B3リーグ公式試合参加資格審査に合格 東京ユナイテッドバスケットボールクラブ
2022-23シーズンからB3リーグ参戦を目指している東京ユナイテッドバスケットボールクラブ(Tokyo United Basketball Club、略称TUBC、以下TUBC)。4月14日、B3リーグ公式試合参加資格審査に合格した。合格直後、balltrip MAGAZINEは株式会社東京ユナイテッドバスケットボールクラブの副社長、干場一広氏に話を聞いた。
嬉しい知らせは代表取締役社長の石元龍太郎氏のもとにかかった電話で届けられたという。「1年かけて準備をしてきてようやくスタートラインに立てたと身が引き締まる」と安堵と決意が入り混じった表情だった。本格的に動き出したのは「ゼロからのスタート、一つ一つわからないことだらけのチャレンジ。手探りの壁だらけだった」と振り返る。中でも苦労したのは「行政(ホームタウンである江東区)に認めてもらい支援文書をもらうこと」だった。これから誕生するクラブ、活動実績があまり無い。「周囲のサポートもあり、クラブも繋がりを作り続けたことで、将来性に期待していただき、夢に賛同してもらった」と感じている。「地域に貢献し、地域の方に応援してもらうことが先。地域の方々にまずは挨拶をし計画を伝え賛同していただく」ために時間を割いた。親身に声をかけ続け、「この街にプロクラブができるということを求めているのだ」と肌で感じることができた。「一緒に作っていきたい」という言葉に支えられ、「コロナ禍で人々の接点が薄れゆく中、クラブの発足により新たな繋がりが戻ってくる。スポーツだからこそできることがある。そこの価値を感じてもらえた」と語る。
目指すクラブの姿は、まずは街のコンテンツであること。「僕らがいることで生活が楽しくなり新たな会話や接点が生まれたら」と願う。
そんなクラブの姿を体現していくのは選手たち。どんな選手やどんなヘッドコーチを集め、どのようなチームを作るのか気になる。すでに選手との交渉は始まっている。「やるからには勝ちたい。楽しんでもらいながら、目の前の一勝に向けて一緒に取り組んでくれる選手やコーチングスタッフに集まって欲しい」と期待を込める。目標に向け戦うだけでなく、地域の方々との交流なども大きく求められる。「どんどん街に出て、ふれあう機会を作っていきたい」と意気込む。
そしてそんなふれあいの場に選手同様欠かせないのがマスコットの存在。3月、選手より先にマスコットが発表され「ユナイト」と名前も決まった。月ウサギで、父は月では有名なバスケットボール選手、地球にバスケットボール修行へ訪れたという。子供からも愛されるだろう可愛らしいマスコットが誕生した。「ウサギの耳を付けながら観戦」などと計画が既に立てられている。Bリーグにウサギの耳を付けるという可愛い応援スタイルが誕生するのか楽しみなところ。クラブの顔になる存在、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか注目しよう。
今シーズン、B3リーグには長崎ヴェルカ、アルティーリ千葉という大きく注目された2チームが参入した。参入直後から上位を走り続け、初年度に優勝、昇格を果たす勢いだ。「プレッシャーもあるが、おかげでB3リーグにも注目が集まっている。いい環境下で臨める」とポジティブに捉えている。
長崎はジャパネットホールディングス、A千葉は株式会社アトラエが立ち上げた。その存在も大きいが、選手やスタッフ陣に加え演出面もB1B2リーグに引けを取らなかった。干場氏やクラブスタッフもいくつかの会場へ足を運んで来た。4月10日には千葉ポートアリーナで行われたA千葉対長崎を視察した。「非日常感が強かった。クラブが提案する世界観にファンが引き込まれていて印象的だった」という。運営する側に立ってからは試合会場で見る面が全く変わった。「スタッフがどう動くのか」など、これまで注目したことはなかった。A千葉の会場ではスタッフの人数に驚かされた。「どこに何人配置されていて、どんな仕事をしているのか」などスタッフの動きを熱心に見た。さらに、機材の配置など参考にする点が多かった。
主な試合会場は、江東区の有明アリーナが予定されている。昨年開催された東京オリンピックではバレーボール競技が、東京パラリンピックでは車いすバスケットボール競技が行われた。「ワクワクよりプレッシャーが強い」と語る通り、この会場をファンで埋め尽くすことは容易ではないだろう。そのためにも「様々な方にご協力いただきたい。行政もスポンサーも地域の方々にも声掛けをする」という地道な取り組みが重要だ。
自身も「クラブの立ち上げに携われるのは本当に一握りの人」と、貴重なこの時間を噛み締めているようだったが、どんなクラブにもファーストシーズンは一度しか訪れない。だからこそ「最初の試合へまずは見に来てほしい」と呼び掛ける。
バスケットボールに限らず、ダンススクールやウォーキングイベントなどスポーツを通じた活動を行い、既に多くの接点を持ち街と関わっている。バスケットボール以外の活動の場でも「街に住む選手が活躍する姿がまだ想像付いていない。そのワクワク感が伝わってくる」のだという。都会のスポーツクラブにはあまりない、我が街のスター選手やヒーローの存在が、今後江東区に生まれる予感がする。日に日に高まる期待感。
江東区は南北で違った魅力がある。アリーナがある湾岸エリアは高層マンションが立ち並ぶ新しい街だ。新しく江東区に住んだ方々が多く、このコロナ禍もあり付き合いが希薄だからこそ、クラブの誕生により新たな人間関係が生まれることに期待する声も多い。そして、深川や城東地区は古くからこの街に住む方が多く、下町ならではの魅力も溢れる街だ。お祭り文化もあり、試合の演出面において良い刺激になりそうだ。ただ鉄道網を見てもわかる通り、区内を縦に結ぶものが少ない。新たなバスケットボールクラブの誕生と活躍が、今までにない江東区内の繋がりや交流を生んでくれるのではないだろうか。街の人を繋ぐハブ的な存在になってほしいと思う。
ここから始まるクラブの歩み。地域に愛され、貢献できるクラブへ。関わり方は様々、新しいクラブを「一緒に作っていく」という言葉に強い想いを感じた。「良い意見は取り入れたい」という柔軟な姿勢、地域の方々の想いや願いがクラブに届きやすい距離感だろう。江東区はスポーツと人情の街だという。そんな街に生まれるクラブだからこそ、どのバスケットボールクラブにもない下町ならではの親しみやすさや東京ならではの新しさなど様々な要素が混ざった魅力的なチームになるに違いない。
クラブプロフィール
HP:https://tubc.tokyo/
twitter:@TUBCofficial
instagram:@tubc_official
facebook:@TokyoUnitedBCOfficial
東京をUNITEするバスケットボールクラブ
「ともにつくろう。多様なTOKYOを体現する、新たな地域密着バスケットボールクラブを。ともに目指そう。人と地域がつながり、世界の注目が集まるクラブへ。」