[バスケを撮ろう!]写真を公開するまでの流れ
フォトグラファーのオガワブンゴです。バスケ撮影をしている方のお役に立てればと思いこの連載をスタートしました。撮る位置が皆さんと違うので一概に「こう撮ります」と断言はできませんが、オガワブンゴ的な設定や感覚を書いていきます。バスケ撮影をする方の「ひとまず」的な基準になればと思っていて、その後は撮影する皆さんがどんどんアレンジしてカッコいいバスケ写真を撮ってもらえたら嬉しいです。
ご無沙汰しております!久しぶりの更新で大変恐縮です。
毎週どこかのアリーナに顔を出していますが、声をかけてくださる方がたくさんいてとても嬉しいです。ありがとうございます!
さて、今回は「写真を公開するまでの流れ」について書いてみます。
僕からすると当たり前になってしまってますが、意外と盲点なのかもしれないと思いこのテーマにしました。流れに重きを置くので今回はなぞるような内容になるかと思います。深堀りは次回以降にさせていただきますね。
【B.LEAGUEの撮影ルール】
B.LEAGUEでは、試合の写真撮影はOKですが、「明確なルール」があります。
・「試合中の写真撮影」は、「個人での利用を目的とした場合」に限り可能
・「15秒以内の動画撮影」は、「個人での利用を目的とした場合」に限り可能
・フラッシュはNG
※たまに、AF補助光(距離を測るための赤い光)がついている方がいます。これも消すように事前にカメラの設定を確認してください。
その他、ゲーム主催クラブの指示に従い、ルールを必ず守って、ゲーム運営、選手、観戦している周りの方に迷惑を掛けないようにしましょう。
写真を公開するまでの流れ
①カメラとレンズと記録メディア
②カメラの設定をする
③バスケ撮影をする
④撮影したデータをハードディスクにコピー
⑤撮影した写真をLightroom Classicでチェック、補正、書き出す
⑥使用する写真を決める
⑦記事やSNSに公開する
だいたいこの流れになります。
書き出してみると意外とありますが難しく考えずに眺めるように把握していただければと思います。
①カメラとレンズと記録メディア
まずはここからですよね。カメラとレンズが無いと始まりませんし、撮影した写真を記録するメディア(SDカードやCFなど)が必要になってきます。
●カメラ
カメラ売り場に行くと各メーカーがあれこれ特徴を押し出しています。はっきり言って迷います。どれも良さそうに感じますし、実際良いことが多いです。ですので、前回の記事でも書きましたが、自分の選ぶ基準(要素)を作ってみてください。ものさしを作ると選びやすくなります。
僕の場合は、「軽い、フルサイズ、シャッター音を消せる」の3つが選ぶ要素になってます。
●レンズ
バスケ撮影の場合は、アリーナ内の明るさ問題があるのでなるべくF値が小さいものが良いかと思います。もちろん、F値が小さいと明るく撮れますがピントを外すと眠い写真になってしまうこともありますし、F値が大きいと暗くなりますが、その分シャープに撮れたりもします。
ここは、持っているカメラの性能や自分が撮りたいテイストで選んでみてください。
僕の最近のお気に入りは、SONY 単焦点レンズ Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA(SEL55F18Z)。これかなりご機嫌です。
●記録メディア
SDカードやCF(コンパクトフラッシュ)のことで、実はめちゃくちゃ重要です。
当たり前ですが、この記録メディアが無いと写真は撮れません。
そしてなんとなく選んでいる方も多いかと思いますが、記録メディアをよく見ると数字とかアルファベットとかあれこれ書かれていますね。これは転送速度などを表しています。使用されるカメラの性能次第ではハイスペックな記録メディアでないと対応できないものもあるので要注意です。
②カメラの設定をする
「事前に設定すること(準備)」と「アリーナに到着してから設定すること(確定)」があると考えていますが、そもそもカメラで設定することは「撮影モード、シャッター速度、絞り(F値)、ISO感度、ホワイトバランス」の5つのみです。ですので、ある程度慣れてくれば自分にフィットする設定がわかってくるのであまり迷わなくなります。
●事前に設定する(準備)
これは準備という言い方もできますが、現場で慌てないようにある程度セットしておくことをオススメします。バスケ撮影において設定しなければならない箇所はとても少ないです。
次に、カメラに撮影者情報や著作者情報を入れることができる機種もありますよね。これは入れておいてください。写真そのものにこの情報(撮影者、著作者など)を入れておけるので何かあったときに「自分が撮影した写真」と証明する情報の一つになりえると考えていて、この何かあったときというのは、写真の盗用など勝手に使われてしまうことを指しています。僕は職業柄この部分をとてもシビアにみてますし、もちろん法律も把握しています。現時点でこういったことが完全に無くなることはありませんが、情報(撮影者、著作者など)として入れておくことをオススメします。
●アリーナで設定する(確定)
僕は、撮影モード→シャッター速度→絞り(F値)→ISO感度→ホワイトバランスの順番で決めていきます。
・撮影モード
プログラムモード(P)、シャッター優先(SかTv)、絞り優先(AかAv)、マニュアル(M)の4つがありますが、僕はマニュアル(M)モードで撮影することがほとんどです。
・シャッター速度
最近は1/1250を基本としています。僕が撮りたい写真の理想的なシャッター速度が1/1250です。
・絞り(F値)
レンズに依存してしまいますが、F1.8かF2.0で撮影します。
・ISO感度
シャッター速度と絞り(F値)をセットしたあとに決めます。
・ホワイトバランス
難しく感じる方が多いのかと思います。よくわからなければオートで問題ありません。
カメラを持ち始めたばかりの人はさっぱりわからないところでもあるかと思うので、この設定については次回以降書いていきますね。
③バスケ撮影をする
ガシガシ撮りましょう!
