[バスケを撮ろう!]Q&A part-1
フォトグラファーのオガワブンゴです。バスケ撮影をしている方のお役に立てればと思いこの連載をスタートしました。撮る位置が皆さんと違うので一概に「こう撮ります」と断言はできませんが、オガワブンゴ的な設定や感覚を書いていきます。バスケ撮影をする方の「ひとまず」的な基準になればと思っていて、その後は撮影する皆さんがどんどんアレンジしてカッコいいバスケ写真を撮ってもらえたら嬉しいです。
今回は本日(2019年12月16日現在)までにいただいた質問にお答えしていきます。
実はたくさんいただいておりまして、たまってしまいました。。。今回から随時、回答させていただきます!
皆さん、バスケ撮影欲が強いですね。
それでは今回は6つの質問にお答えします。
【B.LEAGUEの撮影ルール】
B.LEAGUEでは、試合の写真撮影はOKですが、「明確なルール」があります。
・「試合中の写真撮影」は、「個人での利用を目的とした場合」に限り可能
・「15秒以内の動画撮影」は、「個人での利用を目的とした場合」に限り可能
・フラッシュはNG
※たまに、AF補助光(距離を測るための赤い光)がついている方がいます。これも消すように事前にカメラの設定を確認してください。
その他、ゲーム主催クラブの指示に従い、ルールを必ず守って、ゲーム運営、選手、観戦している周りの方に迷惑を掛けないようにしましょう。
Q&A 1
Q:オガワさんはフォトゾーンにて50mm単焦点で撮られてますが、もし一般席(1〜5列目くらい)から撮るとしたら焦点距離はどれくらいのレンズを使いますか?
A:まず、僕が使用しているカメラはSONY α9とSONY α7iiiなのでセンサーサイズが「35mmフルサイズ」になります。これを基準にお話しますね。
ちなみに、センサーサイズの違いはこのサイトがわかりやすいかなと思います。知りたい方はぜひチェックしてみてください。
ということで、もし僕だったら「70-200mm F2.8」のレンズで撮ります。具体的なレンズをあげると、FE 70-200mm F2.8 GM OSS(SEL70200GM)。
このレンズだと、一般席(1〜5列目くらい)であればだいたいカバーできる距離だという想定のもと選んでいます。そして、2回目以降は、初回で撮影した情報を元に、このレンズも含めてレンズの選定をします。
また、事前にクラブのHPで撮影機材の制限を設けていることもあるのでこちらもチェックしてみてください。
例えば、サンロッカーズ渋谷の場合。
https://www.hitachi-sunrockers.co.jp/faq/
こうありますね。上述したレンズだとちょうど20cmなので大丈夫です。
まとめると、座る席がアバウトなので具体的なところは座ってみての判断になりますが、70-200mm F2.8の望遠レンズを使用します。
上記訂正です。
いきなり間違ってしまいすみません。サンロッカーズ渋谷の場合、カメラのBODYも込みで20cmなのでこのレンズだとNGですね。となるとどんなレンズがあるのか調べてあらためて記載させていただきます。ただ、こういった長さの制限がなければ、上記のレンズを使用します。
Q&A 2
Q:いままで撮影してきたアリーナでどこが一番撮りやすかったですか?また、一番撮りにくかったアリーナはどこですか?
A:撮りやすいアリーナは、「小豆沢体育館(東京EX)」、「アリーナ立川立飛(A東京)」、「横浜国際プール(横浜)」、「アダストリアみとアリーナ(茨城)」です。明るくてとてもバスケ撮影をしやすい環境です。特に都内在住でバスケ撮影をスタートしたばかりの方は「小豆沢体育館(東京EX)」がオススメかなって思います。光量も安定してますし、コートからの色の反射も比較的少なく、肉眼で見たままの写真がとれる印象ですね。
また、一番撮りにくかったアリーナですが、「船橋アリーナ(千葉)」と「青山学院記念館(SR渋谷)」です。この2つのアリーナで撮影されたことがある方はしっかりうなずいているかなと。フリッカーの出現によりボツになる写真がいつもより多いかと思います。こういう場合は、割り切ってガシガシ撮影します。
「横浜文化体育館(横浜)」と「千葉ポートアリーナ(千葉)」は古いんですけど趣があってお気に入りです。
もっとも好きなアリーナは、「横浜アリーナ」で、僕の感覚だとすごく品のあるバスケ写真が撮れると感じてます!
これは照明の関係もありますが、背景が暗くなるのがすごく好きです。
特にお気に入りなのは、篠山選手(川崎)の「神の左手」のシーンと遠藤選手(宇都宮)の後ろ姿の写真です。
Q&A 3
Q:バスケ撮影をしているときはどこを見ていますか?
