけ」に見えますが、実際は「点滅」しています。点滅しているとはどういうことかというと、「光がONの時とOFFの時がある」ということ。その結果、シャッター切ったときに「この点滅(光のONとOFF)」が明るさの「ムラ」を生みだしているわけです。
ここで「この点滅(光のONとOFF)」を体験してみましょう!
まず自宅の電気のスイッチをON→OFF→ON→OFFと繰り返して押してみてください。部屋の電気がついたり消えたりしますよね。これをギュギュギュッと短くしたものがシャッターを1回切るときに行われており「フリッカー」の原因となる「点滅」になっています。ちょっと雑ですが、なんとなく「点滅」のイメージができたでしょうか!?
この「点滅」は電源の周波数に関連していて、実は東日本と西日本で違ったりもします。
もうなんのこっちゃわからなくなる方もいるかも知れませんが、要するに光がONとOFFのときがあるので、シャッターを切ったときに明るさの「ムラ」ができる可能性があり、その現象を「フリッカー」という、ということを把握していただければと良いかと思います。
「フリッカー」の対策は、より強い光を当てるか、シャッター速度を1/100よりも遅くするか、カメラにセットされている「フリッカー低減」機能を使うしかありません。(カメラメーカーの皆さま、がんばって開発してください!)
バスケ撮影においては、より強い光を当てることはできませんし、シャッター速度を1/100よりも遅くすることは現実的ではありません。と、なるとカメラにある「フリッカー低減」機能を使用するのが唯一の選択肢。ただ、すべてのカメラに「フリッカー低減」機能がついているかといえばそうではなく。。。まずはご自身のカメラに「フリッカー低減」機能がついているかを確認してみてください。
ここで一旦整理すると、フリッカーを抑えるには、
①照明より明るい光を当てる
②シャッター速度を1/100より遅くする
③フリッカーを抑える機能を使う
④我慢、そして気にしない。
バスケ撮影の場合は、③と④ですね。
明るさ⇒問題なし
フリッカー⇒出やすい環境
僕はアリーナでのバスケ撮影の最大の敵は「フリッカー」と考えています。フリッカーに出会わないアリーナがどんどん出てきて欲しいなって心から願っています!
フリッカーとは?
蛍光灯の下で撮影した際、発生する可能性が高い「明るさのムラ」のこと
使用カメラ、使用レンズ
・使用カメラ:SONY α7iii
・使用レンズ:FE50mm F1.8 (SEL50F18F)
カメラはSONY α7iiiを使用。
実は「フリッカー対策」というのもSONY α7iiiにした理由の一つなんです。SONY α7iiiは、音がなるシャッターと音がならないシャッターを使い分けれます。音がならないシャッターの時は使えませんが、音がなるシャッターの時は、「フリッカーレス撮影」という機能を使えます。噛み砕くと「フリッカーをなるべく抑える」機能。そんなわけで、フリッカーレス撮影機能がついているSONY α7iiiを今シーズンは選んでます。
そしてレンズですが、僕の定番でもあるFE50mm F1.8 (SEL50F18F)。理由は軽いからなんですが、それだけではなく実は明確な狙いがあります。このレンズは50mmの単焦点レンズです。と、いうことは「距離」が固定されていますね。この距離が固定されているというのがポイントで、自分の座った位置からどう撮れるか、つまり「50mmで撮るとどのような写真になるかを把握するため」にこのレンズ FE50mm F1.8 (SEL50F18F)を使用しています。プロでやっているとはいえまだまだアップデートは必要で、身体に染み込ませる作業を撮影と同時に行っています。この身体に染み込ませる作業は、写真撮影においてかなり効果的なので、バスケ撮影をする方はお持ちのレンズ1本を徹底的に使い倒してみてください。
カメラの設定
●シャッター速度:1/1600
●絞り(F値):F1.8
●ISO感度:4000
●ホワイトバランス:オート
それではそれぞれついて。
●シャッター速度
今回は1/1600にしました。
小豆沢、横浜アリーナでは1/2000だったので、ちょっと変えてみたくなったのでこの数値にセットしました。
1/1600でもスパッと切り取れます。
●絞り(F値)
今回は1.8。
このレンズのF1.8という明るさを利用します。
●ISO感度
いつも通り、シャッター速度と絞りを決めてから設定します。
今回は4000でした。
●ホワイトバランス
今回はオートにしました。
意外とオートでもいけるかなという感覚に従ってセットしました。
バスケを撮るうえでのコツ的な小話
今回のテーマになってしまった「フリッカー」。アリーナでのバスケ撮影の「敵」ですね。
まずは、ご自身が所有しているカメラに「フリッカーを抑える機能」がついているのかチェックしてみてください。説明書をみたり検索をかけたりすればすぐに見つけられると思います。とはいえ、「フリッカーを抑える機能」は万能ではなく、あくまでも「抑えるだけ」という認識をもっていただきバスケ撮影をしてほしいなと思います。あとはですね、もう気にせずにガシガシ撮ることです。開き直る。とにかく撮ってやる!的なメンタルでガシガシ撮りましょう!
せっかく大好きなバスケを観に来てるんですから、「フリッカー」なんかに惑わされてはいけません。切り替えの速さもフォトグラファーには重要な要素です。
今回のカメラ設定で撮った写真(Instagram)
次回取材予定のアリーナ
2019年10月11日(金)に開催されるB1 第2節 横浜 vs 秋田 GAME1@横浜文化体育館
2019年10月12日(土)に開催されるB1 第2節 A東京 vs SR渋谷 GAME1@アリーナ立川立飛
2019年10月13日(日)に開催されるB2 第4節 群馬 vs 青森 GAME2@ヤマト市民体育館前橋
まとめ
今回は「フリッカー」についてお話してきました。具体的なことを知りたい方はぜひ調べてみてください。たくさん出てきます。そして、もし対策があるようであれば僕にぜひ教えて下さい。僕も知りたいです。青山学院記念館でバスケ撮影をする方は「フリッカーが出やすい環境にある」という認識で行ってみてください。
ただ、前述したように仮に「フリッカー」と出くわしたとしても慌てずに、それ自体を楽しんで撮りきりましょう!
僕の感覚ではフォトエリアで聞こえる「音」が昨シーズンよりも強いと感じます。選手はバチバチなゲームをしているので、かなりカッコいい写真が撮れるんじゃないかなとワクワクしています。皆さんもバチバチな「音」を聞きながら「フリッカー」に惑わされずバスケ撮影を楽しみましょう!
オガワブンゴ Bungo Ogawa
バスケやミュージシャンといった動きのある被写体を主に撮影。Podcastクリエイターとしても活動し、「MOOKSTUDY日本の歴史」はランキング上位に常にいる人気番組。
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