広島ドラゴンフライズ「勝ちじゃけぇ」見事に下剋上で掴んだ初優勝
日本生命 B.LEAGUE FINALS 2023-24 琉球ゴールデンキングス対広島ドラゴンフライズは、GAME1は74-62と琉球が勝利したが、GAME2は72-63で広島が勝利。1勝1敗で迎えたGAME3は65-50と琉球を破った広島が初優勝を飾った。
就任から3シーズン。チームを頂点へと導いたカイル・ミリングヘッドコーチは優勝直後、「まずは本当に琉球に感謝したいです。素晴らしい試合を作ることができました。琉球は素晴らしいチームでした。私たちの強みはディフェンス。1シーズン通して、精度を信じて日々努力し勝ち抜いてきました。信じてくれた選手たちに感謝しています。ディフェンスも強みですが、チームの魂、チームスピリッツが最大の強みでした。(HC)就任時は下位のクラブでしたが、選手、スタッフみんなが僕を信じてくれました。彼らの努力を尊敬しています」と語り、「勝ちじゃけぇ!」と3度、ファンとともに声を上げた。
「最高です!」と喜びを爆発させた#7船生誠也は、「21勝20敗で#0寺島良が怪我をしてから、毎日、毎週がチャンピオンシップのような試合をしてきたことが、すごく大きかったと思います。広島はディフェンスのチームなので、今日の得点を見てもわかる通り、CSはディフェンシブな試合になると思います。そこに向けて強くなれました」と、広島の戦いを振り返った。対戦した琉球の#24田代直希は、「広島はかなりエナジーがありました。何よりも僕たちの対策を40分間徹底していて、綻びがなかったと思います。僕たちも打開しようと頑張りましたが、なかなか崩れませんでした。この2〜3週間で崩れないチームになったのだと感じています」と、レギュラーシーズンとの違い、進化を語っていた。
そして2020-21シーズン、1シーズンだけだったが琉球に所属していた船生は、古巣との対戦となったファイナルに特別な思いを持って挑んでいた。「ファイナルが始まる前に相手がキングスで良かったなっていう思いがありました。1シーズンともにしたメンバーがまだ多く残っていて、彼らから色々なものをもらいました。1年間でしたが本当に私のキャリアの中ですごく充実していた時間だったので、彼らが正しいと証明されることもやっぱり嬉しかったですし、琉球に勝って優勝することも本当に嬉しいです」と、喜びを噛み締めながら語った。
#12中村拓人は、日本生命ファイナル賞を受賞した。GAME1敗戦後、「誰もが来られる場所ではないです。自分にとっても良い経験になりますし、バスケットボールを楽しみたいです」と述べていた。
優勝が決まった瞬間を、「ブザーが鳴ったあと、あまり実感が湧きませんでした。チームメイトが喜んでいる姿やファンの皆さんが喜んでいる姿を見た時に改めて優勝したんだなと思いました。クラブの歴史をどんどん作っていく中で、その一員として戦えたことが嬉しかったです」と振り返った。4月初旬、balltrip MAGAZINEは中村に取材をしている。(記事はこちらから)1ヶ月半、この短期間で表情も言葉も変化していた。中村の成長が、優勝の大きな要因の一つであったことは言うまでもない。
「ファイナルでは自分の力をずっと出せていなかったのですが、一本二本大きいシュートは決められたかなと思います」、そう振り返っていた#10上澤俊喜。
続けて、「チャンピオンシップで戦う前、コーチ陣からも僕らのことは誰も見ていないと言われました。やってやろうという思いで、初戦から始まって、ここまで来られたことは、下馬評を覆せたという意味でも自信になりました」と笑顔で語った。まさに下剋上だった。
初の西地区同士の組み合わせとなったファイナル。「今シーズンは魔境の西地区と言われていました。それを勝ち抜いて、ワイルドカードでしたけどまた勝ち抜いて、さらにチャンピオンシップでは王者の琉球さんに勝てたというのは嬉しいですね」と振り返った。
さらにファイナルでは広島のファンの声が試合を経るごとに多くなり、大きな後押しとなっていた。「第3戦ということで平日にもかかわらず横浜にまで駆けつけてくれて、この会場を埋めてくれました。本当に力になりました。広島のブースターさんたちを優勝させたいという思いでやってきてそれが実ったかなと思います」と、上澤はファンへの思いも口にした。
そして、キャプテンとしてチームを支えた#2朝山正吾は今シーズンをもって引退することを発表していたが、GAME3までもつれたことでシーズンで最も長く試合に臨むことができた。
GAME2終了後、朝山はこんな風に語っていた。
「本当に最高。GAME1で本当に自分たちとしては悔しい負け方をして、そこからみんなが持ち返して今日は最高のゲームができたんじゃないかなと思います。(引退がもう1日延びたことについて)なかなかゆっくりさせてくれない、優しいチームメイトたちです。でも僕がどうのこうのということだけでなく、怪我をしている寺島や、(3人制バスケットボール日本代表としてハンガリーで行われていたパリ五輪最終予選に出場していた)#34三谷桂司朗の分だったりとか、これまでクラブに関わってくれたたくさんの人たちの思いがようやく繋がってきていると思うので、こうして個人的には最後の最後までバスケットができる喜びをしっかりかみしめながら最終日を迎えたいです」
朝山は残念ながらコートに立つことこそなかったが、地元横浜で見事優勝を果たしユニフォームを脱ぐこととなった。掲げたトロフィーについて興奮気味に、「久しぶりでしたね。昔より作りが良くなっている気がして。こんな良かったっけと思うくらい。ありがとうございます」と茶目っ気たっぷりに笑った。
広島の初優勝で幕を閉じた2023-24シーズン。まさにディフェンスの戦い、今後も語り継がれるであろうファイナルになった。
このオフシーズン、バスケ界はパリ五輪への挑戦が待っている。まだまだバスケットボールに熱狂させてもらおう。