A:とてもざっくりしてますね(笑)。まず、すごく抽象的なんですが、目の前に見える景色を「面」と「線」と「点」の3つで見るようにしています。
それぞれを具体的にいうと、「面」はふんわりと全体の空気感、「線」は流れ、「点」は選手単体というイメージです。言葉にするとちょっと難しいですね。よくわからい方はすっ飛ばしてください。
写真にはしっかりとゲーム感を入れたいので自分がゲームの中に入り込むように意識しながら、常にキョロキョロしていて、選手、ベンチ、観客席、審判、会場全体、天井など、いろんなところに視線を送りながら、被写体になり得るチャンスを探しています。
ですので、選手を軸にして、いろいろなところを見ています。
Q&A 4
Q:撮ってて楽しい選手は誰ですか?
A:基本的に全選手素晴らしいですよね。強いてあげるのであれば、大塚裕土選手(川崎)は「画(え)になる」と思いますし、アンソニー・マクヘンリー選手(信州)の存在感にはびっくりしました。上げたらきりがありませんが、balltrip MAGAZINEのインスタグラムにで公開している「TODAY’S FOCUS」はそのゲームの撮影で注目した選手たちです。
Q&A 5
Q:どうしてもブレてしまいますが、どうしたら良いのでしょうか?
A:ブレてしまう場合は、まずは下記の①〜③をチェックしてみてください。
①シャッター速度が遅い
②ピントが合わない、合わせられない
③自分が動いている
それではそれぞれの解説を。
①のシャッター速度が遅い場合は、単純に速くしてみてください。僕の場合は、1/1250を軸にしていますが、そこまでいかなくとも可能な限り速く設定して撮ってみてください。基準がわからない方も多いかと思います。これは自分で探してもらわなければいけませんが、1/800あたりからスタートしてみてください。だいたいこの付近を使用している方が多いので、ここから速くしたり、遅くしたりするのがちょうど良いのかなって感じています。
②のピントが合わない、合わせられない場合は、ピントを合わせられるように訓練しましょう。神がかり的なことは一切ありません。単純に練習すればクリアできる問題です。あとは、カメラの機能をもう一度確認してみてください。各社で様々なモードがあり面倒くさいですが、自分にフィットするやり方を見つけてください。僕も含めてですが、カメラの機能を使いこなせていない方が多いはずです。もう一度説明書を読んでみてはいかがでしょうか。
③自分が動いている場合ですが、実はこれが原因のことが多いです。意外と盲点かと思いますが、自分が動いちゃってるんですね。これは持ち手が動いたり、シャッターを押すと同時に身体も一緒に動いています。これはクセなので、自分で意識して治すしかありません。何でもOKなので自宅などで、写真を撮ってチェックしてみてください。もし自分が動くクセがある方はしっかりと固定することを身体で覚えてください。実は、僕がそうでした。シャッターを押すと同時に右手首が動いていたんですね。このクセを矯正して今がありますので、もしこのクセをお持ちの方は毎度毎度意識して撮影してみてください。
3つのチェックポイントを上げてみました。もちろん、被写体はバスケ選手なので当然ブレたりボケたりすることは多々あります。100%全くブレずにしっかりとピントを合わせて撮れることはありませんが、どうしてもブレてしまうという方は上記3つをチェックして実践してみてください。
Q&A 6
Q:どうやったらかっこいい写真が撮れますか?
A:すごくアバウト。。。カメラの使い方も知ってほしいですが、やはりバスケ写真以外の「良いと言われているものを見る」ことはとても重要だと思います。ヒントが盛りだくさんです。書店などにいって陳列されている雑誌などいろいろ見てみてください。その中から自分が「かっこいい」と思うものをピックアップし、それをストックしてみてください。
あと最近感じることは、ミュージシャンのライヴを撮ってみると良いかもしれません。なんとなく撮るのではなく許可をとってオフィシャル的に撮ってもらいたいんですが、バスケ撮影の要素がギュッと入ってます。
動く被写体、被写体をかっこよく撮る、本人に喜ばれるような写真を撮る、ファンの方に喜ばれるよう写真を撮る、ストーリーを感じる写真を撮る、流れを感じる、比較的暗い撮影環境などなど、撮っているときに考えていることや環境が似ています。
僕のキャリアのスタートは、ミュージシャンのライヴ撮影だったので、すんなりとバスケ撮影もできたのかなってこれを書きながら思いました。
感覚的なんですが、ミュージックビデオを作っている方がバスケムービーを作ったらかっこいいのが仕上がってくるのではないでしょうか。
今度、このことを検証してみたいですね。
まとめ
今回は6つの質問にお答えさせていただきました。
選ばれなかった方、すみません。次回までお待ち下さい。
また、質問は随時受け付けてますので、お気軽にお寄せください。
最近は、記者席からバスケのゲームをみることを意識的に増やしています。balltrip MAGAZINEのフォトグラファーが増えたのでこういうことができるんですが、久しぶりの記者席からのゲーム取材は俯瞰的にみれるので様々な発見があります。そして、カメラを持って写真を撮っている方が本当にたくさんいますね!撮影した方はどんどん写真をアップしてもらい、かっこいいバスケ写真が世の中に広まっていくと嬉しいなって思ってます。
オガワブンゴ Bungo Ogawa
バスケやミュージシャンといった動きのある被写体を主に撮影。Podcastクリエイターとしても活動し、「MOOKSTUDY日本の歴史」はランキング上位に常にいる人気番組。
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