バスケ撮影をする上で大切にしているポイントは、ピントの位置とゲームの流れです。
・ピントの位置
僕は、カメラでのピント位置を固定し、縦でも横でも基本は中央よりちょっと上にセットします。
固定したピント位置のところに選手の顔を合わせるように撮影することが多いです。顔を追いかけてカメラを動かしているイメージですね。もちろん、これ以外の撮り方をすることもありますし、手だったり足だったりにピントを合わせることがありますが、僕のスタンダードはカメラではピント位置を固定し、被写体の顔にピントが合うように撮影しています。
・ゲームの流れ
ゲームの流れを読みながら撮影しています。別の言い方をするのであれば「予測」しながら撮影しています。
これをすると「撮れる」確率が高くなります。僕がアドバイスをした方ほぼ全員が「撮れる」確率が高くなっているので、自分なりでOKなのでぜひ予測しながら撮ってみてください。オススメです!
ちょっと話がそれちゃいますが、「瞬間を切り取る」という表現を目にすることがあります。これは結果の話であって、撮影時に瞬間を切り取ろうとするとほぼ間に合いません。経験がある方も多いのではないでしょうか。
ですので、ゲームの流れを読みながら、予測して、全方位的に準備をしつつ、ガシガシ撮影してみてください。結果として瞬間を切り取れているはずです。僕の経験上、瞬間を狙いすぎると瞬間は撮れません。
④撮影したデータをハードディスクにコピー
撮影したデータは記録メディア(SDカードやCFなど)に入っていますね。それをハードディスクにコピーします。
僕は仕事でデータを一度飛ばしたことがあり復旧させるのにびっくりするくらいの金額を払ったことがあり、かなり保存には気を使ってます。
皆さんはそこまでする必要がないかと思いますが、整理しておけば後々便利なのでぜひハードディスク等に保存してみましょう。
⑤撮影した写真をLightroom Classicでチェック、補正、書き出す
Lightroom Classicを使用しています。すごく便利でこれがないと仕事が成り立ちません。
ここで、撮影した写真の選別、補正、書き出しをやってしまいます。
Photoshopの出番はほとんどなく、ほぼLightroom Classicで仕上げます。
・補正
補正に関してですが、かなりスピード感をもって行います。撮影した翌朝には完了しているイメージです。
いじる部分は、縦横比、トリミング、基本補正(ホワイトバランスや露光量など)のみです。
balltrip MAGAZINEではクリエイティブガイドを設けていて、写真は4×5を基本として運用しています。ですので、その比率にし、トリミングを行い、基本補正をして書き出します。
・書き出す
balltrip MAGAZINEとして撮影した写真は必ず2箇所にクレジットを入れています。
「いつ・どこで・誰が・何を撮影したのか」を明記することと、balltrip MAGAZINEから出しているということしっかりと提示することを目的としています。このクレジットの部分も次回以降のネタになりそうですね。
また、書き出しサイズは、長辺1500px、1000kをメインしています。
⑥使用する写真を決める
使用する写真を選びます。実はこれが一番難しいですね。
記事などのコンテンツに使用するので、それに合わせた写真を選ぶわけですが、そもそも枚数がたくさんあるので見るのも大変です。
とはいえ惰性で選ぶことはもちろんなく、しっかりと「考え」をもって選びます。
ぜひ感覚的でも良いので「考え」や「理由」ということをちょっぴり頭にイメージして使用する写真を決めてみてください。
⑦記事やSNSに公開する
そして公開となります。
ここでちょっと余談ですが、なぜ縦横比を「4×5」にしているかをお話しますね。
まず、balltrip MAGAZINE側からの視点でいくとPCで見られることよりもスマホで見られることのほうが多いのが現状です。そして、僕個人の視点からいくと他のサイトなどはスマホで見ることのほうがやっぱり多いです。そして、SNS(インスタグラムやツイッター)においてもスマホで見ることがほとんどです。
スマホの画面は縦、PCは横。
結論として、縦画面にフィットする比率は「4×5」ということになりました。
普通に撮った写真の縦横比だとどうしてもはみ出たり、小さくなったりとなかなか満足することができなかったんですね。
そんなこともあり、balltrip MAGAZINEでは写真の縦横比を「4×5」と設定しています。
まとめ
「写真を公開するまでの流れ」を書いてみましたが、次回以降のネタになりそうなものがたくさんありましたね!
上っ面をなぞるような内容だったかと思いますが、流れを俯瞰的にみてもらえたかなと思います。
次回からは、本記事で浮き上がってきたネタを深堀りして書いていきます。
今後は毎週火曜日と金曜日に更新してく予定です。引き続きよろしくお願いいたします!
オガワブンゴ Bungo Ogawa
バスケやミュージシャンといった動きのある被写体を主に撮影。Podcastクリエイターとしても活動し、「MOOKSTUDY日本の歴史」はランキング上位に常にいる人気番組。
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